早春に薫る 2月の京菓子3選

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京の和菓子の玉手箱 5



梅のたよりも聞こえはじめる、早春の京都。「冬と春の間となるこの時季には、季節の移ろいを感じられる和菓子をいただけるんですよ」とおっしゃるのは、京都の和菓子を愛する“和菓子ライフデザイナー”の小倉夢桜(おぐらゆめ)さん。今月も、小倉さんおすすめの和菓子をご覧ください♪



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2月となり、まもなく二十四節気の「立春」が訪れます。暦の上では春を迎え、底冷えのする京都の町にも、少しずつ春の息吹が感じられます。

この時季に和菓子屋さんに並び始めるのが、春を感じられる意匠の生菓子です。
日々の暮らしの中に和菓子を取り入れて、季節の移ろいを楽しむ。和菓子だからこそできる楽しみ方を、皆さんも見つけてみませんか。



鍵善良房(かぎぜんよしふさ) 【下萌(したもえ)】


立秋から下がりはじめる平均気温は、立春とともに上昇へと転じはじめます。その立春(2018年は2月4日)の前日が、「節分」。文字通り“季節を分ける”日です。京都では、この日に様々な寺社仏閣で節分祭が執り行われます
その中でも、観光客の方が一番京都らしさを感じることができるのが2月2日(金)・3日(土)に行われる八坂神社の節分祭ではないでしょうか。毎年、神社に近い四花街の舞妓さんによる舞踊奉納と豆撒きが境内の舞殿で行われ、華やかな雰囲気を一目見ようと多くの方で賑わいます。

その八坂神社から四条通を西へ徒歩約3分、格式高い雰囲気のお店が目に入ります。老舗和菓子店「鍵善良房」です。

正確な創業年は不明とのことですが、江戸の中期にはお店を構えていたという歴史あるお店です。



祇園という場所柄、お茶屋さんや料亭の方、南座(現在は改修工事中)に出演される役者さんなどがご贔屓にされています。また、木漆工芸家の人間国宝・黒田辰秋や陶芸家の河井寛次郎をはじめとする、京都に縁の深い多くの文化人たちの舌を酔わせてきたお店でもあります。

店内には、ところ狭しと黒田辰秋の見事な棚や調度品、そして干菓子の木型などが並べられていて、まるで美術館のようです。



お店へ足を運んでいただいたお客様に、お菓子の持つ歴史や美意識を感じ取っていただきたい、という想いが伝わってきます。

看板商品である「くずきり」と「菊寿糖(きくじゅとう)」はあまりにも有名ですが、その他にも季節に合わせた和菓子が店内に並びます。



なかでも、季節の移ろいを存分に感じることができる上生菓子は常時、数種類販売されています。

これからの季節に登場するのが、「下萌(したもえ)」と名付けられた練り切り製のお菓子。


下萌(380円)


静かな春の日差しを浴びた雪解けの大地。
厳しい冬を耐え、新しい命が芽吹く時。
冬から春へ—
季節の移ろいを表現したお菓子です。

店内奥の喫茶室で“おうす”と一緒に召し上がることもできますので、観光の合間に立ち寄られてみてはいかがでしょうか。

■鍵善良房 四条本店
【営業時間】9:00~18:00、喫茶9:30~18:00(ラストオーダー17:45)
【定休日】月曜日(祝祭日の場合は翌日)
【電話】075-561-1818
【アクセス】市バス「祇園」バス停から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】http://www.kagizen.co.jp/
☆「下萌」はなくなり次第販売終了。販売時期は2月下旬まで(予定)。



二葉軒(ふたばけん) 【椿餅(つばきもち)】


2月の京都で楽しみな歳時のひとつが、城南宮で行われる「しだれ梅と椿まつり」です。今年は2月18日(日)にはじまり、3月22日(木)まで。暖かい日が続くと、神苑に植えられた約150本のしだれ梅の開花が気になります。薄紅色や紅白の花を咲かせ、満開になるとまさに豪華絢爛。あたりには梅の甘い香りが漂い、春の訪れを感じずにはいられません。

そのしだれ梅を楽しんだ後に迎えてくれるのが25品種以上、約300本もの椿たち。華やかに咲くしだれ梅とは対照的に、控えめに花を咲かせます。

椿は、文字通り、古くから“春”を代表する木とされてきました。その椿と関わりの深い2月に欠かすことができない和菓子が、「椿餅」。茶の湯の世界では2月の代表的な主菓子として用いられます。この椿餅は、日本最古の餅菓子ともいわれています。

「椿い餅、梨、柑子やうのものども、様々に筥の蓋どもにとりまぜつつあるを、若きひとびと、そぼれとり食ふ」

『源氏物語 第34帖・若菜上』

蹴鞠のあと、若い人々が宴で椿餅を食べていた・・・ と、源氏物語にも描かれています。当時、砂糖はなかったため、甘葛(あまづら)というツタの汁を煮詰めたものでほんのりと甘味をつけていたのだとか。


名前の由来も「厚葉木(あつばき)」または「艶葉木(つやばき)」からといわれ、艶やかな厚手の葉が特徴的。「椿餅」は、その“葉”を愛でるお菓子です。

由緒あるお菓子なのですが店頭で見かけることは珍しく、ほとんどのお店が予約注文でしか買うことができません。そんななか、気軽に店頭で購入できるお店があります。京都駅より竹田街道を南へ徒歩約10分ほど。「二葉軒」という和菓子屋さんです。



