利休の創意の下、樂家初代・長次郎が「侘び茶」の思考を軸に、茶のために生み出した樂茶碗。それは当時、和もの茶碗としても新たな挑戦であり、「今焼茶碗」や「聚樂焼茶碗」などと呼ばれていました。ろくろが主流の時代に、あえて手ごねとへらのみで形成する「手捏ね」の手法で作られ、燃え盛る炎の中から熱いまま一碗のみ窯から引き出される特殊な焼き方で茶碗が誕生します。長次郎から始まった「樂焼」は樂歴代へつながり、それぞれが長次郎茶碗を精神的な軸とし、各々の新たな茶碗を生み出してきました。本展では、その始まりから約450年「ちゃわんやのともし火」として、長次郎から脈々と紡がれる樂歴代の茶碗や、実際の窯の炎の映像などから、樂焼がもつ精神性を探ります。