神職さんとご朱印 2
ブームが落ち着き、すっかり定着してきた感のある“ご朱印”。満を持して(?)「ご朱印ガール」を目指しはじめたわたし“オパン”が、神職さんにご朱印について色々教えてもらうシリーズ。第2回目は“学問の神様”として知られる北野天満宮へ行ってきました! お話をお伺いしたのは、ご神職の東川さん。紅葉や梅の名所で知られる神社のご朱印に迫ります。
⇒「神職さんとご朱印 1(平安神宮)」はこちらからご覧ください。
修学旅行生もMyご朱印帳を持っている時代!
梅が綺麗ですね! (撮影日:2017年3月)
——北野天満宮でご朱印を求める方はとても多いと思うのですが、どういった方がいらっしゃいますか?
年々、幅広い世代でご朱印を求められる方が増えていますが、特に若い世代の方が多いように思います。最近では修学旅行生もご朱印帳を持って来るほどですよ。
——修学旅行生も!? なんだかほほえましいですね。
小学生の子もいますが、特に中学生が多いです。グループで参拝したあとに、一人ずつ「書いてください」と持ってきます。その生徒さんたちに話を聞いてみたら、両親に教わってくる子もいれば、ご朱印にもともと興味があるという子もいるんです。授与所に並ぶ、いろいろな種類のご朱印帳を見て「今日からご朱印を始めます」という子もいますね。
北野天満宮のオリジナルご朱印帳、作られたのはなんと最近のこと!
——北野天満宮のご朱印帳は種類豊富ですよね。
梅のものがピンクと青。別柄で緑色の梅柄もあります。あと、木製のものでノーマルが1種と焼き印を押したものが2種類。全部で6種類ですね。
実は元々、北野天満宮ではオリジナルのご朱印帳は出していませんでした。調製(製作)したのは2年くらい前で、当初はピンクと青の梅柄だけでした。
——ごく最近のことなんですね! デザインはどのように決められたのでしょうか?
デザインは特にこだわりました。梅がいいのか、紅葉がいいのか、松がいいのか・・・ 北野天満宮らしいものがなにかと考えていく中で、ご朱印を受けられるのが女性が多いというのと、修学旅行など学生さんがたくさん参拝されるので、できるだけかわいらしいデザインがいいのではないかな、と。それで、北野天満宮の象徴「梅」のかわいいデザインになりました。
デザインにも天神さまの信仰が宿っている!
——ちなみに1番人気のご朱印帳は・・・?
今は木製(写真)のご朱印帳が人気です。男性でも持ちやすく、格調高いデザインのものを作ろうということになり、「せっかく作るのであれば、どこの神社にもないようなものを作ろう」ということで木製のご朱印帳ができました。
元々「宝刀展」の期間に限定で出していましたが、あっという間に数量が終了してしまいまして。その後も参拝者からのお問合せも多く、継続して出すようになりました。
——かっこいいデザインですね!
ご朱印帳の表には、「文道之大祖、風月之本主」という字が刻んであります。これは北野天満宮の楼門に掲げている額の言葉です。やはり天神さま(菅原道真)を称えるお言葉ですので、北野天満宮のご朱印帳にふさわしいということで選びました。
——デザインはどなたが考えられたのですか?
神職や巫女など、職員で意見を出し合いながら形にしています。少しでも「授かって良かった」と思ってもらえるように、「自分たちもこれであれば授かりたいな」と思う授与品をお出しするように心がけています。
“天神さまの信仰に寄り添う形で、なおかつ授かっていただきやすいものを”というのは意識しています。何か新しいものを調製するにしても、必ず根底に天神さまの信仰が宿っています。
北野天満宮のご朱印のはじまりは?
——北野天満宮の創建は天暦元年(947)。そもそもご朱印はいつごろからあるのですか?
色々と調べてみましたが、明確な記録は残っていません。各社寺によってその起源は様々だと思います。北野天満宮ではすでに明治・大正の頃に今のようなご朱印の形が整っていたようです。昭和より以前は、ご朱印に”印”だけを押していたようです。
——現在の奉拝・日付・印の形になったのはいつ頃でしょうか?
昭和に入ってからだと思います。参拝に来られた際、文字の入っているものをお求めになる方が増えてきてからですね。
ご朱印に押す“印”は種類がいくつかありますが、昔から伝わるデザインを使用しています。ちなみに、戦前まで北野天満宮は“北野神社”という社名の時期があり、その頃は“北野神社”という印がありました。そのデザインは現在使用していません。
天神さまは書の達人! もちろん神職さんも書の達人?
——北野天満宮のご祭神・菅原道真が“書の達人”だったといわれていますが、神職さん・巫女さんもやはり字が上手な方が多いのですか?
そうですね・・・ 字はみんな個性がありますね。当宮では「ご朱印係」というのが決まっていないので、神職・巫女が全員で書きます。やはり神様からいただく「お印」ですので、多少の違いはあれど、一人ひとり、真心を込めて書くように心がけています。様々な文字がありますが、それもまた「ご縁」として頂戴していただけたらありがたいと思います。
——東川さんもご朱印担当になることがありますか?
