静岡県在住の島崎鉄平(46)は、広告会社で働くお祭好きな男。祭りがあれば、どこへでも出かけていくアクティブな鉄平が、日頃の感謝をこめて妻、夏美(43)との旅を企画した。妻のよろこぶ顔がみたい、とはいえ旅のメインはもちろん祭。同じものを見て、感じて。祭りの楽しさを共有したい鉄平だったが‥‥。
京都に到着するやいなや、どこからともなく聞こえてくるお囃子の音。コンチキチン♪心地いいリズムにのりながら、妻と二人、浴衣姿で町をそぞろ歩き。祭りといえば浴衣、なにより京都には浴衣がよく似合う。こんな風に肩を並べて歩くのも久しぶりだ。
京都らしい暮らしを見たいという妻のリクエストで、京町家の見学ができる冨田屋へ。ここは約120年前に建てられた商家だそうだ。室内は自然の風が吹きぬけて、思っていた以上に快適な空間。田舎に来たような懐かしさだ。人間と同じように町家も衣替えをするというお話は、たいへん興味深いものがあった。日々の暮らしを大切にする京の人々のこころを垣間見たような気がした。
季節を楽しむ暮らしはいいよね、なんて話をしながら気ままなお散歩へ。たどり着いた寺町通は、お寺や神社、古い佇まいのお店が並んでいて思いがけず楽しい通りだ。アンティークのお店「寺町倶楽部」には、着物や絵皿など、おみやげにしたい品がいっぱい!妻の目が輝く。おいおい、目的は買い物じゃないぞ!
太陽がすっかり西へ傾いてきたころ、ついに山鉾町へ。灯りが入ったばかりの提灯で、お祭りムードは最高潮。たくさんの人で賑わっていた。配布されていた「山鉾マップ」で、気になる鉾をチェックしていくのだが、かまきりや弁慶などの意匠や、豪華なタペストリー、町家に飾られた屏風、目移りしてしまってなかなか前へ進めない(笑)。
あ!“ちまき”を買うこと忘れてはいけない!ちまきといっても、厄除けのお守りとして家に飾られるもの。決して、食べものではないぞ。
各山鉾では、一般見学も行われていて、グッズを買うと山鉾に上がることができるそうだ!興奮をおさえながら、私たちは月鉾を見学することに決めた。昨年、初めて行われた重量測定で、全山鉾のなかで一番の重さをほこった月鉾。その重量は、なんと11.88トン(巡行時)。これは、チェックせずにはいられない。
あがった鉾の内部は、さほど広くはないものの美術品クラスの鉾の装飾品が、間近に見ることができる特等席。そして、祭りを上から眺めることができる。とても贅沢な気分でひとときを過ごせて、妻も満足そうだ。月の化身・うさぎもしっかりカメラに収めたぞ!
1200年以上もたくさんの人々によって守られてきた祇園祭。いつまでも、この雰囲気に浸っていたいが、明日、祭りのクライマックスの山鉾巡行を迎える。