紅葉シーズン到来! 比叡山延暦寺 回峰行の聖地へ

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気軽に行く、京トレ 番外編


京都市の東にそびえる比叡山を境内とする、「比叡山延暦寺」。2017年秋は、「回峰行(かいほうぎょう)」の祖・相応和尚(そうおうかしょう)の1100年御遠忌記念として、西塔(さいとう)の「釈迦堂」内陣を初公開、そして三十三年ぶりに秘仏本尊「釈迦如来像」も御開帳されています。(回峰行について、詳しくは後ほど・・・)

この特別拝観+御開帳が12月10日(日)までということで、「そう京」編集部・山部メンバー(+ゲスト2名)で比叡山を訪ねてきました! 京都市内よりもひと足早く紅葉シーズンを迎えている境内の様子もご紹介します♪

⇒「いまどんな感じ?」京都の紅葉情報一覧は、こちらから


はりきって、「しゅっぱーつ!」のはずが・・・


取材日は、10月29日(日)。この日は、前週に続き台風が近づいていたため、朝から京都も大雨でした。“山部”では、数ヶ月前から比叡山登山の計画を立てていたのですが、さすがにこの天候では・・・ ということで、歩いての登山を断念。ケーブルカーで山頂を目指すことになりました。

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雨の叡電「八瀬駅」。少しずつ、紅葉も色づいています。近くにはSNSで話題の「瑠璃光院」もあり、雨の中でもたくさんの人が訪れていました。

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ケーブルカー、そしてロープウェイを乗り継いで、山頂へ。霧に包まれる比叡山。どんどん下界が見えなくなっていきます・・・

わずか6分ほどで、山頂に到着。この道のりを登ろうと思ったら、3時間ほどかかります。そう思うと、“文明の利器”ってすごいですね(表現が古いですが・・・ 笑)。

ロープウェイの「比叡山頂駅」から、「比叡山頂」バス停まで歩き、そこから比叡山内の主要エリアを結ぶシャトルバスに乗って「東塔(とうどう)」を目指します。東塔は、延暦寺の総本堂にあたる「根本中堂」があるエリアで、延暦寺参拝の起点となる場所です。


比叡山、そして延暦寺とは?


「ところでさ~、比叡山の標高って、何mなの?」
今回初めて比叡山に来たという、特別ゲストのT岡さん。生まれも育ちも東京です。「そもそも比叡山ってどういうところなの?」と質問を連発されるので、ここで延暦寺参拝部事務長の小林さんにご登場いただきました!

小林さん 「比叡山の標高? 東京の方ならば、スカイツリーの高さに、バレンタインデーを足せばいいんですよ」

みんな 「え?」

小林さん 「もしくは、東京タワーに葵祭の日を足してください(笑)」

みんな 「えええ???」

・・・さて、わかりましたか? 正解は・・・ 848mでした~(スカイツリーは634m、東京タワーは333mです)。これでもう、比叡山の高さも即答できちゃいますね♪

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比叡山遠景(左:出町柳「出町デルタ」付近 右:京都鉄道博物館)

では、比叡山がどんなところか「まったく知らない!」という方にご解説を。

比叡山はひとつの山と思われがちですが、滋賀県大津市と接する「大比叡」(848.3m)と、京都市の左京区に位置する「四明岳」(838m)の二峰からなる双山です。西にそびえる愛宕山とともに、京都盆地のどこからでも眺めることのできる、ランドマーク的な山です。

この比叡山のほぼ全域を境内としているのが、「延暦寺」。山上の「東塔」、「西塔」、「横川(よかわ)」という3つのエリアに150ほどの堂塔が並んでいます。

開山は、皆さまご存知ですよね♪ 「伝教大師・最澄上人」です。延暦7年(788)、平安京の鬼門を守るために創建されました。浄土宗の法然上人や臨済宗の栄西上人など、各宗派の祖師が修行したことから「日本仏教の母山」とも呼ばれています。

悪名高い(?)織田信長による「比叡山焼き討ち事件」は、元亀2年(1571)のこと。それ以前には「三塔十六谷三千坊」と称されたように、3,000以上の堂宇が立ち並んでいたのだとか。150のお堂でも多いと思うのに、3,000以上とはすごいことですね・・・
ちなみに、「延暦寺」は比叡山内に建ち並ぶ寺院の総称。「延暦寺」という建物はありませんのでご注意を。


【東塔】国宝・根本中堂は、「平成の大改修」の真っ最中!


