
当日レポート ~2018年1月28日実施~
かつては「伏水」と記され、豊富な水源と良質な水に恵まれた町「伏見」。酒どころとして現在も多くの酒蔵が軒を連ねます。幕末の史跡も遺る伏見を「らくたび・京都学講師」の安達さんのご案内で散策しました。見どころ満載な当日の様子をご覧ください。

イベントのスタート地点である京阪本線「中書島(ちゅうしょじま)駅」は、なんと日本初の路面電車(伏見線)の終着駅でした。駅前では酒どころの町「伏見」にふさわしく、酒樽のオブジェがお出迎え。お酒が飲めない人でも思わず写真を撮りたくなるスポットです。

駅を出発してすぐ、長建寺に到着しました。「中書島」に建つ長建寺は、御本尊が弁財天であることから「島の弁天さん」と親しみを込めて呼ばれていると、ご住職より説明していただきました。弁財天を御本尊とするお寺は珍しく、京都では長建寺だけ。イベントにご参加いただいた会員様も、理解が深まったようです。

長建寺の境内にある手水舎に湧き出る水も、伏見の良質な地下水と同じ水脈であるそう。伏見の名水のひとつで「閼伽水(あかすい)」と呼ばれ、毎日、仏さまに捧げられています。皆さまも閼伽水で身を浄めていました。

長建寺を出て濠川(ほりかわ)沿いをウォーキング。春から秋にかけて伏見十石船・三十石船が運航し、春には桜が川沿いを彩ります。「のんびり桜を愛でながら歩きたいね」と会員様。春が待ち遠しいですね。

続いては伏見観光の定番スポット「寺田屋」へ。かつて寺田屋は伏見の船宿で、坂本龍馬の定宿でした。坂本龍馬が奉行所の役人に襲われ、妻のお龍の知らせで一命を取り留めることができたという、かの有名なエピソードはここが舞台です。歴史に思いを馳せながら見学していると、この時に負った傷を癒やすのにお龍と鹿児島に行ったのが「日本初の新婚旅行」と言われていると、安達さんから教えていただきました。見学場所に合わせて逸話を紹介していただけるのも、らくたびイベントの魅力のひとつです。

まだまだ散策は続きます。レトロな雰囲気の「竜馬通り商店街」を通り抜け、次に向かったのは「油掛地蔵」の通称名で知られる西岸寺(さいがんじ)。その昔、お寺の前で油桶を倒してしまった商人が、残った油をお地蔵さまに掛けたところ、その後、大金持ちになったという伝承が遺ります。それにあやかろうと多くの人がお地蔵さまに油と願いをかけたそうです。
油は積み重なり、今では2センチほどの層になっているとか。油を掛けることはできませんが、ツヤツヤ黒光りしたお地蔵さまの様子から、伏見に息づく庶民信仰を肌で感じることができました。

らくたび・京都学講師の散策イベントは誰かに話したくなるような雑学も盛りだくさんです。安達さんのお話を聴きながら歩いていると、いつのまにか松本酒造に到着♪ 「桃の滴」で有名な松本酒造は多くのファンがいる老舗の酒造会社です。松本酒造は通常非公開ですが、蔵主である松本さんのご厚意により、今回、特別に見学させていただきました。まずは室内で松本さんよりお話をお聴きします。

松本酒造は寛政3年(1791)に京都 東山で創業しました。その後、大正12年(1923)に酒造りに適した伏見の水を求めて現在地へ移転してきたそうです。水だけでなく酒米にもこだわり、兵庫県の特定の地域でしか生産されていない山田錦(特A)も使用されています。「生産量は少ないですが、これからも常に最高のこだわりのお酒を造り続けたいですね」という言葉に、日本酒好きの会員様の眼差しも自然とアツくなっていました。

室内から臨むお庭は、大正時代から庭石などの資材を集め、昭和29年(1954)に5年余りの工期を経て完成しました。建築の構想から30年の暁(約1万回の日の出)を経て完成したことから、建物は「万暁院(まんぎょういん)」と名付けられ、大切なお客様をもてなす迎賓館としての役割を担ってきたそうです。
「酒造りに庭や座敷は必要ないが、庭も生き物。京都の文化を大切に守り、美意識・本物が分かる感性を磨くためにも庭を維持するのは大切なことです」と松本さん。松本酒造のお酒が多くの方に愛され続けている理由が、松本さんのお人柄からもよく分かりました。

貴重なひとときに名残惜しさを感じつつ、仕込み真っ最中の酒蔵の特別見学へ向かいました。中にはさまざまな機械や道具が並び、見ているだけでワクワク♪ 「あ~早く飲みたい!」と会員様。はやる気持ちを抑え、まずは、敷地内に湧き出る水を試飲させていただきました。すると、すごくまろやかな水でびっくり! お酒造りに合うのも納得です。

いよいよ、お持ちかねの試飲会です。内装もオシャレなテイスティングルームで、京都にお店を構えるイタリアンレストラン「イルギオットーネ」の笹島シェフと共同開発した、純米大吟醸「RISSIMO(リッシモ)」をいただきました。通常非公開の松本酒造で、こだわりのお酒を美味しくいただき大満足! ほろ酔い気分で次の目的地を目指します。

かつてあった伏見城の大手門に通じることが名前の由来となった大手筋商店街を通り、日蓮宗のお寺である本教寺へ。境内にある梵鐘をよく見ると小さな穴が4ヵ所空いていました。この穴は金属が不足していた戦時中に、政府が金属の質を確かめるためにくり抜いた穴だそう。普通に見ただけでは知り得ないエピソードに、皆さま感心しきりでした。
他にもまだまだご紹介したいことはいっぱい! 盛りだくさんな雰囲気が伝わりましたでしょうか。伏見は良質なお水だけでなく歴史を感じさせてくれる素敵な町でした。ご参加いただいた皆さま、らくたびガイドの安達さん、長建寺のご住職、松本酒造の皆さまありがとうございました。
「らくたび・京都学講師」がご案内する散策ツアー、今後もさまざまなエリアで開催が決定しています! ぜひご参加ください♪
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春の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーン地周辺を散策するなら
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