(撮影日:2015年10月7日)
古都ジェニックな一枚を撮ろう 3
3回目となるこのシリーズ。今回も京都らしい情緒たっぷりで、写真を撮りに行きたくなるスポットを紹介したいと思います。
「秋明菊(しゅうめいぎく)」は、またの名を「貴船菊」と呼び、その名の通り、京都の貴船地方に多く咲いていたことに由来するそう。「菊」と付きますが、実際にはキンポウゲ科の植物で、古い時代に中国から伝わり、やがて日本に自生していったという見方が強い花であるそうです。
今日ご紹介するのは貴船神社… ではなく、京都盆地の西にそびえる西山の中腹にお堂を連ねる善峯寺(よしみねでら)。例年、10月の上旬からたくさんの秋明菊が皆さんをお出迎えしてくれますよ。
大変ですが、頑張って登りましょう!
(撮影日:2017年9月20日)
京都市内のはずれ、しかも山の中腹にあるお寺ですが、JR「向日町(むこうまち)駅」のほか、阪急「東向日駅」からも善峯寺行きのバスが出ていますので、市街地からは公共交通機関でアクセスが可能。京都駅からは、順調にいって1時間ほどで着くことができます。
そして、終点となる「善峯寺」バス停からがちょっと大変。8分ほどではありますが、坂道を登っていかないといけません。でもその先に広がる風景のことを考えれば、何のその! 一歩一歩踏みしめて、拝観受付のある山門を目指しましょう。
ところで、秋明菊が本格的な見頃を迎える10月上旬から中旬は、朝晩と昼間の気温差が非常に大きく、境内の中にも高低差があるので、服装にはやや注意が必要かもしれません。暑くなってきても、涼しくなってきても対応できる服装を準備されると良いですよ。それでは、境内に進みましょう!
派手さはありませんが…
(撮影日:2015年10月7日)
山門を抜け、まずは正面にある本堂でお参りを。そして順路に沿って境内へと入ったすぐの石段で、さっそく良い感じの風景が! 遠く向こうに見える阿弥陀堂を背景に、絵になりますね~。このあたりも秋明菊がチラホラ咲いていますが、これはまだまだ序章にしかすぎません。でも… これぐらいの量で慎ましやかに咲く風景もカツオは好きだったりします。
山のお寺ならではの光景
(撮影日:2015年10月7日)
さて境内を進んでいくと、このような絶景が。京都の町並みが一望でき、ここまでの苦労も一気に吹き飛ばしてくれます。改めてこの写真を見てみると、向こう側に見える山々の山肌までくっきり綺麗に見えますね。10月にもなると、空気の澄む日(乾燥した日)が多くなってきますが、まさにそのような日だったのでしょう。「せっかくなので、秋明菊だけではなく絶景も楽しみたい!」という方は、訪れる前に市街地から善峯寺のある山(西山)の方を見てみましょう。山肌がくっきり見えていたらおそらくそれは絶景日和。市街地から山がくっきり見えていれば、山から市街地を眺めてもきっとクリアな風景が広がっているはずです。
目の前に花の群れ。さあ、構図を作り出してみましょう!
(撮影日:2015年10月7日)
山門からだいぶ高度が上がってきました。バス停から歩いてくることを考えると、さすがにそろそろ疲れてくるころかもしれません。そういったタイミングでこの花壇の登場です。休んでいる暇はありませんよ(笑)
青空と相まってコントラストも綺麗な一枚ですが、せっかくなら、やはり京都っぽく、「古都ジェニック」な写真に仕上げたいですよね。この左側にお堂がありますので、花壇を挟んで右側から狙ってみましょう。そうそう… このすぐそばに休憩用のベンチがありますので、お疲れの方は無理をせずそちらでひと息を。
もう少し早い時間が良かったようで…
(撮影日:2015年10月7日)
釈迦堂を背景に一枚撮ってみました。京都らしさが出てきましたね。しかし、どうでしょうか。花には光が当たっていますが、背景のお堂の部分には影がかかりやや暗くなってしまいました。というのも、善峯寺境内の背後には小高い山がそびえています。太陽は時間とともにその山の更に向こう側に進んでいくので、午後もある程度の時間にさしかかると、山影が徐々に境内に迫ってきます。この写真は15時30分頃の撮影。本来であれば、太陽が空の真上にあるぐらい、お昼頃に来るべきだったのかもしれません。晴れの日は「影」に注意したいところです。
影にめげることなく撮影を続けます
(撮影日:2015年10月7日)
カツオのレーダーは反応しています。光と影の明暗差こそあるものの、「この辺りで良い感じの一枚が撮れそうだ」と。こういうときは、ちょっと粘ってみましょう。少しずつ場所を変えたり、カメラを構える高さを変えてみたり… ちょっと移動すると、先ほどまでの紫一色から一転、今度は白が増えましたね。しかもお堂と花のバランスがまとまってきたような♪ でも、「花壇にではなく、自然に咲いている」ふうに撮りたいなぁと思い、もうひと工夫してみました。
カツオ渾身の一枚
(撮影日:2015年10月7日)
花の間近まで迫り、広く写るように撮ってみました。構図の中からは花壇をうかがわせるものがなくなり、あたかも自然に咲いているように見えませんか。しかも、たくさんの秋明菊が咲くお寺という印象も感じ取れるような気がします。満足満足… なわけですが、もう少しだけ撮影スポットを探します。さらに境内を登ってみましょう。
さすがに疲れてはきましたが…
(撮影日:2016年10月20日)
境内のほぼ最奥の薬師堂にやってきました。この辺りまで来ると、さすがに息も上がり気味に… でも、皆さまに見ていただきたいのはこの薬師堂の裏庭。さあ、あともうひと息… 本当にもうひと息です。
お薬師様からのご褒美?!
(撮影日:2015年10月7日)
薬師堂の裏には、鯉が泳ぐ池を中心に配したお庭が。ここまで登ってきた方だけが見ることのできる風景は、お薬師さんからのご褒美でしょうか。この池の周りに限らず、そこかしこで可憐な秋明菊を愛でることができます。せっかく善峯寺まで来たからには、ぜひこの薬師堂までお越しください。この辺りから見る京都市街地の大パノラマもおすすめですよ!
善峯寺のバス停からスタートして、この薬師堂まで写真撮影しながら拝観すると、バス停まで戻る時間も加味して、2時間ぐらいは欲しいところ。帰りのバスの時刻をしっかりチェックした上で、秋明菊をお楽しみくださいね。
【拝観時間】8:00~17:00(受付終了16:45)
【拝観料】500円
【電話】075-331-0020
【アクセス】JR東海道本線「向日町駅」乗換、阪急バス「善峯寺」バス停下車徒歩約8分 Google map
【公式ホームページ】http://www.yoshiminedera.com/