「紅葉×国宝建築」をめぐる秋の京都 東福寺・東寺など

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東寺 金堂

 

京都国立博物館で開催中の「国宝」展。4つの会期にわけ、国宝に指定されている“美術工芸品”の4分の1にあたる約200件が見られるということで話題沸騰中です。
この秋の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンの舞台である東寺のシンボルである五重塔をはじめ、京都の社寺には、国宝の建築物が多く遺ります。「国宝」が誕生して120年という節目の年の秋は、紅葉とともに“国宝建築”にも注目してみましょう。私“カツオ”おすすめのスポット4つをご紹介します。

※「国宝」展に行く前に知っておきたい豆知識、日本美術のプロによる“笑いもあり”の見どころ解説などを、このページの最下段にある「関連コンテンツ」よりご覧いただけます。

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醍醐寺 秀吉ゆかりの珠玉の名庭で紅葉狩りを♪

三宝院庭園

醍醐寺 三宝院庭園

国宝を数多く所有する醍醐寺。下醍醐にある三宝院の“表書院”も国宝に指定されています。その書院の前に広がるのが、国の特別史跡・特別名勝に指定される三宝院庭園。“国の特別名勝”は、“庭の国宝”とも。秀吉自身が基本設計に携わったというこだわりの庭は、広大な池と豪壮な岩組みに目を奪われますが、点景のように植えられたモミジからは“小粋さ”もにじみ出ているようです。贅の限りを尽くしたかのような“国宝空間”で紅葉狩りを楽しまれてみてはいかがでしょうか。近年になり、お庭の写真撮影ができるようになったのも嬉しいポイントです♪

上醍醐の入口”林泉”の紅葉もお見事!

林泉

醍醐寺 林泉

上醍醐(醍醐山山頂)への入口にある観音堂。この辺りは“林泉”と呼ばれ、紅葉も多く見られるエリアです。風の無い日は、池に映りこむ風景に、ついため息が漏れてしまいそう。池の周りを歩いて、ぜひ色々な角度からじっくりと眺めてみてください。広大な醍醐寺で、ピンポイントに紅葉狩りを楽しむなら三宝院庭園とこの林泉付近でまとめるのがおすすめです。

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独特のフォルムが美しい国宝建築!

醍醐寺五重塔

醍醐寺 五重塔

醍醐寺の国宝としてもっとも有名なのは、何といっても五重塔ではないでしょうか。京都の街は、自然災害だけでなく、“応仁の乱(1467~1477)”や幕末の“蛤(はまぐり)御門の変(1864)”などの戦禍により、甚大な被害を受けてきました。神社やお寺も例に漏れず、焼失を避けることができずそのまま姿を消してしまったものも多いのです。
そんななか、こちらの五重塔は天暦5年(951)に完成したもので、以後、秀吉による改修などを加えながらも、なんと1000年以上もの間、この場所に立ち続けています。京都市はおろか京都府下でも最も古い木造建築物とされます(ちなみにですが、東寺の五重塔は1644年の再建)。私カツオ的には、層を重ねるごとに明らかに小さくなっていくこの独特のフォルムがお気に入り。赤みを帯びている点も特徴的ですね。五重塔の近くにある金堂、そして三宝院前に立つ唐門なども国宝に指定されていますので、そちらも注目です!

醍醐寺
【拝観時間】三宝院・霊宝館・伽藍 9:00~17:00(発券終了16:00)
       ※12月第1日曜日の翌日~2月末は16:30(発券終了15:30)
      上醍醐 9:00~16:00
        ※12月第1日曜日の翌日~2月末は15:00
【拝観料】3箇所共通券(三宝院・霊宝館・伽藍) 800円(10月21日~12月10日は1500円)
     上醍醐 600円
【電話】075-571-0002
【アクセス】地下鉄東西線「醍醐駅」から徒歩約13分 Google map
【公式ホームページ】https://www.daigoji.or.jp/index.html


仁和寺 紅葉も決してあなどれません

仁和寺 五重塔

春の「御室桜」のイメージが強い仁和寺ですが、金堂、そして五重塔のある境内にはモミジもたくさん。学生時代から、よく足を運んでいた私からすれば、最近は紅葉の時季も、拝観に来られる方が多くなってきたように感じますが、それでも比較的“穴場”に思います。金閣寺や龍安寺など、名だたる有名寺院のそばにありますので、もうひと足のばして仁和寺にもぜひお立ち寄りください。境内には、絵になる場所も多く、写真好きの方にもおすすめです。

御殿のお庭の紅葉も見逃せない!

