勝念寺 街角にあらわれる萩の苑

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勝念寺の萩_1

(撮影日:2014年9月17日)

古都ジェニックな一枚を撮ろう 2


京都らしい風情ただよう、絵になる場所や撮影ポイントをご紹介するシリーズの2回目。初回に引き続き、萩の綺麗なお寺を取り上げたいと思います。
やってきたのは伏見の街角にたたずむ勝念寺。京阪本線「丹波橋駅」から歩いて3分ほど、車どおりもまずまず多い住宅街の中にあり、ふらっと歩いていたら通り過ぎてしまいそうな小さなお寺です。例年、萩が見頃を迎える9月中旬からは、「萩振る舞い」と題し山門が開放され、境内を自由に拝観することができます。ご覧のような風景が広がるわけですから、これはもう写真を撮らずにはいられませんよね! カツオいち押しの萩の寺ですが、まだまだ知らない方もいらっしゃるように思いますので簡単にご紹介を。


「かましきさん」の名で親しまれています

勝念寺の萩_2

(撮影日:2017年9月6日)

勝念寺は1587年に創建された浄土宗のお寺。このお寺が創建される前に初代の住職が織田信長から賜ったという「釜敷(かましき)地蔵尊」は、炎に炊かれ煮えたぎる釜の上に立つというたいへん珍しいお姿をされています。地獄で釜ゆでにされ苦しむ人の身代わりとなり、幸福へとお導きしてくださるというこのお地蔵様、いつしか「かましきさん」と親しみを込め呼ばれるようになり、やがてお寺そのものの愛称へとなっていったそうです。今も地蔵堂に安置される「かましきさん」にお参りをしてから、萩を見に行きましょう。


萩で埋め尽くされた本堂前♪ でも気を取られすぎると…

勝念寺の萩_3

(撮影日:2016年9月18日)

「見渡す限り」と言っても良いぐらいに咲き誇る萩の花。綺麗な花が咲いていると、思わず気分がはずんで、カメラのシャッターもついついたくさん押してしまいますよね。が、手前に咲く萩に気を取られたせいか、画面左上の方に写っていますね… 隣接する住宅が。奥の方まで気が届いていませんでした。いちど目につくと、もう気になってしょうがありません。では、どうするべきか…。


カツオの得意技「しゃがむ」

勝念寺の萩_4

(撮影日:2014年9月17日)

ほぼ同じぐらいの場所で、しゃがんで撮影したものです。枝垂れる萩が住宅を隠してくれました! 本当にちょっとした工夫ではありますが、やはり印象はだいぶ変わりましたね。お寺が持つ(京都らしい)雰囲気がより強いものになったのではないしょうか。
さて、少し気になった方もいらっしゃるかと思いますが、この写真の奥にあるのは紛れもなく本堂です。何やら近代チックな感じですね…。そう、じつは勝念寺の本堂は近年に建替えられた鉄筋コンクリート製。しかし随所に、「お寺らしさ」を保つようなコダワリも見て取れます。「でもやっぱり、かわら屋根の建物やもう少し歴史を感じる風景が撮りたい(見たい)」と思われる方もいらっしゃるでしょう。そのお話は後ほど…。


イロトリドリな萩

勝念寺の萩_5

(撮影日:2014年9月17日)

さて、やっぱり撮りたくなるのが花のアップ写真。「萩といえば、白か紫」という印象が強かったのですが、ご覧のとおり、勝念寺の萩はイロトリドリ。色彩ゆたかに咲く光景を撮りたかったので、ズームはほどほどに、背景を多めに写しこんでみました。そして、石畳だけではなく、後ろの方に灯籠も入れることで、「お寺で撮った」ということを演出。せっかく京都で写真を撮っているわけですので、何かお寺っぽいものや日本的なものを構図の中に入れたくなります。


「奥の奥」までしっかり見ましょう

勝念寺の萩_6

(撮影日:2014年9月17日)

さて、境内の中から、お寺の入口である山門を振り返ってみましょう。良いですよね~、絵になりますね。いかにも歴史を感じさせる佇まいです。萩と山門の取り合わせが「古都ジェニック」ではありませんか。しかし注目していただきたいのは、山門のさらに奥! 向かい側もお寺ですね。例えばここにコンビニでもあったとするとどうだったでしょうか。ちょっと角度を変えて、手前の白い萩で向こう側を見えにくくするなど工夫が必要だったかもしれません。幸いにもあちら側もお寺でしたので、無理に構図を作り出さなくてすみました。


いよいよ「近づいてきた」感じ♪

勝念寺の萩_7

(撮影日:2014年9月17日)

本堂側に進み山門を振り返ってみます。構図的にはだいぶ良い感じになってきましたよね♪ あとは今日さんざんこだわってきた「背景」でしょうか。マンションと電線が気になりますね。最後は、ここをひと工夫しましょう!


カツオ渾身の一枚

勝念寺の萩_8

(撮影日:2014年9月17日)

先ほどの写真と見比べていただければすぐにわかっていただけると思いますが、マンションと電線は完全に排除。そして、手前両側の萩はやや散りが進んでいたので、花数も多い白萩をピックアップして狙ってみました。もう少し「広め」の構図がお好みの方もきっといらっしゃると思いますが、広く撮り過ぎると余計なものが写ってしまわないように注意したいところです。

勝念寺の萩_9

(撮影日:2017年9月6日)

勝念寺の萩、いかがでしたか。ご住職が丹精を込めて育てられた萩を間近で鑑賞することができるということで、まさに「萩振る舞い」であり、幸せのおすそわけ、といったところでしょうか。拝観や撮影のマナーはしっかり守って、皆さんが気持ちよく帰ることができたら、きっとご住職も喜んでいただけることでしょうね。
さて、最後になりましたが、大事なお知らせです。「萩振る舞い」ですが、花の見頃にあわせてピンポイントで実施されるため、なんと、まだ実施日が決まっていません! 9月6日(水)の時点でご覧のような状況ですので、今週末ぐらいから開始されるでしょうか。日程は決まり次第、勝念寺のホームページなどで告知されるようですので、気になる方はそちらをチェックしてみてくださいね。

※萩の開花が進み、9月11日(月)より「萩振る舞い」が開始となりました!!


■勝念寺「萩振る舞い」
【日程】2017年9月11日(月) ~ 9月末頃
【拝観時間】8:00~17:00頃
【拝観料】境内無料
【電話】075-611-1606
【アクセス】京阪本線「丹波橋駅」から徒歩約3分、近鉄京都線「近鉄丹波橋駅」から徒歩約5分 Google map
【公式ホームページ】https://kamasikisan.wixsite.com/syonenji

Written by. カツオ

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