清水焼の工房へ! 貴重な歴史遺産も見学

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当日レポート ~2017年10月21日実施~

 

 

経済産業大臣の指定を受けた京都府の伝統的工芸品を、一品目ずつ採り上げて学ぶシリーズ企画。第11回は「京焼・清水焼」をテーマに、「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード特典協力先でもある藤平陶芸(ふじひらとうげい)を訪ねました。当日の様子をご覧ください♪

 

 

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藤平陶芸は“やきものの町”として知られる五条坂で創業して100余年。昭和から平成にかけて活躍した陶芸家・藤平伸(しん)さんの生家であり、製陶と卸業を行い、かつては窯も有していたという珍しいお店です。イベントでは藤平伸さんの姪の末弘裕子さんにお話をお伺いしました。

まず、京焼と清水焼の違いが気になるところ。「京焼とは京都で焼かれた焼き物の総称。清水寺の門前で焼かれた清水焼も京焼に含まれます」と末弘さん。さらに、京都には日本各地の焼き物の産地から職人が集まってきたため、それぞれの良さが吸収されて清水焼の美しさに磨きがかかったそうです。お話や貴重な映像を教材に、学びのひとときは進みます。

 

 

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「藤平陶芸では、こんなものも作っていたんですよ」と末弘さんが見せてくださったのは、なんと手榴弾! 戦時中に金属が不足し、陶器で作るように軍から要請があったといいます。歴史を語り継いでいくために、藤平陶芸では、手榴弾型の一輪挿しが販売されていますので、気になる方はお店に足を運んでみてください。

 

 

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続けて、藤平伸さんのエピソードもご紹介いただきました。藤平陶芸の建物の前には、「サンチャゴカフェ」というカフェ&バーがあります。もとは藤平陶芸のギャラリーショップとして営業していて、壁の絵は藤平伸さんご本人が描いたそう。しっくいの壁に竹べらで描いたという大作は、いまや若い人を始め海外の人にも好評だとか。陶芸家の多彩ぶりに驚きます。

 

 

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工房見学では、ふたりの職人さんが実演してくださいました。まず、ろくろでの成形を小国さんが担当。各写真の右手前にある壺と同じものを作っていただいたのですが、土の塊がみるみるうちに壺型に! 常に寸法を測りながら作るとはいえ、そっくりなフォルムはさすが職人さん。完成時には大きな拍手が起こりました。

 

 

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上絵付けの工程を実演してくださったのは表谷さん。最近では、海外からお越しの方が年間を通して桜の図柄が入った商品を求められるため、この日も桜の花びらを細やかに描いていらっしゃいました。上絵付けの難しさは、焼いた後の色をイメージして描かなければならないところ。表谷さんは、焼成後の色見本を作って、繊細な色彩を生み出しているとお聞きし、皆さま感心しきりでした。

 

 

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職人さんの実演をもっと見ていたいという誘惑にかられましたが、続いては、こちらも気になる京都市最大級の大きさを誇る「登り窯」の見学へ。雨の中をてくてくと歩いていくと、敷地の入口でお客様が何かを発見したもよう! 何を指さしているかというと…。

 

 

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地面に焼き物が埋め込まれていました♪ モチーフは狩野永徳作の『唐獅子図屏風』でしょうか。職人さんの遊び心が感じられますね。見つけた会員様に拍手!

 

 

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かつて五条坂にはたくさんの登り窯がありましたが、昭和43年の大気汚染防止法の成立により多くが取り壊されてしまいました。藤平陶芸は根気強く保存に努めていましたが、維持管理の難しさから、京都市教育委員会が買い取ることに。今では「五条坂京焼登り窯」という貴重な歴史遺産として受け継がれています。皆さま、ノスタルジックな雰囲気に記念撮影にも力が入っているご様子。

 

 

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登り窯の隣に設けられた「裏場」と呼ばれる部屋もご案内いただきました。かつて職人さんが陶器に釉薬をかけたり、色をつけたりした場所で、当時の面影を感じられる佇まいです。棚には、窯に入る予定だった作品がずらり。その数を見るだけでも、登り窯全盛期はいかに多くの出荷量があったかを伺えました。現地で体感したからこそ分かることもあり、やはりイベントは楽しみが尽きません。

 

 

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棚には、こんな変わったものも! 「は~い」と手を挙げているかのような焼き物は、ゴム手袋の型ということでした。お雛様も時代を感じますね。他にも面白かったこと、興味深かったことは山のようにありますが、それは参加した人だけの財産。そう京イベントは、奥深い京都に出会いたいという方にぴったり! ぜひ、次の機会に参加してみてくださいね♪ 藤平陶芸の皆さま、参加者の皆さま、ありがとうございました!

 

Written by. シュガー

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