東塔エリアに入ると、10月22日の台風21号の傷跡がちらほら・・・ 根本中堂へと続く坂では、大きな杉の木が折れているのを目の当たりにしました。


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小林さん 「先日の台風では、叡山は3日間、停電・断水状態でした」

京都に住む私たちも、比叡山にそんな台風禍があったとは知らず、驚いてしまいました。

小林さん 「この杉は、大きな桜の木の枝を支えていて、折れてもなお、枝の重みをしっかりと受け止めています。テレビドラマの台詞じゃないですが、“人”という字のようでしょう? お互いに支え合って立っているんです」


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国宝・根本中堂は、現在「平成の大改修」の真っ最中。今は少しだけ見えている屋根も、今年中にはすっぽりと覆いをかぶってしまいます。平成28年(2016)から約10年をかけて行われるこの大改修では、屋根の葺き替えや塗装の塗り直しなどが行われる予定です。
◆改修工事の詳しい様子は、こちらからご覧ください。

工事の期間中も堂内のお参りは可能で、1200年絶えることなく灯され続ける「不滅の法灯」も、もちろん見ることができます。2008年夏の“あのキャンペーン”、思い出しますねぇ・・・

小林さん 「不滅の法灯は、油を絶やすことなく注がなければなりません。つまりこれが、“油断大敵”。これは、自分のことは後にして、まず他に尽くすという行為につながります。これを仏教では“忘己利他”といいます。・・・油を注ぐのに “もう懲りた!” と言ってはいけませんよ(笑)」

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根本中堂周辺も、紅葉がはじまっていました


【西塔】山内最古の建物の内陣が、初公開!


激しい雨のなか、引き続き小林さんにご案内をいただいて、「西塔」へと向かいます。ちなみに小林さんも、「よくこんな雨の中を来たね~」と苦笑い・・・

小林さん 「でも、雨の比叡山は、比叡山らしさを楽しめるんですよ。『琵琶湖八景』にも“煙雨(えんう) 比叡の樹林”として選ばれています」

なんと優しいおことば! “京都に来る日はほぼ(大)雨!”というゲスト参加のOEさんも、心が救われたのではないでしょうか。

さて、「東塔」から「西塔」までは歩いて約20分ほど。シャトルバスで約5分の場所にあります。
バスを下り、最初に出会うのが「常行堂」と「法華堂」というふたつのお堂。柱廊で結ばれた不思議な姿のお堂で、この渡り廊下を天秤棒にして、弁慶がかついでもちあげたという伝承から「にない堂」の名で呼ばれています。


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学生時代を東京で過ごしたという、小林さん。当時はディスコでよく遊んだもんだ、というお話を聞きながら、にない堂をくぐり抜けます。

小林さん 「今もこの中では、僧が修行中です。左側のお堂では、90日間お堂の中を、口には常に阿弥陀仏を唱え念じつつ歩く行(常行三昧)を、そして右側のお堂では90日間礼拝と行道による法華経の読誦をする行(法華三昧)をしています」

ディスコの話、中に聞こえていないかな? と心配しながら、ふと「・・・その行を終えると、位がいただけたりするんですか?」と、質問をしてしまった私。その途端・・・

小林さん 「修行は、見返りを求めるものではないんです。この行を終えたからといって、なにがあるわけではない。その行をする、そのことが大事なんです」

・・・ギブ&テイクでしか考えられない己の小ささを実感するひと幕でした・・・


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西塔の本堂にあたるのが、「釈迦堂」。正式には「転法輪堂」といいます。「比叡山焼き討ち」後、文禄4年(1595)に豊臣秀吉によって麓の三井寺(みいでら)から移築されたお堂で、元々は貞和3年(1347)の建立。そのため、比叡山内最古の建造物となります。こちらのお堂の内陣が、初めて公開されているのです!


堂内には、最澄自作の秘仏が!


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注:写真はお参りの方。※きのこさんとかりーさんではありません


堂内に入ると、正面の厨子が開かれていて、最澄自作と伝わる本尊≪木造釈迦如来立像≫のお姿を拝見することができます! その左右には、文殊菩薩・普賢菩薩の脇侍仏も。三十三年ぶりに公開されているというお姿に、“きのこ”さんも“かりー”さんも、じっと手を合わせ拝んでいました。

小林さん 「厨子からのびる紐は、ご本尊の手につながっています。紐を持つことで、ご本尊とご縁を結ぶことができるんですよ」

左の扉から、いよいよ内陣へ。
内陣は広く、ぐるりと厨子の周りを一周できます。四方に四天王像が祀られ、文殊菩薩・元三大師・山王七社・八所明神の祠が祀られています。しかも、祠の扉も開かれているのです。山王七社・八所明神に鎮座されるご神像からは、神仏習合の名残も感じられ、貴重な機会に、私たちも思わずじーっと見入ってしまいました。

拝観後、そそっと授与所に行った、かりーさん。何かな? と思ったら、この期間限定のご朱印をいただいていました! さすが、女子。“限定”には弱いですよね。


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■釈迦堂内陣特別拝観秘仏ご開帳
<内陣特別拝観>2017年8月1日(火)~12月10日(日)
<秘仏本尊釈迦如来像特別ご開帳>2017年10月1日(日)~12月10日(日)
【内陣特別巡拝料】500円 ※別途、延暦寺諸堂巡拝料(700円)が必要です


2017年に1100年御遠忌を迎える「相応和尚」とは?