昭和10年(1935)に創業し、現在は3代目のご主人が営まれています。先代が上賀茂神社近くの和菓子屋で修行をされたため、屋号も上賀茂神社の神紋に由来しています。



お話をしていると、ご主人の口から溢れてくる和菓子に対する想い。

「正直言うて椿餅は桜餅に比べてそないに売れるもんやあらへん。そやから店頭販売する店もありませんねん。でも、売れへんからっていうて辞めてしもたら椿餅を知らん人がもっと増えてしまいますやろ。京都の和菓子屋として由緒あるお菓子を気軽に楽しんでもろて、後世へ継いでもらわんとあかんと思てますねん」


椿餅(180円)


こしあんを道明寺で包み椿の葉で挟んだだけの素朴なお菓子ですが、そのお菓子から日本最古の餅菓子としての歴史を感じずにはいられません。
みなさんも椿餅の葉をじっくりと愛でて、古(いにしえ)を感じてみてはいかがでしょうか。

■京菓子司 二葉軒
【営業時間】8:00~18:00
【定休日】火曜日
【電話】075-691-5026
【アクセス】地下鉄烏丸線「九条駅」から徒歩約5分 Google map
☆「椿餅」は2月中の販売。なくなり次第終了。


山科 亀屋 【こぼれ梅】


あちらこちらから梅の便りが届きはじめるようになる、2月。梅は「百花の魁(さきがけ)」といわれ、厳しい寒さの中、真っ先に咲き、春の訪れを告げてくれます。

縁起の良い花であり、新春から梅にちなんだ意匠のお菓子が、京都の各和菓子屋さんに並びはじめます。その意匠は、お店によってさまざま。数多くある梅にちなんだお菓子のなかから、印象に残ったお菓子をご紹介します。

京阪京津線「京阪山科(やましな)駅」から東へ一駅。「四宮(しのみや)駅」を降りてすぐのところに、地元の方に愛される和菓子店「山科 亀屋」があります。



店内には、看板商品である旬のフルーツを使用した「みかん大福」や「いちご大福」などが並びます。また、おみやげに最適な数多くの和菓子が、展示ケースいっぱいに並んでいます。


創業して約90年。気さくな3代目のご主人と奥様の笑いが絶えないお店で、地元の方から愛されているのも当然かもしれません。

ご主人が和菓子を作る際に日頃より心がけているのが“甘すぎる和菓子ではなく、もう一つ食べたくなる味”。そのお菓子が多くの方々に支持されて、山科のさまざまな寺社仏閣にも納められています。かつて「そうだ 京都、行こう。」のキャンペーンに登場した“あのお寺”も、行事の際にはこちらのお菓子を使用されているそうです。

この時季に登場するのが、こちらの和菓子。


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こぼれ梅(240円)


こぼれんばかりに梅が咲く様子を表現した、練り切り製の豪華絢爛なお菓子です。年季の入った木型を使用して作られ、和菓子職人さんのみならず、木型職人さんの技までもを垣間見ることができます。

この、山科 亀屋さんのお菓子を、皆さんが実際に作ることができる機会があります。それが、2018年2月10日(土)~12日(月・祝)に京都市勧業館みやこめっせ・2階美術工芸ギャラリーで行われる、京菓子講師倶楽部の「第七回 創作作品展」です。

京菓子職人のプロの技を見て、体験していただくために、京菓子の職人さん自らが立ち上げたという、「京菓子講師倶楽部」。この作品展では、講師の方々や生徒さんの作品が展示され、20店舗以上の和菓子も販売されます。この機会に和菓子職人さんの素晴らしい技に触れられてみてはいかがでしょうか。

京菓子講師倶楽部「第七回 創作作品展」
【日程】2018年2月10日(土)・11日(日)・12日(月・祝)
    10:00~16:30(最終日16:00)
【会場】京都市勧業館みやこめっせ・2階美術工芸ギャラリー Google map
【入場料】無料 
☆和菓子作り体験(お抹茶付)500円
【問合せ】075-781-0904
主催:京菓子講師倶楽部

■山科 亀屋
【営業時間】9:00~19:00
【定休日】火曜日
【電話】075-581-0016
【アクセス】京阪京津線「四宮駅」から徒歩すぐ Google map
【公式ホームページ】http://bantest.web.fc2.com/namagashi.html
☆「こぼれ梅」は2月中の販売。なくなり次第販売終了。

季節の移ろいを色濃く感じることができる、この時季。皆さんも、京都の小さな春を探しに出かけてみませんか。


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文・写真:小倉夢桜 —Yume—
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファー。京都五感処・京都Loversフォーラム代表。2012年よりホームページ『きょうの「和菓子の玉手箱」』を運営し、毎日京都の和菓子を紹介し続けている。現在は『月刊京都』(白川書院)で「月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』」を連載中。
【きょうの『和菓子の玉手箱』】http://kyoto-lovers-forum.com
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~みさごレポ~
冬から春へ。季節の移ろいが感じられる美しい意匠の和菓子に、私もうっとりみとれてしまいました。
鍵善良房さんの「下萌」は、その名の通り、萌えいずる植物の生命力を表す和菓子。抽象的な意匠だけに、こういう感じかな~と思いを巡らせる時間を楽しめました♪
二葉軒さんの「椿餅」は、見た瞬間に驚きました! 椿の葉がとても艶やかで・・・ こんなにキレイだったかなぁと思うほど。「道明寺にきなこをまぶした椿餅もおすすめですよ」とお店の方にいただいたのですが、それもとても美味しくて・・・ “道明寺+きなこ”は、初めての体験でしたがクセになりそうです。
山科区四宮にある亀屋さんは、かわいい意匠の和菓子が多くて、気持ちも春めきます。雪の降る日に訪ねたのですが、明るい奥様とご主人様に気持ちもほっこり暖まりました♪ 「そう京」2018年春のキャンペーン寺院である勧修寺さんからは少し離れていますが、同じ山科区にあるので、ぜひ一緒に訪れてみてくださいね。


 


 

Written by. みさご

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