書くときもあります。お正月とか繁忙期になってくると職員が交代で授与所に入って、書いています。ほんと凄い列になりますからね。あらかじめ準備できる書き置きのご朱印もありますが、やはり「ご朱印帳に書いてほしい」という方が多いです。
天神さまを称えるお言葉をご朱印に
——北野天満宮のご朱印はたくさん種類があるように思いますが、どのくらいあるのでしょうか。
現在、皆さまのご朱印帳に直接書くご朱印は1種類で、あとは書き置きのご朱印をご用意しています。書き置きは、「至誠」「和魂漢才」「文道大祖 風月本主」という天神さまを称えるお言葉が書かれたご朱印と、あと北野天満宮が所蔵する“刀剣”にまつわるご朱印をいくつかご用意しています。
もみじの頃には「御土居の紅葉」、七夕の頃は菅原道真の七夕の御歌を書いたご朱印だとか、時節に合わせたものを、期間限定で出したりしているので、結構種類ありますね(笑) 種類は2、3年くらい前から増えていきました。
天神さまを称えるお言葉を皆さまに広く発信することで、神社のこと、神様のことをより深く知っていただく良いきっかけになってほしいという願いから、ご朱印の種類を増やしていきました。
毎回好評の「宝刀展」。刀剣のご朱印も人気のようで・・・
——刀剣のご朱印は、現在どのくらいの種類があるのですか。
現在は5種類あります。すべて北野天満宮に所蔵している刀剣の押形(A4サイズ)と一緒にお渡ししています。
——刀剣のご朱印や、現在開催されている「宝刀展」は若い女性を中心に大人気ですよね。どうして北野天満宮で“刀”なのでしょうか。
天神さまは「文武両道」の神様です。特に学問の信仰で有名ですが、武道の信仰も昔からあるんです。そのような天神信仰を広く発信し、知っていただきたいという思いがありました。かたや世の中では「刀剣」がちょっと人気が出てきたような背景もあり・・・ それなら「当宮に所蔵している刀を公開して、天神信仰を広く知っていただけると良いのでは」というのが「宝刀展」や刀剣のご朱印を始めたいきさつです。
北野天満宮では百振りほどの刀剣を所蔵しております。できるだけたくさんの方に「天神さまはあらゆる文化・芸能をはじめ、武道の神様でもある」ということを知ってもらう良いきっかけになればいいなと思っています。
北野天満宮のご朱印は、天神さまとのご縁を結ぶ
——ご朱印をいただく際、わたしたちが大切にするべきこととは・・・?
ご朱印は、お詣りする気持ちの上に成り立っているものだと思います。神社に来ていただくひとつのきっかけではありますが、大切にしていただきたいのは、参拝するということ。まずは神様の前で手を合わせる、ということを大切にしていただければと思います。
——参拝のマナーも大切ですよね。
最近は書店などでも、神社やお寺に関する本が並んでいるのをよく見かけますし、お詣りのマナーをしっかり学ばれている方が増えているように感じます。門や鳥居の前で一礼をし、手水でしっかり手を清めて・・・ という方も多く見かけるようになりました。参拝の姿がしっかり浸透しているのだなと思います。
——神社にとってのご朱印とはなんでしょうか。
お守りやお札、絵馬に願い事を書くのも“ご縁を結ぶ”ことですけれど、ご朱印も神様とご縁を結ぶためのひとつの姿の現れではないかなと思います。ここ北野天満宮でいえば天神さまとご縁を結ぶ。ご朱印も神様とご縁を結んでいただく大切なものだと思います。
秋の御土居(おどい)「もみじ苑」の公開、東川さんの紅葉おすすめポイント♪
——北野天満宮は紅葉がきれいですよね♪ 東川さんのおすすめポイントを教えていただけますか。
個人的には、御土居の壮大なスケールが好きです。北野天満宮にはもみじの古木や大きなもみじが多く、御土居の下から上を見上げると、もみじに包まれているような感覚になります。もみじ苑には高低差があるので、その空間は他のところにはない、ここならではの紅葉ポイントですね。御土居の展望所から見る国宝のご本殿も見逃せません。まだまだ知らない方もいらっしゃると思いますので、ぜひお越しになって実際に眺めてみてください。
■北野天満宮
【参拝時間】5:00~18:00(10~3月は5:30~17:30)、社務所・授与所9:00~17:00
【参拝料】境内無料
【電話】075-461-0005
【アクセス】市バス「北野天満宮前」バス停からすぐ Google map
【公式ホームページ】http://kitanotenmangu.or.jp/
★「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード特典協力先です。特典内容はこちら。
【日程】2017年10月28日(土)~12月3日(日)
9:00~16:00 ※ライトアップは、11月11日~12月3日 日没~20:00
【拝観料】700円(茶菓子付)
■宝物殿特別展「国宝 北野天神縁起絵巻と宝刀展VIII」
【日程】2017年10月21日(土)~12月3日(日)
9:00~16:00
【拝観料】300円 ※京都非公開文化財特別公開期間中(11月1日~11月12日)は800円