冬にこそ訪ねたい無鄰菴庭園

  • 草花・自然
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雪がちらつく日もあり、いよいよ本格的な冬が始まった京都。この時季になると私が訪ねたくなるのが“お庭”です。意外に思われるかもしれませんが、木々の葉が落ちる冬だからこそ見えてくる“すっぴんのお庭”も素敵なんですよ。

なにより、紅葉も終わって人が少なくなるので、古都らしい落ち着いた雰囲気を楽しめるのもこの季節の良いところ。今日は、冬でも見どころいっぱいのお庭無鄰菴(むりんあん)」を訪ねてみました。この時季ならではの魅力と一緒にご紹介します。


冬はお庭の構造がバッチリ分かる!

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左が12月、右が8月です

無鄰菴は明治・大正時代の政治家 山縣有朋(やまがたありとも)の別荘で、庭園は有朋の指示に基づいて、七代目小川治兵衞により作庭されました。庭園には奥行きと開放感を感じさせるために、石の配置や川の流れ、地面の高低差などに工夫が凝らされているのですが、芝生や木々が生い茂る時季は意外とその工夫が目立ちません。その点、冬は石や盛り土の輪郭をハッキリと見ることができます。8月に撮影した写真と見比べていただくと一目瞭然ですね。

紅葉が映える季節も美しいのですが、メインにばかり視線が囚われてしまいがち。「こんな所に石が」、「思った以上にアップダウンのある庭だったんだ」など、見慣れたはずのお庭の新しい一面に気付くことができるのもこの季節ならではの醍醐味ですね。そして、お庭全体が引き締まった感じがしませんか? 私はこの凛とした冬の雰囲気が大好きなんです。


庭にもあるんです、新年の準備

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美しい庭園の多い京都において、無鄰菴は庭師さんによるお手入れがよく行き届いたお庭のひとつ。私が訪れた時もサッササッサとお掃除をされ、秋に溜まった落ち葉を掃き集められていました。作業範囲は庭園内の小路や芝生だけでなく、なんと水の中も! もくもくとお掃除される姿には本当に頭が下がります。

無鄰菴の指定管理者 植彌(うえや)加藤造園の社員の方にお話を伺ってみると、今はお庭が秋から冬へと移り変わる時期なんだそう。松も古くなった葉や不要な葉を抜き取る「葉むしり」が行われ、くっきりと松らしい枝ぶりが印象的に。庭園の結界や井戸蓋などの竹製品も青竹で作り直され、新年を迎える準備が進められています。実は毎年この時季が、一番新しいお庭を見る事ができるんだそうです。


カフェ利用もできるって、ご存知でしたか

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庭園散策のあとは、母屋でお抹茶と茶菓子をいただくのがオススメです。特に、二十四節季にちなんでデザインされた1日30個だけの限定茶菓子は外せません。訪れたときは冬至が近かったため柚子をモチーフにしたお菓子をいただきました。ちなみに、次の二十四節気は「小寒」。2018年1月6日(土)から薯蕷(じょうよ)饅頭の「鶴」が登場するそう。いったいどんな形のお菓子になるか、今から楽しみですね♪

名勝庭園を眺めながらのティータイムは普通の喫茶店では味わえない贅沢。でも一番嬉しいのは、毛氈の下にホットカーペットが敷かれていること! 寒さを気にせず長居できることは、この季節、嬉しい限りですよね(笑) 京都で静かに流れる時間を体感されたい方は、無鄰菴カフェを訪ねてみてください。


季節のしつらえや特別企画も充実!

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座敷のしつらえにも遊び心がいっぱい。この日は、冬至に合わせた柚子の床飾りや、小さなクリスマスツリーも隠れていました! センス溢れる飾りはスタッフさんのお手製で、こちらも季節や行事に合わせて変わります。新年には、スタッフの皆さんで手作りしたという立派な「餅花(もちばな)」が飾られるそうなので、訪れた際はぜひチェックしてください。

さらに1月1日(月・祝)~3日(水)の三が日に庭園を公開し、新春にふさわしい様々な催しを用意しているという情報もGetしました。庭園内でお香を焚き、香りで観賞ポイントを教えてくれる「香りで見る庭」や、プレゼントがもらえる「謎解き庭めぐり」など、お正月らしい華やかで楽しい試みがいっぱいです。

平安神宮にもほど近いので、初詣のあとのひとやすみに訪ねるのも良いかもしれませんね。皆さんも是非、“冬の庭”を楽しんでみてください♪

■ 無鄰菴
【営業時間】8:30~17:00(12月~3月)
【定休日】12月29日~31日
【料金】410円
【電話】075-771-3909
【アクセス】地下鉄東西線「蹴上駅」から徒歩約7分、市バス「神宮道」バス停から徒歩約10分 Google map
【公式ホームページ】http://murin-an.jp/
 

Written by. きのこ

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