解剖学者の養老孟司氏は、無類の昆虫愛好家、昆虫学者としても知られ、世界各地を訪れて不思議と驚異にみちた虫たちの生態を探求しています。いっぽう我が国の人々は古来、ゆたかな風土に育まれた様々な虫たちに親しみ、その姿を写し愛でてきました。本展では、養老孟司氏が細見コレクションから選ぶ、虫を表した絵画・工芸作品約70点を紹介します。写実の精緻を極めた伊藤若冲の「糸瓜群虫図」、宝石のような虫たちが鏤められた蒔絵の小箱など、みずみずしい好奇心にあふれる虫博士の眼が出会った、日本の美に息づく儚くも美しき生命を、どうぞご鑑賞ください。加えて養老氏が親交を結ぶ作家の現代の視点やテクノロジーによって表現された作品も紹介します。