世界遺産「東寺」の隠れた見どころをチェック!

  • 散策
  • 知る・学ぶ
東寺top
 

 

「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンの舞台をご紹介 2


皆さん、今年(2017年)のJR東海「そうだ 京都、行こう。」秋キャンペーンのCMはもうご覧いただきましたか。キャンペーンの舞台である東寺(教王護国寺)の見どころといえば、五重塔や仏像を思われる方が多いと思いますが、まだまだ注目していただきたいポイントはたくさんあるんです。今回はスタッフ“ち~たら”が、東寺の“隠れた見どころ”をレポートしたいと思います!


東寺の宝物を守り続けた「宝蔵」


宝蔵

大宮通に面し、東寺の東門にあたる「慶賀門(けいがもん)」を入り、左側へ進んでいくと堀に囲まれた小さな建物が見えてきます。
こちらは、重要文化財の「宝蔵(ほうぞう)」。東寺の宝物を保存してきた建物で、周りを堀で囲っているのは火事による延焼を防ぐためなのだそうです。よく見ると、壁面が洗濯板のようにボコボコしていますよね! 校倉造(あぜくらづくり)という様式で建てられていて建物内部の湿度をうまく調節できるよう、壁面の木材が特殊な組み方をされています。木製の宝物などは湿気が強敵ですから、空調設備もない時代にはかなり重宝されていたのでしょうね。


柳の木に秘められた「逸話」


柳の木

宝蔵を囲う堀のすぐそばには、大きな柳の木があります。立派ですね~。風で葉がそよそよ~と揺らぐ姿も風情があります。実はこれ、ただの柳ではございません。


駒札

木の下にある駒札には「伝 小野道風ゆかりの柳」とあります。なんでも、平安時代の貴族・小野道風(おののとうふう)には、こんな逸話があるのだとか。

「自分自身に書道の才能がないと落ち込んでいた道風は、蛙が柳の葉につかまろうと何度も挑戦し、見事に飛びつくことに成功した姿を見て“諦めずに努力をすれば必ず道は開ける”と書道に一層励むことを決意し、やがて書道の達人となった」

これを聞いて、花札で遊んだことのある方はピンときたのでは? 11月の花札「柳に小野道風」に描かれているのは、この逸話の一場面なんです! そして、その柳というのがこの木なのだそう。


蛙

堀には、この逸話に基づいて作られた蛙さんたちがいらっしゃいます。今にもピョンッと柳の葉に飛びつきそうなほどリアルですね・・・。蛙が苦手な方(わたしもですが)はちょっとビックリするかもしれません(苦笑)


五重塔で出会った「可哀想な鬼」


五重塔

さまざまな仏像が安置されている重要文化財「講堂」や国宝「金堂」が並ぶ“有料拝観エリア”を奥へと進むと、東寺の象徴、国宝「五重塔」が待ち構えています。どうですか、総高約55メートルのこの迫力! ここへ来るたびに、ドドドーン!!

としたそのスケールに圧倒されてしまいます。「すごいな~、さすが国宝やな~」とジーと下から見上げていると、初層の屋根部分に何かを発見しました。


初層

この部分です。分かりづらいので、もうちょっとアップにしてみましょうか。


邪鬼

んん!? だ、誰ですかあなたは!?

一生懸命、屋根を背負っているこの方は、「邪鬼(じゃき)」さん。仏像に詳しい方にはお馴染みの、四天王像などによく踏まれちゃってる鬼です。見てください、このユーモアある表情! 「うんしょ、うんしょ。この屋根重すぎるわぁ~(泣)」とでも言ってそうですよね(笑) なんとも情けなくも愛らしいお顔をしていらっしゃいますが、重い屋根を背負わされるこの姿を見ると、なんだか少し可哀想に思えてきました・・・。この邪鬼さんは、初層部分の屋根四隅を支えていらっしゃるので、ぜひ塔の周りをぐるりと回って、そのつらそ~うな表情にも注目してみてくださいね。


毘沙門堂で発見! ふたつの不思議な「パワーストーン」


贔屓さん1

五重塔・金堂・講堂のある“有料拝観エリア”を出て、「毘沙門堂」へ。邪鬼さんに続いて、またもや重いものを背負わされている可哀想な方と出会ってしまいました。
「尊勝陀羅尼(そんしょうだらに)の碑」を背負う、亀のようなこの生き物。これは龍の子供である「贔屓(ひいき)」さんです。贔屓さんのなかでも、写真のように、石碑を背中に乗せて台となっているものを「亀趺(きふ)」と呼び、石碑が永遠に遺ることを願って作られるそうです。


贔屓さん2

背負っている石碑がよほど重いのか、「んーー!」と下唇を食いしばっているよう。ですが、それでも“ニヤリ”と笑ってみせる頑張り屋の贔屓さん。ジーと見ていると、だんだん可愛く見えてきました(笑)
実は、この贔屓さんには不思議なパワーが。なんと、贔屓さんを撫でた手で自分の身体の優れないところを触ると、その部分が回復するそうなのです! 神社にいる撫牛(なでうし)さんのようですね。というわけで、そのパワーを授かろうとさっそく撫でてみました。