ところで、今回の特別公開は「相応和尚」の1100年御遠忌を記念して行われています。


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無動寺谷の回峰行者像


相応は、「回峰行」の祖とされる人物。比叡山の峰々を縫うように巡る、回峰行。比叡山中には「行者道」と呼ばれる小径が縦横に走っているのですが、行者はこの小径を、夜間に巡ります。日中は日々のお勤めをし、それを終えてから夜に峰を巡る。山川草木、すべての仏性に礼拝を捧げながら・・・ 荒行“千日回峰行”では、7年をかけて、地球一周分に当たる約4万kmを踏破します。


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行者道(冬の様子)


2017年9月には、一山善住院住職の釜堀さんが戦後14人目となる「千日回峰行」を達成したとの報道も記憶に新しいところです。釈迦堂では、回峰行のパネル写真の展示や映像も放映されているので、どんな修行か興味がある方はぜひご覧ください。


最後は、いま話題の「梵字ラテ」を!


さて、最後は東塔エリアに戻り、延暦寺会館へ。こちらで、いま話題を呼んでいるのが「梵字(ぼんじ)ラテ」です!


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注文時に干支をお伝えすると、守り本尊の梵字を入れていただけるとのこと。ではでは・・・ と、こちらの梵字を入れていただきました! 左は抹茶ラテ(700円)で、うさぎ年の文殊菩薩。右はカフェラテ(650円)で、来年の干支・いぬ年の阿弥陀如来です♪ 守り本尊のお力を身体に頂戴するという意味もあるそうで、なんともありがたいことですね♪

冷えた身体も温まったところで、雨の強くなってきた比叡山を後にしました。小林さん、楽しいご案内をありがとうございました!

■延暦寺会館
【営業時間】7:30~20:00 ※冬期時間変更の場合あり
【定休日】諸行事などのため、臨時休館あり
【電話】077-579-4180(9:00~17:00)
【公式ホームページ】http://syukubo.jp/
★「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード特典協力先です。特典内容はこちら。


さて、気になる紅葉の色づき具合。現在の状況は・・・?


台風の後、さらに冷え込みを増している京都。昨日(11/7)、改めて紅葉の状況を見に行ってきました♪


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こちらは、横川エリアの元三大師堂。すっかり見頃ですね! 11月2日(木)から「比叡のもみじ」もはじまった横川エリア。今月いっぱいが見頃となりそうです♪

■比叡のもみじ(比叡山もみじ祭り)
【日程】2017年11月2日(木)~11月23日(木・祝)
【料金】延暦寺諸堂巡拝料(700円)が必要です。
【場所】横川地域
【期間中の催し】無料抽選会(期間中毎日)、至福大根炊き・写経体験(11月11日~23日)
詳細は、こちらをご覧ください。

ひと足早く紅葉の見頃を迎えている、比叡山延暦寺。西塔特別公開の期間もあと僅かとなりますので、ぜひお早めに伺ってみてくださいね♪

■比叡山延暦寺
【参拝時間】東塔地区8:30~16:30(12月は9:00~16:00、1・2月は9:00~16:30)、
西塔地区9:00~16:00(12月は9:30~15:30、1・2月は9:30~16:00)※受付は30分前まで。
【参拝料】東塔・西塔・横川共通券(延暦寺諸堂巡拝料)700円、国宝殿(宝物館)500円
【電話】075-578-0001(代)
【アクセス】★詳しいアクセスはこちらをご覧ください。 Google map
【公式ホームページ】http://www.hieizan.or.jp
★「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード特典協力先です。特典内容はこちら。

【参加スタッフからのひとこと】
◆きのこ隊長「“京トレ”シリーズのはずが、まさか山に登れないとは・・・ 冬登山は危険なので、次の活動は来春です」
◆かりー部長「すごい雨でしたが、霧がかる延暦寺は幻想的でステキでした。工事中の根本中堂も、大掛かりな足場に驚きでした!」
◆みさご平部員「久しぶりの比叡山。ケーブルに乗るのはやっぱり楽しいです♪ 紅葉最盛期に、また行きたいな~」

Written by. みさご

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