北山杉が育まれる地、中川地域を満喫!

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北山杉
 

当日レポート ~2017年12月3日実施~


まっすぐ立ち並ぶ北山杉の山林が美しい京都市北区の中川地域。銘木「北山丸太」の生産地であるこの里で、その魅力を学ぶ散策イベントを実施しました。ご案内役は自らも山に入り、北山丸太の生産に携わってこられた、京都北山丸太生産協同組合 理事長の森下武洋さん。深い歴史と先人の知恵を体感した当日の様子をご覧ください!

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北山丸太の誕生には里の地形と大きな関わりがあると森下さんはいいます。中川地域は大きな材木を運搬するための広い川がない一方で、都までは半日あれば徒歩で往復できる距離にありました。そこで、人力でも運びやすい「細くまっすぐ」な形状と、さらなる付加価値として「なめらかな木肌」が求められ、北山杉の育成が始まったのです。

美しい木肌とまっすぐな形状を実現するには「枝打ち」という作業が必要になります。定期的に枝を落として成長を遅らせると、年輪が密になって色艶や光沢が良くなるそう。品のある姿は茶室の建材や床の間の床柱として好まれ、「北山丸太」のブランド化に成功したのです。

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特別に「枝打ち」を職人の射場(いば)さんに実演してもらいました。難しいのは、きれいに切る技術はもちろん、上手く成長させるためにどの枝を切るか選択すること。さらに、切った跡を残さない鎌の切れ味も重要な要素です。「人間も鋭いカッターで切った傷はきれいに治るでしょ。それと同じです」と森下さん。切れ味を維持するために、作業中も1時間に1回は必ず鎌を研ぐというから驚かされます。

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北山杉は挿し木で増やすため、親株のすぐれた特徴をそのまま受け継ぐのが特長です。お参りした中川八幡宮には、かつて親株に選ばれた木が今も生き残っていました。樹齢はなんと500余年! 現在生産されている北山杉の一部にもこの杉の遺伝子が受け継がれているそう。その大きさもさることながら、500年たっても真っ直ぐな樹形はまさに北山杉の母樹と呼ぶに相応しい佇まいでした。

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お食事は、築160年という古民家を利用した「山の麺処」へ。メインは具だくさんの温かいつけ汁でいただくヘルシーな雑穀麺です。囲炉裏で焼いた野菜や、里の特産品である山椒と鹿肉の佃煮など里の恵みもたっぷりいただきました。デザートの草餅も、地元の草餅屋さんによるつきたてで、もちもちの食感がたまりません! 店主の村上さんからは、昔ながらの中川の暮らしを伺い、皆さまも感心しきりでした。

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つづいては先程「枝打ち」を披露してくれた射場さんの工場で、水圧を利用した北山丸太の皮剥きを見学させていただきました。ものすごい音と共に噴出された水を当てると、どんどん美しい木肌が現れます。特別に会員様にも体験していただいたのですが、簡単そうに見えてもやはり職人技。「思ったようにできなくて、難しいです」と苦戦されたようです。貴重な体験ができましたね。

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北山丸太が保管されている製品倉庫も見学させていただきました。なめらかなものから、しわやコブが入ったものなど色々な種類が見てとれます。なかでも興味を引かれたのが「人造絞丸太」。自然物にしか見えないしわを人工的につけたというのだというから驚きです。他にも特殊な製法や、新製品のご紹介など興味深い話がいっぱい。専門家ならではの話を気軽に聞けるのは、イベントの醍醐味ですね♪

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集落を散策しながら向かったのは里の高台にある宗蓮(そうれん)寺。ご住職から、里や北山杉への熱い想いを伺ったあと、通常非公開の書院へご案内していただきました。ご住職もイチ押しの書院からの眺めはまさに絶景。借景となる北山杉の山林と、よく手入れされた書院庭園からなる美しい景色は、ここでしか見ることの叶わない特別な眺めです。「もう少しだけ・・・」とコメントが出るほど、離れがたく思うのも納得です。

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宗蓮寺のそばで出迎えてくれたのは里のシンボルでもある「大台杉」です。台杉は、1本の木から複数の丸太を収穫することができます。斜面が多く土地面積が少ない中川ならではの育林法です。手のひらのように広がる「台」から複数の杉が真っ直ぐに伸びる不思議な姿と、樹齢約400年という歳月が醸し出す存在感に皆さまも圧倒されていました。

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最後に訪れた木造倉庫群では、丸太に残った薄皮剥きと、里の近くにある「菩提の滝」の滝壺から採れた砂を使った、丸太磨きを体験させていただきました。どちらも単純作業でしたが、「この感触、クセになります!」「いつまでも磨いていたくなりますね」と、のめり込んでしまう会員様が続出。真剣ながらもわいわいと楽しげに作業を続ける皆さまの姿がとても印象的でした。
さて、思いがけず夢中になってしまいましたが、どれだけ効果があったのでしょうか。細かい皮や砂をため池で洗い流してから丸太に触れてみると・・・ 驚くほど表面がツルツルになっています! そして、「手までツルツルになってる!」と女性会員さんも大興奮。中川の先人達が生み出した技術の結晶は、会員様の美しさをも磨きあげてしまったようです。


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帰りのバス停へと向かう皆さまへ、森下さんがとっておきの光景を見せてくれました。それは枝打ちしたばかりの息を呑む程に美しい北山杉の林。杉林を維持していくことの難しさを知った会員様には、感動もひとしおだったようです。最後まで驚きと感動に溢れたイベントもこれにて終了。温かく迎えていただいた中川の里の皆さま、ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました!

今回ご紹介したのはイベントのほんの一部。これからも面白くユニークなイベントを企画していきますので、興味を持っていただけた方は、ぜひ参加してみてください。どこかのイベントで皆さまとお目にかかれるのを楽しみにしています♪

Written by. きのこ

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