京都のミュージアム 2
きぬかけの路にある堂本印象美術館は、京都を代表する近代日本画家・堂本印象の作品が数多く展示されている美術館です。昭和41年(1966)に開館し、平成29年(2017)から大規模な改装工事のため休館していたのですが、2018年3月21日(水)に、ついにリニューアルオープン! いったいどんな風に変わったのか、現在開催中の「リニューアルオープン記念展覧会 堂本印象 創造への挑戦」展に行ってきました♪
堂本印象美術館とは?
まず、「堂本印象ってどんな人?」という方のために簡単にご紹介します。
堂本印象(1891~1975)は、京都で生まれ育った画家で、日本画家の西山翠嶂(にしやますいしょう)に師事し、帝国美術院展覧会で活躍しました。その作風は幅広く、日本画・西洋画、具象画・抽象画・・・ など多岐にわたります。堂本印象美術館は、独自の美の可能性を追求するために印象自身が設計。昭和41年(1966)に開館しました。
開館後、平成3年(1991)に京都府に寄贈。翌年、京都府立堂本印象美術館となり、美術館には堂本印象の作品が2,500点ほど所蔵されています。府に寄贈された際に小規模なリニューアルはあったそうなのですが、受付場所が変わったり、入り口が広くなったり、収蔵庫を新しくしたり・・・ と大きくリニューアルするのは開館以来初めてのことなんです!
外観も変化しました!
以前は真っ白い外観だった美術館。リニューアル後は・・・ 「部分的に黄色くなってる!?」 印象のデザインを変えて大丈夫なのでしょうか。堂本印象美術館の学芸員・松尾さんにお尋ねしてみたところ・・・
松尾さん 「今回、黄色く色を塗った部分は、実は開館当初は金色だったんです。府に寄贈する際、汚れが目立つようになったため白く塗り替えたそうです。リニューアルに伴い、元の色合いに近づけようということで、黄色になりました」
なるほど、元々色のついていた部分なのですね! 差し色が入るだけで建物がパッと明るい雰囲気になりました♪
お庭が新たな展示スペースに♪
リニューアル前は木が生い茂っていたお庭。何本か木を伐採し、無料の野外展示スペースとして生まれ変わりました! 現在はさまざまな作家の作品を展示した「野外彫刻展」が開催中(5/6まで)。これからもいろいろな展示をされていくそうです。奥に見える緑の建物は、印象が実際に使っていたアトリエなのだとか。「ここであの作品が制作されていたのかな?」と、想像が膨らみます♪
京とうふ藤野とのコラボカフェ☆
ハンバーガーとドリンクのセット 700円
エントランスも広々と改装されていて、「休憩にちょうどいいスペースができたなぁ」と思っていたら、なんと元々受付があった場所に「藤野茶房」というミュージアムカフェがオープンしていました! こちらのお店は、北野天満宮の近くにある「京とうふ藤野」とのコラボカフェ。メニューは、ハンバーガーやドリンク、プリンなどがあります。ハンバーガーは「とうふハンバーグ」、「生ハム、アボガド、とうふソース」、「豆乳卵焼き」の全部で3種類。堂本印象美術館だけのオリジナルメニューです♪
館長の希望も叶った、記念の展覧会に。
館内の展示スペースは改装されておらず、以前と同じく、印象の作品をたっぷり楽しむことができます♪ 現在、開催されている「リニューアルオープン記念展覧会 堂本印象 創造への挑戦」展では、美術館の開館当時、印象が開館するにあたって描いた10点の抽象画も、当時を再現して展示されているそう。こちらは、三輪晃久館長たっての希望だったのだとか。過去と現在に通ずる“ロマン”が感じられますね。
◆印象の出世作、26年ぶりに公開! 「調鞠図」
堂本印象美術館では26年ぶりの公開となる、蹴鞠をする貴人を描いた「調鞠図(ちょうきくず)」。印象が29歳のときに「第三回 帝展」に出展し、初めて特選に選ばれた“出世作”です。
松尾さん 「こちらの作品は衣裳にご注目ください。堂本印象は若い頃、龍村製織所で西陣織の図案を描いて生計を立てていました。その細やかなデザインがこちらの作品にも見られるんですよ」
たしかによく見ると、龍や雲のほか、影に見える部分にも細やかな柄がデザインされていて、「おお~」と見入ってしまいました。近づいてよ~く見てみてくださいね。
◆大迫力! 印象が80代で完成させた超大作「豊雲」
印象が80代の頃、構想に半年・制作に半年かけて描いた全長11メートルの超大作「豊雲(ほううん)」。最高裁判所から依頼を受けて描いた作品で、こちらも20年ぶりの公開になるのだそう。
松尾さん 「印象は画材の中でも特に“墨”にこだわりをもっていて、この作品には、明代の古墨が使用されています。これだけ大きな作品なので、展示するのも一苦労・・・ 大きい分、土台も大きいんですよ」
作品の裏側を覗いてみたところ・・・ 確かに大きい! 額の装飾は、印象の小下絵をもとに職人が製作したもの。ごつごつと立体感があって、こちらも迫力があります。作品の前に長いすが用意されているので座ってゆっくり眺めたい作品です。
マイフェイバリット“印象”は・・・
個人的にお気に入りなのは・・・ 昭和27年(1952)に描かれた印象の代表作「交響」です。墨線の濃淡と、“閃光”のような色彩に「タイトルぴったりだなぁ」と思いつつ見とれてしまいます。
作品の中には金色の丸が何個か並んでいて「まるで音符のようですね・・・」とつぶやいたところ、「いろいろな見方ができて面白いですよね♪」と松尾さん。抽象的な印象の作品だけに、作品の見方は十人十色。みなさんもぜひ、お気に入りを見つけてみてくださいね。
ミュージアムグッズも新商品が充実♪
リニューアルに合わせて、ミュージアムグッズにも新商品が登場しています。印象と交流があった京菓子店「笹屋守栄(ささやもりえ)」の羊羹「光る窓」はショップ限定販売。エントランスにある印象の制作したステンドグラスをイメージしたお菓子です。
そのほか、印象の作品をモチーフにしたふろしきやマスキングテープなどが新たに登場しています! 作品を鑑賞したあと、グッズを眺めるとつい欲しくなってしまいますよね。デザイン豊かなので、おみやげにもオススメです♪
半世紀ぶりにリニューアルをした、堂本印象美術館。記念すべき展覧会に、皆さんもぜひ足を運んでみてくださいね!
■堂本印象美術館
【入館時間】9:30~17:00(受付終了16:30) ※毎週金曜日は~19:30(受付終了19:00)
【休館日】月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
【入館料】500円
【電話】075-463-0007
【アクセス】市バス「立命館大学前」バス停から徒歩すぐ Google map
【公式ホームページ】http://insho-domoto.com/index-j.html
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