芸術の秋! 妙心寺天球院で京狩野の傑作を堪能♪

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梅花遊禽図

『梅花遊禽図』(一部)

 

天球院は、岡山藩主の池田光政、光仲兄弟が伯母“天久院”のために建立した妙心寺の塔頭寺院。“天球院”の名前は寺院建立の際、地中から“球”が掘り出されたことに由来するそう。通常非公開のお寺ですが、この秋に期間限定で公開されます。それに先だって、特別に拝観させていただきましたので、内部の模様をお届けします。

 

 

水墨手法の障壁画『山水人物図』は新旧の技の融合

 

 

山水人物図

『山水人物図』(一部)

 

 

天球院に伝わる全152面の襖絵や杉戸絵などは、京狩野の名手、狩野山楽・山雪によって描かれたものです。そのなかでも注目は、方丈内の最も奥まった部屋にあたる、「上間一の間」。この部屋を飾る『山水人物図』には、「竹林七賢」など中国の故事や人物が描かれています。天球院で公開される障壁画の多くは、特定非営利活動法人 京都文化協会ならびにキヤノン株式会社が推進する“綴プロジェクト”によって制作されている高精細デジタル複製品ですが、このお部屋の一部の襖絵は、“実物”がはめられています。どれが本物で、どれが複製品であるかを見比べながら鑑賞してみてください。

 

 

高精細デジタル複製品って?

 

 

梅花遊禽図2

『梅花遊禽図』(一部)

 

 

高精細デジタル複製品とは、「高精細の写真を撮り、大型プリンターで出力されたもの」と私は思っていましたが、なんと、出力したあと、京都の伝統工芸士によって金箔を貼り合わるなどの仕立ても行われているそう。年月を経て“味”の出た微妙な色合いも、オリジナルに限りなく近く再現されており、ひと目見ただけでは「本当に複製品なの?」と驚くばかりでした。禅寺の障壁画は水墨画で描かれていることが多いですが、女性の発願によって創建されたお寺であることからか、彩り豊かで煌びやかな襖絵が多く遺る天球院。間近で見られる作品もありますので、細部までじっくりご覧になってください。

 

 

 

 

まだまだ見どころたくさんの天球院

 

 

竹に虎図

『竹に虎図』(一部)

 

 

他にも、『梅に山鳥図』や虎の襖絵の中に、なぜか豹が描かれているという『竹に虎図』などが公開されますので、お見逃しなく。また、障壁画の他にも、京都の寺院に数多く遺る「血天井」があるので、そちらもご注目ください。『芸術の秋』にぴったりな天球院の特別公開、この機会をお見逃しなく!


■妙心寺塔頭 天球院 方丈障壁画特別公開
【日程】2017年11月17日(金)~26日(日)
     10:00~15:00(受付終了14:30)
【拝観料】600円
【場所】妙心寺 天球院
【アクセス】JR山陰本線(嵯峨野線)「花園駅」から徒歩約12分 Google map

 

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