なでなで・・・ なでなで・・・

わたしは自分の口を撫でて、「歯磨きをしているときにオエッとなりませんように(切実)」とお願いしました。


天降石

贔屓さんの右ふたつ隣には、玉垣に囲まれた大きな石が。これは「天降石(てんこうせき)」と呼ばれ、こちらも贔屓さんと同じく、撫でた手で身体を触ると病が治ると伝わります。ではさっそく…


天降石2

「オエッとなりませ(以下略)」
わたしの手で石のサイズ感が分かりますでしょうか。かなり大きいです。この石は古くからこの場所にあったとされ、江戸時代には「護法石」と呼ばれていたそう。「護法」とは“悪いものを追い払う力”という意味があるので、昔からその不思議な力を授かろうと、多くの人がこの地に足を運んでいたようです。身体に不安な部分がある方は、贔屓さんや天降石を撫でてみてはいかがでしょうか。


空海を助けた「雨乞いの神様」


善女竜王

境内を北へ向かうと、北大門の外側に「弁財天堂」を発見! お堂の裏には雨乞いの神様「善女竜王(ぜんにょりゅうおう)」が祀られたお社があります。
このお社にはこんな逸話が。ライバル同士であった東寺の弘法大師空海と西寺の守敏大徳(しゅびんたいとく)が、朝廷の命を受けて神泉苑で雨乞い合戦を行った際、この善女竜王が空海の手助けをして雨を降らせ、見事勝利に導きました。その時、勧請された善女竜王が、こうしてここに祀られているのだそうです。
この勝負により、空海には栄誉が与えられ東寺は栄えていきましたが、西寺はその後衰退していくこととなります。なかなか目につかない小さなお社に、こんな逸話が秘められていたとは驚きです。ちなみに、北大門のそばにはこんなに大きな「善女大龍王碑」もありますよ。


善女大龍王碑

空海もお詣りした「八島社」


八島社

南大門のそばにある、「八島社(やしましゃ)」。歴史はとても古く、弘法大師空海が東寺を創建するよりも前からこの場所にあったそうで、なんと空海は東寺の建立にあたり、「寺門建立成就・方位安全・法道繁栄」の祈願をここで行ったのだとか!

“え! お坊さまなのに、神社にお詣りするの?”とビックリされる方もいらっしゃると思いますが、かつて日本には神道と仏教が合わさった「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」という不思議な信仰があり、お寺の境内にあるこちらの神社はその名残り。日本の信仰の歴史を感じて、なんだかワクワクしてきませんか(わたしだけ?)。


どの子がお好み? かわいいネコのおみくじ♪


ねこみくじ

拝観受付横売店では、ネコの置物付きのおみくじ(300円)を発見♡ このおみくじのポイントは、ネコのお顔が数種類用意されているところ♪ どの子もとても可愛い顔をしているので、悩みに悩んでわたしはこの子を選んだのですが、おみくじの結果はなんとも微妙な「末吉」(笑) 皆さんも、自分のお気に入りの子を見つけてみてください♪


あまり注目されない場所にも、面白い歴史が隠されているのが東寺の奥深いところ。今年の秋は、皆さんも東寺でさまざまな発見をしてみてくださいね。

ここで耳より情報! 最初にご紹介した「宝蔵」。普段は柵に囲まれ、近くで見ることが出来ないのですが、11月18日(土)、25日(土)、12月2日(土)に実施する「そう京イベント」では、東寺のお坊さまにご案内いただきながら、間近で見学することができます♪ さらに、通常非公開の「夜叉神立像」や「小子房」の拝観、夜間のライトアップに先行入場できたりと、貴重な体験が盛りだくさん。ぜひこの特別な機会をご利用ください。

⇒「そう京イベント」ってなに? という方はこちらをご覧ください。

⇒11月18日(土)、25日(土)、12月2日(土)実施イベント「東寺 お坊さまと巡る秋の特別拝観」の詳細はこちらをご覧ください。

■東寺[教王護国寺]
【拝観時間】境内5:00~17:00、金堂・講堂・五重塔初層8:00~17:00(受付終了16:30)
※五重塔初層は10月28日(土)~12月10日(日)までの公開
※11月24日(金)~12月4日(月)は金堂・講堂・五重塔初層は8:30~
※拝観時間は季節によって異なりますので、詳細は公式ホームページをご確認ください。

【拝観料】境内無料、金堂・講堂500円(2017年10月28日~12月10日は五重塔初層も含め800円)
【電話】075-691-3325
【アクセス】JR「京都駅」から徒歩約15分 Google map
【公式ホームページ】http://www.toji.or.jp/


 

Written by. ち〜たら

おすすめコンテンツ