皇室の菩提寺「泉涌寺」の魅力を堪能

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当日レポート ~2019年3月17日実施~

 

 

改元に伴い、皇室ゆかりのお寺や神社が注目されることが増えてきました。「そう京」イベントでは、皇室の菩提寺として知られる泉涌寺(せんにゅうじ)でイベントを実施。

当日の様子とともに、泉涌寺の魅力もあわせてレポートします♪

⇒「そう京」イベントに参加するには、カードへのご入会が必要です。詳しくはこちら。

 

 

~大門~

 

 

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泉涌寺執事 渡邊 恭章さん

 

 

泉涌寺の拝観入口である大門に集合し、イベントはスタート。ご案内は泉涌寺執事の渡邊 恭章さんにお務めいただきました。“お坊様のご案内で拝観できる”ことも、「そう京」イベントの魅力のひとつ。

渡邊さんによると、泉涌寺の伽藍は中国の宋の様式を採り入れているそうです。というのも、開山である月輪大師(がちりんだいし)は12年にわたって宋で修行したのち、日本にいながらにして宋と同じ修行を行える場所としてお寺を建立しました。建物ばかりでなく、日常でも中国語を使うという本格的なものだったそうです。

 

 

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(左)下り参道、(右)大門

 

 

大門を通ると下り坂の先に仏殿が見えます。「下り参道」と呼ばれる珍しい伽藍配置で、じつはこれも盆地の底に本堂を建てるのが修行に適しているとされていたから。何度もお参りしたことがあるという方も、「この坂にそんな意味があったとは!」と驚きのご様子。

さらに、驚きは続き・・・ なんと、振り返ると先ほど通った大門の扉が閉められています! イベントは8時から開始したのですが、一般拝観は9時から。1時間は会員様だけの貸切という、なんとも贅沢なひとときです。「閉められた門を中から見る機会なんてないですよね!」と皆さま、興奮気味にシャッターを押していらっしゃいました。

 

 

~仏殿~

 

 

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仏殿 涅槃図

 

 

今回の拝観のメインは涅槃図の絵解き。泉涌寺では毎年3月中旬に涅槃会が行われ、仏殿に涅槃図が掲げられます。

長さ約16メートル、幅約8メートルという立派な涅槃図は日本最大。写真からも分かるように、コの字に折り畳んで吊さないと堂内に収まりません。昔はその大きさから東大寺の堂内に飾るために作られたのではないかと伝わっていたそうですが、近年になって泉涌寺の仏殿にあわせて作られた涅槃図だということが分かってきたそうです。というのも・・・

 

 

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上を見上げると美しい満月、目の前にはお釈迦様が入滅する様子。視覚いっぱいに場面が広がることで、その瞬間に立ち会ったかのような臨場感を演出する狙いがあったのではないかということでした。

 

 

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イベントでは特別に内陣に入らせていただき、間近で涅槃図を鑑賞。すると、通常の拝観位置からでは見ることの出来なかった涅槃図の下の部分に、たくさんの動物が描かれていることが分かりました。

渡邊さんの絵解きで登場人物や動物の特徴をお聞きしていると、涅槃図の見どころの多さにびっくり! 「他のお寺と同じように描かれている箇所もあれば、泉涌寺だけの特徴もあります。見比べるのも面白いですね」と渡邊さん。

 

 

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絵解きで特に印象的だったのが、お供え物について。たくさんの登場人物や動物が一様に嘆き悲しむのに対して、お花を供えているのは極楽浄土に住むという伝説上の生き物である迦陵頻伽(かりょうびんが)お猿さんだけ。泉涌寺の涅槃図の微笑ましい特徴ですね。

迦陵頻伽とお猿さんは涅槃図の下部に描かれいてるため、普段は見ることができません。この場限りと、皆さまじっと目に焼き付けていらっしゃいました。

 

 

~舎利殿~

 

 

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韋駄天像

 

 

続いて向かったのは仏殿のお隣にある舎利殿(通常非公開)。開山の月輪大師の弟子である湛海律師(たんかいりっし)が宋から持ち帰った仏舎利を祀るためだけに設けられたお堂です。

仏舎利とはお釈迦様の遺骨のことなのですが、泉涌寺の仏舎利は「仏牙舎利」(ぶつげしゃり)が正式名で、“牙”の字から推察できるようにお釈迦様の犬歯をお祀りしています。仏舎利ももちろん貴重ですが、犬歯は4本しかないということもあって、さらに珍しいもの。

ありがたい仏牙舎利を守るために鎮座しているのが、韋駄天様です。日本でもっとも古い韋駄天像で国の重要文化財に指定されています。

 

 

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裏堂 韋駄天図

 

 

なぜ、韋駄天様が祀られているのかというと、かつて仏牙舎利が鬼に盗まれた際に目にも留まらぬ早さで取り返したというエピソードが伝わっているから。足が速い人のことを「韋駄天」というのは、それが由来です。

