青竹

2010年4月公開

青竹

鮮烈に、清々しい存在感
京料理の楽しみのひとつに、器の取り合わせがある。四季折々の料理が、漆器や陶磁器、ガラス器など、素材も形もちがう色とりどりの器に盛り付けられる。その中でちょっと気になるのが、青竹の器。夏の席には涼感を、お正月の席にはめでたい気分をもたらしてくれる。

青竹をスパッと輪切りにして、節を底にして使うこの器。いったいどこから仕入れて、どのように使われているのか。料亭のご主人に聞いてみた。

青竹の器は、京都市内の竹材店から購入するという。青竹を扱うのに気をつけなければいけないのが、時間が経つにつれ青みが色あせること。竹材店にサイズと数を注文するが、必ず使う前日に納めてもらう。それからできるだけ変色するのを防ぐため、冷凍庫にて保管。毎日使っては洗い、冷凍庫に入れておくが、せいぜい長くもって二週間らしい。

「昔はね、青竹の器を使ったら料理が一品ふえるなんて言われた。つまり、青竹は一品の料理に値するというわけですわ」と笑顔で語ってくれたのは中川竹材店(中京区)の中川利春さん。京都はじめ全国の料亭や和菓子店に、青竹の器や箸、水羊羹の容器となっている竹筒などを納めている。

材料の竹は、主に丹波産の真竹。特に「色のいいもん」にこだわり、鮮烈な青さを求めてやまない。

竹を伐採する職人を「切り子さん」といい、その切り子さんの腕と目で質の良い竹が切りだされる。多い日には五百本にもなるそうだが、そこから中川さんが色艶のいい竹を選ぶのである。

一本の竹から器ができるのは六、七個。節を底にするため、それぐらいしか作れないというわけである。しかも青竹は承知の通り、時間が経つと色あせるため、作りおきできない。

お正月に使われるのであれば、大晦日(おおみそか)に準備して納めるというように年末もゆっくり休んではいられないのだ。「だから青竹はなかなか手間のかかるもんでっせ」と中川さん。一品の料理に値するというのも、これだけ手間がかかりながら、ほどなく色あせて使えなくなってしまうということからか…。

京料理の中で、清々しい存在感を放つ青竹。しかし、あくまで料理の脇役だと中川さんはいう。
「でも、夏の涼感や祝いの席を象徴する青として京都が大事にしてきた文化やから、誰に知られずともこだわっていきたいんですわ。そういう私が脇役人生かな?」中川さんは選び抜いた青竹を手に取り、目を細めた。

京都新聞出版センター刊『京の名脇役』より引用
掲載内容は2010年4月の情報です。
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