おこしやす山科 3
2018年春の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンの舞台「勧修寺(かじゅうじ)」のある山科区は、まだまだ知られていない魅力的なスポットがたくさんあります! そのひとつとしてご紹介したいのが、「清水焼団地(きよみずやきだんち)」です。
京都を代表する伝統工芸品「京焼・清水焼」を生産するこの団地は、作家や窯元、そして陶芸材料を扱うお店など、清水焼の生産にたずさわる人々が集まるエリア。昭和40年代の後半に、五条坂や泉涌寺(せんにゅうじ)界隈から有志の方が集まり、集団で移住されたという、全国的にも珍しい地区なのです。
実は私も名前は聞いていたのですが、これまで訪れたことがなく・・・ いったいどんな場所なのだろう、と訪ねてみることにしました! この春には、特定の旅行プランにご参加いただいた方への“おもてなし”もご用意いただいているということ(※内容は文末をご確認ください)。勧修寺への桜旅をご検討中の方、ぜひこの記事を読んでみてくださいね♪
【清水焼団地へのアクセスは?】
京都駅からJR東海道本線「山科駅」まで約5分、「山科駅」から京阪バスで約20分「清水焼団地」バス停下車 Google map
「清水焼団地」のことならば、まずはここへ!
【清水焼の郷会館】
探検に行こう! と思ったものの、普通に訪れただけでは、どうしていいのかわかりません・・・ ここは、やっぱり現地の方に伺うのが一番! ということで、向かったのが「清水焼の郷会館」です。
真新しい建物は、2013年に建てられたもの。清水焼団地協同組合で運営されていて、中に入ると団地内で生産されている清水焼の作品がたくさん展示されています。
「この団地には、いま60軒以上の工房や店舗があります。一般陶器を扱う窯元さんはもちろん、作家さんや、焼物を入れる箱を制作する会社、製陶用の土や顔料を扱う会社、人形師など、清水焼にまつわる様々な職種の方が集まっているんですよ」
と教えてくださるのは、同館の村田さん。
「初めて来られる方は、どこから回っていいかわからないですよね・・・ そんなときには会館を訪れていただければ、絵付け体験のできる施設やお買物のできる施設をご案内しますので、気軽に訪ねてみてくださいね♪」
体験を希望される場合は、できれば現地を訪ねる3日前にお電話で問合せしていただくのが確実とのこと。今回は取材ということで、村田さんに団地内をご案内していただきました♪
かわいい人形も団地内で作られています♪
■清水焼の郷会館
【営業時間】9:00~17:00(土日祝は10:00~)
【定休日】無休
【電話】075-581-6188
【アクセス】京阪バス「清水焼団地」バス停から徒歩約2分 Google map
【ホームページ】http://www.kiyomizuyaki.or.jp/
★陶芸体験メニュー
◇絵付け体験(50分程度)1,404円
◇手びねり体験(90分程度)3,024円
◇ロクロ体験(15分程度)3,240円
※各体験1名様~、別途要配送料
※要予約(3日前までの9:00~17:00)
魔法のような美技! 職人さんによる、ろくろの実演
【京都雲楽窯】
最初に訪れたのは、会館のすぐ近くに位置する「雲楽窯(うんらくがま)」。昭和40年代の後半に、五条坂からこの地に移住し、「青抹陶(あおまっとう)」という独特の釉薬(ゆうやく)で人気を集めている窯元です。
お店の中は、陶器がいっぱい!
こちらの窯元では、仕事場ゆえご予約のお客様を優先して、製作工程の見学を、ご案内しております。メール・電話にて見学のご予約を受けております(ホームページに詳細がございます)。
この道30年という、ろくろ師の竹内さんによる実演。軽妙なトークとともに手際よく作られていくこちらは、なんと、急須です!
所要時間20分ほどで、みるみるうちに急須が形作られていきます! 本来はフタや注ぎ口など乾燥させながら作業を進めるのですが、見学用として特別に製作工程を手早く実演してくださっています。
それにしても、すごい! 胴体部分の細かい溝やフタも、すべて手作業であっという間に形作られていきます。
絵付けも担当されている雲楽窯の娘さんとお話をしていると、清水焼について様々なことを教えていただけました。
「“手作業”というのが、京焼・清水焼のひとつの特徴なんです。成形から絵付け、釉薬をかけることは全て職人が行なっています。例えば絵付け等、伝統的な絵柄を描くとともにオリジナル的な柄のデザインを考え作品にする事を日々勉強しています」
ひとつひとつの器を大切に作り上げる“職人”さんのことばが、深く心に染みいりました・・・
■京都雲楽窯
【営業時間】9:00~17:00
【定休日】無休
【電話】075-591-1506
【アクセス】清水焼の郷会館から徒歩約2分 Google map
【公式ホームページ】http://unrakugama.com/
京焼・清水焼の特徴とは
そもそも、「京焼・清水焼」ってなんでしょうか。国指定の伝統的工芸品にも指定されていますが、九谷焼や備前焼のような明確な特徴があるのでしょうか。
村田さん 「京焼・清水焼は、京都府内で作られたものを指します。手づくりであり、芸が細かく、器が軽い。でも実は京都では、原料になる“土”が取れないので、窯元さんや作家さんが各地の陶土や陶石をそれぞれに配合しています。なので、作り手さんごとに多種多様、作風が確立されているのが、他の焼き物とはちょっと異なるんです」
原材料や焼き方は異なるけれども、京都で作られ、京都らしい意匠を持つのが、「京焼・清水焼」の特徴となるそう。天皇家や公家など、大口のクライアントさんからの依頼を受けて発展した焼き物です。それだけに、「多種多様さ」が特徴であり、一口に「京焼・清水焼」といっても陶器もあり、磁器もあり、最近では絵付けのない無地の陶器も流行しているとのこと。ひとつの産地でそれだけ多様な焼き物に出会える、それが魅力となっているようです。
といっても、なかなか説明だけでは難しいですよね。ぜひ、いろいろな焼き物をその目で見て、体感してみてください♪
京焼・清水焼の多様さを体感!