表を守るのが韋駄天様ならば、裏を守るのも韋駄天様。舎利殿の裏堂には、韋駄天図が描かれています。つい最近まで特別公開が行われていたため、ご覧になった方も多いと思いますが、皆さま彩色の美しさに驚かれるそうです。それもそのはず、寛文8年(1668)に描かれてから、今回が初めての公開。次はいつ見られるのか、続報を待ちましょう。

 

 

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舎利殿のもうひとつの見どころが、狩野山雪によって描かれた天井龍。舎利殿は京都御所から移築した建物のため、描いてから天井板にすることも叶わず、山雪は天井を見上げながら大作を描いたと伝わっているそうです。

さらに、渡邊さんに「ここは鳴き龍でもあるんです」と教えていただきました。ある場所で手を叩くと、龍の鳴き声が聞こえるという仕掛けがあり、会員様もひとりひとり試させていただきました。手の叩き方によって鳴き声はそれぞれ。皆さま、どんな声が聞こえたのでしょうか。

 

 

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続いては、朝食の時間。京都の仕出し料理店「矢尾治」の朝粥をいただきました。「お寺では食事も修行のひとつのため、静かに素早く食べなければなりません。ただ、皆さまは旅行中ですから、美味しくいただきましょう」という渡邊さんの言葉に、皆さまほっこり。ご用意いただいたおかわりも完食し、冷えた体も温まったようです。

 

 

~御座所~

 

 

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右下:僧侶の於保さん

 

 

渡邊さんからバトンタッチし、続いて、僧侶の於保(おほ)さんに御座所(ござしょ)をご案内いただきました。御座所も京都御所からの移築で、もとは皇后の住まいである御里御殿という建物です。

「多少、部屋を大きくするなど間取りが変わっているため、明治の移築時に襖絵に描き足された部分があります」と於保さん。写真をよ~く見ると、襖の中央と端の部分で墨の色が違うのが分かるでしょうか。

御座所は今でも皇室の方がお参りになる際に休憩場所として使われるため、レプリカに差し替えるのではなく、当時のままの文化財をご覧いただく方針にしているそうです。移築されてきたことが分かる名残も、歴史を物語る重要な文化財のひとつですね。

 

 

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(左上)勅使門、(右上)海会堂、(下)御座所庭園

 

 

ほかにも、皇室の方がお越しになる時だけ開く勅使門、秋には紅葉が美しい御座所庭園を順にご案内いただきました。

皇室ゆかりの仏様が祀られているという海会堂(かいえどう)も、もとは京都御所にあった護摩堂を移築したものだそうです。会員様も「京都御所から移築された建物が多いね」と、あらためて皇室ゆかりの格式高さを知る機会になりました。

 

 

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最後は、歴代天皇のご位牌が祀られる霊明殿を特別拝観。次の元号の世も幸せが続きますようにと手をあわせて、イベントは終了となりました。

2019年4月26日(金)~5月6日(月・振休)には「春期京都非公開文化財特別公開」のひとつとして、泉涌寺も特別公開が行われます。改元前、改元後も、なにかと話題を呼びそうなお寺ですので、ぜひ公式ホームページで歳時情報をチェックしてみてくださいね。

ご参加いただいた皆さま、渡邊さん、於保さん、泉涌寺の皆さま、ありがとうございました! 「そう京」イベントでは、今後もその時季ならではの特別感を盛り込んだイベントを多数実施していきますので、お楽しみに♪

 

 

【「そう京」会員様におすすめ♪ 4月開催の桜イベント】

■事前申込み不要! 桜をゆっくり愛でたい方にぴったり♪
※受付にて「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カードのご呈示が必要です。

・醍醐寺 春期夜間拝観 ~夜のお詣りとお花見~
【日程】2019年4月6日(土)・7日(日)18:00~19:30(受付)
【参加料】1,500円(災害復旧支援金込)
⇒詳細はこちらからチェック!

・平安神宮 桜の神苑早朝特別参拝
【日程】2019年4月6日(土)・7日(日)・9日(火)7:00~8:00(受付)
【参加料】1,000円
⇒詳細はこちらからチェック!

・平安神宮 神苑非公開エリアの特別参拝
【日程】2019年4月6日(土)・7日(日)・9日(火)10:00~14:30(受付)
【参加料】1,000円
⇒詳細はこちらからチェック!

・仁和寺 御室桜苑ライトアップ
【日程】2019年4月13日(土)・14日(日)18:30~19:30(受付)
【参加料】1,000円
⇒詳細はこちらからチェック!


■ご案内付きで桜を鑑賞したい方はこちら!(要事前申込み)

・賀茂川沿いの桜並木を歩く
【日程】2019年4月7日(日)13:00~16:00
【参加料】1,500円(入園料・お菓子代・イヤホンガイド代込)
⇒詳細はこちらからチェック!

・仁和寺 御室桜と転法輪寺特別拝観
【日程】2019年4月13日(土)14:00~17:00
【参加料】1,500円(拝観料・イヤホンガイド代込)
⇒詳細はこちらからチェック!

 

Written by. シュガー

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