仁和寺 御殿

秋の仁和寺で見ておきたいのが、なんと言っても“御殿のお庭”です。境内で、桜や紅葉を十分なまでに楽しむことができてしまうので、ついつい見逃されがちの御殿。雅やかな風情ただようこちらのお庭を見ないのは本当~にもったいないですよ! 晴れの日はもちろん、個人的には雨の日のしっとりした風情もお気に入りです。

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国宝建築は五重塔ではなく、じつは……

仁和寺 金堂

「仁和寺にある唯一の国宝建築って何でしょう?」と問われたら、「五重塔!」と答えてしまいそうですよね? じつは、五重塔は重要文化財で、国宝に指定されているのは、本堂にあたる金堂なんですよ。その歴史をひも解いてみると、このお堂、もともとは京都御所にあった紫宸殿(ししんでん)を移築したもの。紫宸殿といえば、天皇の即位式をはじめとする重要な儀式を行う「正殿(宮中の中心的な建物)」とされた場所。現在、仁和寺の金堂として遺るこちらの建物は、応永年間(1624~1643)に移されてきましたが、現存する紫宸殿としては最古であり、かつての「宮殿建築」の様式を知る上で、非常に貴重なものであるそうです。

仁和寺
【拝観時間】3月~11月 9:00~17:00(受付終了16:30)、12月~2月 9:00~16:30(受付終了16:00)
      ※霊宝館の秋季公開は11月23日(木・祝)まで
【拝観料】境内無料、御殿500円、霊宝館500円
【電話】075-461-1155
【アクセス】市バス「御室仁和寺」バス停からすぐ Google map
【公式ホームページ】http://www.ninnaji.jp/


東福寺 美しさ・見ごたえともに”あっぱれ”な紅葉がお出迎え

東福寺 臥雲橋より通天橋を望む

数多ある京都の紅葉スポットの中でも、絶大な人気を誇る東福寺。毎年のように訪れているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。境内を彩る紅葉は約2,000本。見頃の時季は朝早くから本当に多くの拝観者で賑わいますが、混雑が分かっていても… やっぱり行きたくなってしまいます。

※紅葉期間中の混雑時は、通天橋および臥雲橋での写真撮影が禁止となる場合があります。

”通天もみじ”を探してみましょう

東福寺 通天橋付近

さて、“桜”などもそうですが、“もみじ”もまたその品種は様々。東福寺で探してみたいのが、“通天もみじ”です。葉先が3つにだけ分かれる、やや見慣れない形をしていますが、その名の通り通天橋の近くで見つけることができます(この写真の撮影場所近くにもあります)。九条(藤原)道家の発願により、東福寺を開いた聖一(しょういち)国師が唐より持ち帰ったという由緒ある品種で、黄色く染まるのが特徴なのだそう。ぜひ探し出してみてくださいね♪

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国宝は禅宗寺院における”最古にして最大の○○”

東福寺 三門

紅葉に目を奪われがちですが、東福寺でも国宝建築に出会うことができます。それがこちらの三門。応永32年(1425)に足利義持によって再建され、現存する禅寺の三門としては“最古”のものであるそう。そして、実際に目にしてみると驚かされますが、禅宗寺院におけるものとして“最大”ということ。奈良にある有名な東大寺の南大門に比べると、高さはやや低いそうなのですが… 東福寺は、「大寺や興寺(奈良)に次ぐお」を目指し創建されたと伝わります(東福寺には“大仏”のものと思われる巨大な“左手”も遺ります!)。東大寺のものより少しだけ低いこの三門、モデルとした東大寺への敬いの念がそうさせたのでしょうか。

