※2018年の記事を改編しました
京都のお寺探訪 2
「正真正銘のゴクラク」は、町角を曲がるとあったりするんです。
2002年盛秋「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンの、このキャッチコピーを覚えている方もいらっしゃるでしょうか。町角を曲がるとあるゴクラクとは、真如堂(しんにょどう)。正式名称を“鈴聲山 真正極楽寺(れいしょうざん しんしょうごくらくじ)”といいます。
そして、この秋。17年ぶりに2019年盛秋「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンの舞台として真如堂が再登場。テレビCMではお隣の金戒光明寺とともに美しい紅葉&夕暮れ景色を見せてくれています。
\キャンペーンCMはこちらからもご覧いただけます/
⇒京都 秋は夕暮れガイド
境内一面を覆うモミジが美しく、四季折々の楽しみがある真如堂。訪れる前に知っておきたい見どころについてピックアップしましたので、旅行前にぜひチェックしてみてくださいね♪
【紅葉情報】
☆例年の見頃 11月中旬~12月上旬
⇒紅葉情報はこちら(10月中旬までは、2018年のベストショットを掲載しています)
★秋季特別展も開催します!(詳細は文末をご確認ください)
【紅葉&青もみじ】境内の撮影スポットは?
真如堂は絵になる場所が多く、秋の紅葉と青もみじの頃には、雰囲気の違う境内を楽しめます。さて皆さまは、どちらの境内がお好みでしょうか♪
①参道
例年、11月20日前後に見頃を迎える真如堂の紅葉。いち早く色づくのが、この参道周りです。
初夏のときには、この景色! いずれも絵になる参道です。
②三重塔
最も絵になるのが、三重塔とモミジ。紅葉のときには円熟味、青もみじの時にはフレッシュな雰囲気が漂い、いつの時季にも最高の被写体となってくれます。紅葉シーズンには三重塔周りはたくさんの人に囲まれてしまいますので、写真を撮るならば、早朝、もしくは夕暮れ時などの時間帯を狙ってみてくださいね♪
③本堂裏
真如堂のなかでモミジの穴場となるのが、本堂裏。参道の紅葉が終わってしまう12月上旬、本堂裏は“散り紅葉”の見頃を迎えます。初夏には苔と新緑、そして木漏れ日が爽やか。いつの時季にも訪れてみたくなりますね♪
【真如堂を知る3つのキーワード】
①「女人守護」
お十夜
真如堂は、永観2年(984)創建。比叡山 延暦寺を本山とする天台宗のお寺です。執事の本郷さんにお話を伺うと、実は「女人守護」のお寺であり、古来、女性から信仰を集めてきたと教えていただきました。
本郷さん 「真如堂のご本尊である阿弥陀如来像は、平安初期に比叡山の僧・円仁(えんにん)によって刻まれました。いよいよ完成の時、比叡山の修行僧の守護を願うと、この像が首を振って拒んだのだそうです。それでは、と、京都の民衆、特に女人の守護を願ったところ、首を三度、縦にうなずかれたといいます。その後、比叡山からこの地に移され、女人守護の仏様として信仰されてきました」
※堂内は撮影禁止(今回は特別な許可を得て撮影しています)
その伝承から「うなずきの弥陀」と呼ばれるご本尊は、本堂内々陣の厨子のなかに祀られています。毎年11月15日、「十日十夜別時念仏会(じゅうにちじゅうや べつじねんぶつえ)」、通称・お十夜(じゅうや)の結願日にだけご開帳されています。
「お十夜」とは、「この世で十日十夜善いことをすれば、仏の世界で千年善いことをしたことに勝る」という教えに従って行われる行事。真如堂では、毎年11月5日から15日まで、毎夜八つの鉦が打ち鳴らされ、阿弥陀仏を念じる行が行われます。
十夜粥
お十夜の期間には、境内で「お十夜粥」が供されます。「おじや」の語源ともいわれ、中風除けのご利益があるそう。
「真如堂」の扁額
本郷さん 「元々、この真如堂がある場所には、藤原道長の姉である詮子(せんし)の屋敷がありました。ご本尊はその邸内に祀られ、その縁もあり女人守護の寺院として信仰を集めてきたようです。本堂入り口の扁額も、江戸時代の中頃、尼門跡の宝鏡寺宮から寄付されたものなんですよ」
いつの時代も女性の心にそっと寄り添ってきた仏様。境内に漂う優しげな雰囲気は、御本尊様の慈悲深い御心が現れているのかもしれませんね。
【真如堂を知る3つのキーワード】
②「三井家」
真如堂を知るためのキーワード、2つめは「三井家」です。三井家は江戸時代からの豪商で、近代には日本最大の財閥を形成した一族。実は真如堂は三井家の菩提寺なのです。
三井家の家祖である三井高利(たかとし)が、松坂から京都に住まいを移し、真如堂を自らの墓所としたことにはじまる縁で、300年以上のつながりがあるそう。境内のいたるところに、三井家の家紋である「四ツ目結」を見ることができます。
隨縁の庭
2010年に、重森三玲(みれい)の孫である作庭家・千靑(ちさを)氏によって作られた「隨縁(ずいえん)の庭」も、この家紋を元にデザインされています。
本郷さん 「庭のなかにはたくさんの四ツ目がデザインされています。石や苔など、それぞれが異なる表情になるように作られ、日の当たり方や季節で見え方が変わります。でもその本質は変化しない。“隨縁真如(真理が縁によって様々な姿を見せる)”という思想を表したものなのです」
なるほど~、と四苦八苦しながら写真を撮っていると、「小さな庭ですが日の当たり方が様々で、カメラマン泣かせなんですよ(笑)」と本郷さん。本当に・・・ 特に日差しの強い日は陰影が濃くなってしまうので、狙い目は“曇りの日”なんだそうです。
【真如堂を知る3つのキーワード】
③「安倍晴明」
拝観している際に気になったのが、このお守り。“あきらめない貴方を守る”! ・・・かっこいい~! と釘付けになってしまいましたが、ところで、なぜ「復活」なのでしょう?