【ギャラリー洛中洛外】
「こんなにいろいろな種類があるの!」と驚きの発見ができるのが、清水焼団地の入り口にお店を構える「ギャラリー洛中洛外」。
様々な焼き物が並びますが、まずご覧いただきたいのは、2階に掲げられる陶板の「洛中洛外図」。上杉本を元に、一人の女性絵師さんが下絵を描いたという、完成まで約7年の歳月を費やした大作です。焼き物でこんな繊細な表現ができるんだ、とびっくりしますよ。
そして、店内。こちらで展示・販売されているのは、すべて京都で作られている「京焼・清水焼」。イメージがかわるほど、華やかです! 新たな作家さんも登場されているとのことで、どんどん清水焼の世界も新しくなっているんですね♪ ギャラリーを運営されている、京焼・清水焼の卸問屋・熊谷聡商店の熊谷さんは、たくさんの職人さんや作家さんの仕事を見てこられ、こう語られました。
「清水焼は多種多様ですが、そのすべては手づくりです。大量生産に向かないからこそ、細部までこだわりのある焼き物に特化する。特化していくからといって、一回限りの作品ではいけない。作家さんのものであれば一点限定でもいいのですが、一般陶器は同じ作り方で同じものができなければいけない。そこが難しい。それだけに製品化されていくものは優れたものが多いんです」
新たに知る世界。目から鱗とは、まさにこのことです。
■ギャラリー洛中洛外
【営業時間】10:00~18:00(日祝は~17:00)
【定休日】1月1日
【電話】075-595-5450
【アクセス】清水焼の郷会館から徒歩約3分 Google map
【ホームページ】http://www.rakuchu-rakugai.jp/
アイデア箸置き、揃っています!
【山亀】
清水焼団地のなかでも、「箸置き」の多様さにかけては右に出るものがいないというのが、こちらのお店。常時300種類以上の箸置きがあるというから驚きです。
店主の狩野さん 「こんなものを作って、と作り手と相談しながら、デザインを決めていくんですよ。これは千鳥の型を使ってますが、様々な鳥を描いたり、少しずつ土を替えてグラデーションにしたり。いろいろ試しています」
かわいらしい箸置き。最近では、帯留めに利用される方もいらっしゃるそう。作り方も使い方も、アイデア次第! ですね♪
■山亀
【営業時間】9:00~17:00
【定休日】不定休
【電話】075-593-1131
【アクセス】清水焼の郷会館から徒歩約3分 Google map
絵付けや手びねりの体験ならここへ!
【コトブキ陶春】
一般向けに絵付けや手びねりの体験をされているのが、こちらのお店。修学旅行生も訪れるそうで、この日も、乾燥中のマグカップがたくさん並んでいました!
乾燥後、釉薬をかけて窯で焼くため、絵付けから完成まではしばらく時間がかかります。完成品は後日の郵送となるそうです。
■コトブキ陶春
【営業時間】9:00~17:00
【定休日】12~2月の日曜日・祝日、8月13日~17日、12月27日~1月5日
【電話】075-581-7195
【アクセス】清水焼の郷会館から徒歩約約6分 Google map
【公式ホームページ】http://www.toushun.com/
★絵付け体験 湯呑み・ぐい呑み 各1,300円~
まだまだ見どころの多い、清水焼団地!
ひとつひとつじっくりと見ていくことで、京焼・清水焼の特徴が段々と体感できるようになってきます。
手作業で木賊(とくさ)の絵付けをされる、冨田玉鳳陶苑(とみたぎょくほうとうえん、Google map)の娘さん。
「時代に合わせた焼き物を売らなあかん!」と、清水焼団地をリードしてきた、創作美術陶芸 瑞香(ずいこう、Google map)の加島さん。風神雷神など転写シールでの絵付け体験もされています。
人形づくりをされる「人形の藤原」の工房では、たくさんの達磨を製作中。(工房の見学はされていませんが、「清水焼の郷会館」で製品の購入をすることができます。)
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実際に訪れる前には、なんとなくレトロなイメージを持っていた「清水焼団地」。でも、訪れてみると、どんどん革新的なことをされていて、新しいものにいっぱい出会えることに驚きの連続でした!
この驚きは、実際に訪れてみないとなかなかわかりづらいかもしれません。この春、勧修寺とともに、ぜひ清水焼団地にも訪れてみてくださいね♪
「京都 桜の名所お花見特別プラン」の、「京阪バス1dayチケット」付き「勧修寺プラン」をお申込みの方に、「特典付きガイドマップ おこしやす山科」を現地にてお渡しします。マップご持参の方には、清水焼の郷会館で抹茶・お菓子のおもてなし付き。
<期間:2018年3月24日(土)~4月15日(日)>
⇒詳細は、下記URLをご確認の上、各旅行会社にお問合せください。
http://souda-kyoto.jp/travelplan/spring_sp/index.html