東寺の門前菓子 ふわふわ“東寺餅”

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京都・門前菓子シリーズ 2


社寺の門前で売られる“門前菓子”をご紹介する「京都・門前菓子シリーズ」の第2回目。今年(2017年)のJR東海「そうだ 京都、行こう。」秋キャンペーンの舞台は「東寺(教王護国寺)」ですから、これをご紹介しないわけにはいきません。・・・そう、“東寺餅”です! 数ある京都の門前菓子の中でも、絶大な人気を誇る東寺餅。甘いもんに目がない“ち~たら”が、歴史や美味しさのひみつなど、東寺餅のあれこれを探ってきました。



店名の通り、東寺のそばに店を構える「東寺餅」さん。創業は大正元年(1912)と古く、今年で105年を迎えました。さっそく、3代目ご当主の沼田友幸さんに、東寺との関係を伺ってみたのですが・・・。

「東寺さんとはね、実は何も関係がないんです(笑) この辺りのお店、どこも店名に“東寺○○”ってつけてはるでしょ。私のお店も同じで、東寺さんの名前を頭につけただけなんです」

えぇ、そうなんですか?! さらに聞くと、もともとは兵庫県で「城崎屋(きのさきや)」というお店を営んでいた初代が現在の場所に移り、戦後になって2代目が屋号を「東寺餅」に変えたのだとか。なんと、この店名は近年につけられたものだったのですね!



こちらがお店の名物・東寺餅です。さっそくいただいてみると・・・ たっぷりと詰まったこしあんに、フワッ、モチッとした求肥(ぎゅうひ)。「このふわふわ感! たまら~~ん!」と、優しい食感にやみつきになる方が多いのだとか(もちろん、わたしも大ファンです)。この特徴ある食感を、どのように作り出されているのか聞いてみました。

「求肥にメレンゲを入れているんです。メレンゲを加えることで、のどごしがよくなって、ツルンといける。普通のお餅やと、その日のうちに食べないとすぐ硬くなってしまうけど、東寺餅は2日ぐらいこの柔らかさで食べられるんです。それに、日持ちがしやすくなるんですよ」

なるほど、この赤ちゃんのほっぺのような、ふわふわ食感のポイントはメレンゲだったんですね~! 実はこの東寺餅、沼田さん自身が20代の頃に考案したそうです。

「もともと“東寺餅”ってお餅は、お店に置いてなかったんです。でも店名が『東寺餅』やから、お客さんが『東寺餅くださいな』って買いにきはるんですよ。そりゃ、勘違いしますよね(笑) そこでわたしが考えたのが、この“東寺餅”なんです」

なんと、「東寺餅」という名でありながら、東寺餅はなかったなんて(笑) ですが、沼田さんが作り出したこのお菓子が、今では東寺の門前菓子にまで成長しているのですから、すごいことですよね。


暖簾の左横には”総本山東寺御用達”の文字が!!


ふと気になったのが、店内にかかっていたこの暖簾のマーク。東寺の五重塔と・・・ ん? 後ろの“丸”はなんですか?

「その丸は、東寺餅です。完全な丸やなくて底が平たいでしょ。お皿に置いたときの東寺餅の形なんです。お餅で五重塔を包み込んでるようなイメージですね。あと、『東寺餅』の文字も見てください。ちょっと丸っこい字してますでしょ。これはお餅の丸みとか、柔らかさを表現してるんです」

言われてみると、たしかに東寺餅の形だ! 文字もふっくらと丸いですね! 文字の形にまでそんな意味がこめられていたとは驚きです。細かなところにも、こだわりがたっぷりと詰まっているのですね。



取材したこの日は、東寺の境内に露店が並ぶ「弘法さん」の日(毎月21日)でもなく、普通の平日。にもかかわらず、お店はこの大盛況ぶり! 平日でこの状態だと、大勢の人が訪れる「弘法さん」の時は、これ以上に大変なのでは・・・?

「えぇ、大変です(笑) 通常の仕込みは朝の6時頃から始めるんですが、弘法さんの日は深夜の3時くらいから始めますね。開店時間も、通常7時からのところ、弘法さんの日にかぎっては6時から開店します。21日は、皆さんいつも以上に早起きして参拝に行かはりますからね」

えー!! そんな真夜中から!! 沼田さんの体力にびっくりです。やはり、弘法さんの日はたくさんのお客さんがいらっしゃるのですね。
ちなみに、お店は6のつく日が定休日(6日、16日、26日)とのことですが、これって何か意味があるのですか?

「ええ、ありますよ。たとえば、弘法さんは毎月21日でしょ。端午の節句は5月5日。6のつく日ってこういう日とかぶることがないから、休みに都合がいいんです。でも6のつく日が土曜日、日曜日にあたる時はお店を開けます。だって、今は土日がお休みの人が多いでしょ。せっかくお休みの日にお客さんが買いにきてくれはっても、お店が閉まってたらあかん。たくさんの人にうちの商品を食べていただきたいですからね。だから、休みが全くないような月もありますけど、それでいいんです」

 

働き者の沼田さん。わたしなんか、常に「次の休日は何しようかな~、ごろごろしたいな~」と考えているというのに・・・。
ほとんど休まずに働かれる沼田さんのお身体を心配していると、こんな力強いお言葉をいただきました。

「自分が真心込めて作ったお餅を皆さんにお届けしたい。『美味しかった。また食べたいな』ってお客さんに喜んでもらえるのが一番嬉しいですね。私がここで働きだしたのが20歳の時やから、お店の105年の歴史の約半分は、私がやってることになります。東寺さんのそばにあるからには、しっかりと恥ずかしくないように頑張らなあかんと、昔からずっと思ってやっています」

優しく笑いながらそう語ってくださった沼田さん。美味しいお餅を食べて欲しい、お客さんの喜ぶ顔が見たい、とお客さんを第一に考えるその情熱のこもった言葉に胸を打たれました。
沼田さんの気持ちがたっぷりと詰まった東寺餅。これからはただ食べるだけでなく、沼田さんの熱意を噛みしめながら、美味しくいただこうと思いました。皆さまも、東寺への参拝や紅葉を愛でた帰りに、ぜひ東寺餅へ♪

 

⇒「東寺周辺ぐるめぐり 2」でも東寺餅をご紹介しています。


■東寺餅
【営業時間】7:00~19:00
【定休日】毎月6・16・26日(土曜日・日曜日・祝日の場合は営業)
【電話】075-671-7639
【アクセス】JR「京都駅」から徒歩約15分 Google map
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Written by. ち〜たら

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