本郷さん 「気になりますか? ・・・その答えは、内陣の横にあります」
※堂内は撮影禁止です(今回は特別な許可を得て撮影しています)
文殊菩薩や天台大師、伝教大師の木像が祀られる仏間の前に、謎のパネルが置かれています。
本郷さん 「真如堂には“真如堂縁起”という、室町後期の絵巻が伝わっています。応仁の乱の場面が描かれるなど貴重な史料なのですが、そのなかに“安倍晴明復活”の場面が描かれています」
『真如堂縁起』とは、その名の通り、真如堂の由緒や本尊の由来を絵で説いた絵巻物で、このなかに安倍晴明が登場します。“晴明が急死しそうになったとき、晴明の念持仏である不動明王が閻魔大王に直談判し、晴明が息を吹き返した”という場面が描かれ、その際に閻魔大王は「結定往生之秘印(けつじょう おうじょう の ひいん)」という金印を晴明に授けたといいます。
・・・実はこの晴明の念持仏である不動明王が、真如堂のご本尊の隣に脇仏として祀られ、なんと、閻魔大王に授かった金印も真如堂に伝わっているのです! この金印は、印影(紙に印を押したもの)を持っているだけでも「この世においては天寿全う、来世においては往生極楽」できるという驚くべきパワーを授けてくれるそうで、本堂の授与所で授与されています。前述の「復活守」も、晴明の復活伝承を元にして作られたということです。
本郷さん 「金印や、真如堂縁起の写本は、毎年7月25日に行われる“宝物虫払会”で実物を見ることができますよ」
閻魔様に授かった金印が見られるとは! そのほかの宝物も数多く拝見できる貴重な機会なので、ぜひ機会があれば訪れてみてくださいね。
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東山三十六峰を借景とする「涅槃(ねはん)の庭」
まだまだ見どころはありますが、今回は、モミジ&3つのキーワード「女人守護・三井家・安倍晴明」に注目してみました。初夏の新緑の時季には菩提樹や沙羅双樹が可憐な花を咲かせ、7月には木槿(むくげ)。そして、11月からはいよいよ紅葉シーズンに。この秋には、旅行プランや「そう京」イベントで、初めてとなる境内ライトアップも開催されます! ぜひ真如堂をゆっくりと訪ねてみてくださいね♪
本堂や書院にて《刺繍観経曼荼羅》等の宝物特別展示を予定しています。
【日程】2019年11月1日(金)~12月8日(日)
9:00~16:00(受付終了)
※11月10日(日)・15日(金)、12月8日(日)は拝観制限あり
【拝観料】1,000円(通常拝観料含む)
\往復新幹線付の特別プランはこちら/ ※旅行プランをお申込みいただいた方がご参加いただけます。
■真如堂 紅葉の境内貸切ライトアップ(要事前申込み)
【日時】2019年11月22日(金)~12月1日(日)
18:00~19:30(受付終了19:00)
⇒特別公開のみご参加したい方はこちらのページをチェック!
※「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード会員様がご参加いただけます。
\通常非公開の名仏に出会えるチャンス/
■真如堂と金戒光明寺 名仏めぐり ※キャンセル待ちで受付中
【日時】2019年11月15日(金)
14:00~19:00
\初の境内ライトアップ/
■真如堂 紅葉の境内ライトアップ(事前申込み不要)
【日時】2019年11月23日(土・祝)・24日(日)・30日(土)、12月1日(日)
18:00~19:00(受付)
■真如堂[真正極楽寺]
【拝観時間】9:00~16:00(受付終了15:45)
【拝観料】本堂・境内無料、宝物・庭園500円(11/1~12/8、3月中は1,000円)
【電話】075-771-0915
【アクセス】市バス「真如堂前」・「錦林車庫前」バス停から徒歩約8分 Google map
【公式ホームページ】https://shin-nyo-do.jp/
★「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード特典協力先です。特典内容はこちら。