近代の京都画壇を代表する存在として近年再評価が進む日本画家木島櫻谷(1877-1938)。動物画で知られますが、生涯山水画も描き続けたことも見逃せません。日々出掛けた京都近郊から毎年の旅行まで、青年時代に日本各地の風景を写生した成果は、西洋画の空間感覚をも取り入れた近代的で雄大な山水画を切り拓くこととなりました。一方、幼い頃より漢詩に親しみ、また中国や日本の古画を愛した櫻谷は、次第に中華文人の理想世界を日本の風景に移し替えたような、親しみやすい新感覚の山水表現に至ります。本展では風景スケッチやコレクションした遺愛の古画も併せてご紹介し、生涯の多彩な山水画を一望しながら、根底にあり続けた心の風景を探ります。