東福寺
【拝観時間】9:00~16:30(受付終了16:00)
      ※11月~12月初旬は8:30~、12月初旬~3月は16:00まで(受付終了15:30)
【拝観料】通天橋・開山堂400円、本坊庭園400円
【電話】075-561-0087
【アクセス】JR奈良線「東福寺駅」から徒歩約10分 Google map
【公式ホームページ】http://www.tofukuji.jp/


東寺 見頃が待ち遠しい紅葉の新名所

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東寺 五重塔

「この秋は、『国宝』展にも東寺にも行く予定」という方もきっといらっしゃるはず。「国宝」展には、東寺から“兜跋(とばつ)毘沙門天立像”が出品されていますので、やはりお寺の方にも立ち寄りたいところですよね。そして、国宝であり“木造の塔”としては日本一の高さを誇る五重塔と紅葉が織り成す風景は、きっとこれから秋の京都の“定番”になっていくはず。「東寺の紅葉がいかに素晴らしいのか」ということは、以前ご紹介しましたのでそちらをご覧ください。それでは国宝建築のご紹介を。

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東寺で最も古いお堂?

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東寺 金堂

こちらの金堂は、東寺の建造物のなかで、最も早く建設が始められ、弘仁14年(823)までには完成していたそう。現在に遺るものは慶長8年(1603)に再建されたもので、国宝に指定されています。外観からは2階建てのように見えますが、内部は気持ち良いぐらいの“吹き抜け構造”となっており、台座や光背を含めると10メートルほどにおよぶ圧倒的スケールの薬師如来などの三尊が祀られています。
金堂のほかにも、境内の東に面する壬生通に立つ蓮華門や、空海が住んだといわれる大師堂(改修工事中)、そして境内北側に位置する観智院の客殿も国宝に指定されています。まさに“国宝建築の宝庫”といえそうですが、“宝庫”といえば、こちらも紹介しないわけにはいきません。建築物ではないのですが…

⇒空海が住んだといわれる”国宝・大師堂”の改修工事現場も特別に見学! 「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード会員様限定のイベント情報はこちら

圧倒的な”国宝密集率”

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東寺 講堂(立体曼荼羅)

“東寺の国宝”を語るとなれば、やはりこちらをはずすことはできません。講堂(重要文化財)に安置される21躯の仏様からなる“立体曼荼羅”です。密教の教えを視覚的に表すことを目的とし、空海により作られたといいます。東寺創建当初から伝わる15躯と、2012年に“国宝附指定(つけしてい)”となった1躯の計16躯が“国宝”として扱われます。まさに、“国宝の宝庫”といっても過言ではありませんよね。秋季特別公開期間中は、立体曼荼羅を取り囲むように拝観することができますので、せっかくの機会、細部にいたるまでしっかりと眺めてみましょう。
ちなみに国宝指定のない“残りの6躯(重要文化財ではありますが)”はというと… よく見ると、やや大きめの仏様が多いことに気付かされます。火災の憂き目にあった際、その大きさ故か、退避させることができず、後年になり、新たに作りだされたから… ということなのだそうです。但し、“国宝附指定”となった仏様のことを考えると、いつの日か21躯すべてが… ということもあるかもしれません。

東寺[教王護国寺]
【拝観時間】境内5:00~17:00、金堂・講堂・五重塔初層8:00~17:00(受付終了16:30)
※五重塔初層は2017年10月28日(土)~12月10日(日)までの公開
※11月24日(金)~12月4日(月)は金堂・講堂・五重塔初層は8:30~
【拝観料】境内無料、金堂・講堂500円(10月28日~12月10日は五重塔初層も含め800円)
【電話】075-691-3325
【アクセス】JR「京都駅」から徒歩約15分  Google map
【公式ホームページ】http://www.toji.or.jp/

※ライトアップをはじめ宝物館の特別公開など、秋の東寺では気になるイベントが目白押し! 国宝の客殿を有する観智院の公開情報などは東寺の公式ホームページをご確認ください。


色鮮やかな紅葉を前にすると、そちらにばかり目がいってしまいがちですが、街なかにも“国宝”が多く遺る京都への旅。「国宝」が誕生して120年という記念の年は、紅葉とともに、お気に入りの“国宝建築物”も探してみてはいかがでしょうか♪ あなたの“My 国宝[建築ver.]”をみつけてみてくださいね。

 

Written by. カツオ

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