極彩色梅匂小町絵図
ソメイヨシノ開花の便りが世間をにぎわせ、いよいよ本格的な桜シーズンまであとわずか。京都旅の計画を具体的に考え始めたという方も多いことでしょう。そこで、「この春注目の勧修寺(かじゅうじ)に行きたい!」という方のために、あわせて訪れておきたい“おすすめのお寺”を紹介します。「醍醐寺でしょ?」って? いえ、違うんです。ご本尊の 特別公開からインパクト抜群の襖絵まで、“勧修寺と醍醐寺の間”にぜひご注目を!
勧修寺からは東へ歩いて15分ほど
薬医門前の桜(撮影:2014年4月)
勧修寺の近くで、春に行っておきたいお寺といえば“醍醐寺”を想像される方が多いのではないでしょうか。確かに、ボリューム満点の桜風景を楽しむことができ、ぜひ一度は行っていただきたいお寺であることには違いありません。しかし、今回ご紹介するのは勧修寺と同じ山科区にある隨心院(ずいしんいん)なのです。どのようなお寺なのか、まずは簡単にご説明しましょう。
かの“絶世の美女”ゆかりのお寺です
小町化粧井戸
隨心院は正暦2年(991)に創建された真言宗のお寺。界隈はかつて“小野郷(おののごう)”と呼ばれ、その名残は現在でもこの付近の地名からうかがい知ることができます。最寄りの地下鉄の駅も「小野駅」ですね。“冥土通い”の伝説で知られる小野篁(おののたかむら)など、文字通り小野氏が栄えたといわれるこの地域ですが、隨心院のある場所は、平安時代の歌人にして“絶世の美女”との誉れも高い“小野小町の屋敷跡”ではないかと伝わるそう! 境内には、小町が顔を洗ったという「小町化粧井戸」や、貴族から届いた文を埋めたと伝わる「小町文塚」など、伝説めいた史跡も遺ります。歴史のロマンに思いを馳せたら、お堂の中を拝観してみましょう♪
絢爛豪華な襖絵の数々
四季花鳥図(特別な許可を得て撮影させていただきました)
お寺の中でもとりわけ寺格の高い“門跡(もんぜき)寺院”のひとつである隨心院。その格式を示すかのような煌びやかな金碧の襖絵を、数多く拝観することができます。ちょうど、勧修寺では書院襖絵の特別公開が行なわれていたり(4月15日まで)、同じく山科にあり桜の名所としても知られる毘沙門堂では“動く襖絵”も鑑賞できたりと、“襖絵”にも注目しながら桜散策を楽しまれてもいいかもしれませんね♪ ところで、“襖絵”といえば…
インスタ映え必至!? 桃色の襖絵を前に記念の一枚を
極彩色梅匂小町絵図
堂内を進むと、どうにもこうにも目に飛び込んでくるのが「能の間」を飾る鮮やかな四面の襖絵! こちらは京都の絵描きユニット「だるま商店」によるもの。色づかいが鮮烈なこの作品には、小野小町の生涯が描かれているそう。じつは数年前までは写真撮影は禁止されていたのですが、「写真を撮りたい」という声があまりにも多かったため、現在では撮影可能に♪ 着物姿でパシャリ、というのもいいかもしれませんね~。
通常非公開の仏さまが特別公開中!
秘仏・本尊如意輪観音菩薩坐像(特別な許可を得て撮影させていただきました)
続いては「能の間」からつながるお隣の本堂へ。ここで皆さまを待っているのが、ご本尊である如意輪観音菩薩坐像なのですが… じつは、普段は秘仏として祀られ、そのご尊顔を見ることは叶いません。例年、春と秋にご開帳され、この春はいつもより少し期間を延ばして4月15日(日)まで公開されているんですよ♪ 貴重なこの機会、見逃すわけにはいきませんね! そしてこの特別公開にあわせ、更に嬉しいお知らせが…
ご本尊様とご縁を結んだ証をいただきましょう♪
「如意輪観音」(500円)、「曼荼羅殿」(500円)
以前、山科エリアでの御朱印集め記事でもご紹介しましたが、ご本尊様の特別公開にあわせて、期間限定の御朱印をいただくことができます♪ 「如意輪観音」の名が書かれた“紺地金泥(こんじきんでい)”のものと、雅やかな小野小町があしらわれた“2枚分サイズ”の特別御朱印。どちらも素敵なデザインで、“拝観の証”に留まらず、旅の思い出にもなりそうですよね。4月15日(日)までの期間限定ということですが、所定の枚数に達し次第、授与は終了されるそうですので、気になる方はお早めに!
※特別御朱印は“書置き”のみでの授与となります。
じっくりと自分と向き合ってみてはいかがでしょうか
写仏の一部(ご覧のように、難易度も色々です)
隨心院で女性を中心に人気というのが“写経”&“写仏”です。写仏では、“不動明王”や“千手観音”にくわえ、“小野小町(!?)”など、なんと16種類(!!)からお好みのものを選んで体験することが可能。仏さまのご利益からチョイスするのもいいかもしれません。お寺の方からアドバイスをもらって、“旅の時間”にあわせて“難易度”から選んでみてもいいでしょう。筆や墨は用意されていて、持ちものも特に必要なく、気軽に体験できるのも嬉しいポイントです♪
■写経・写仏体験
【受付時間】9:00~14:00
※3月25日(日)は写経・写仏体験はできません。
※法要などにより、休止する場合がございます。
※混雑時はお待ちいただく場合がございます。事前予約はできません。
【料金】各2,000円(拝観料込)
忘れてはいけない“あのお花”が見頃です♪
梅園(撮影日:2018年3月23日)
最後にご紹介するのがコチラ。“小野小町”とともに隨心院を象徴する存在といえる遅咲きの“はねずの梅”です。写真は、撮れたてほやほやの本日の模様ですが、天候次第では見頃はまだまだ続きそうな状況♪ 近くの醍醐寺からは早咲きの桜が開花したという便りも届きましたので、この週末に訪れる方は、梅と桜を愛でる旅も良いかもしれませんね。あさって3月25日(日)には恒例の「はねず踊り」が開催され、境内は華やかな賑わいに包まれることでしょう♪ 山科に注目が集まるこの春は、隨心院にもぜひお立ち寄りください!
⇒隨心院の桜の開花情報はこちら
⇒隨心院や醍醐寺、勧修寺などを京都ガイドのプロと一緒に散策しませんか?
■隨心院
【拝観時間】9:00~17:00(受付終了16:30)
【拝観料】堂内500円、梅園500円
※梅園の公開は4月1日(日)までを予定
【電話】075-571-0025
【アクセス】地下鉄東西線「小野駅」から徒歩約5分 Google map
【公式ホームページ】http://www.zuishinin.or.jp/
【日時】2018年3月25日(日)11:00、12:30、13:30、15:00の計4回
【料金】1,000円(拝観料・梅園入園料込)