京都の神社探訪 2
地元の方々から「やわたのはちまんさん」と呼ばれ親しまれている石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)。京都府南部の八幡(やわた)市に位置し、大分県の宇佐神宮・福岡県の筥崎宮(もしくは神奈川県の鶴岡八幡宮)とともに日本三大八幡宮のひとつに数えられます。歴代朝廷や武家からの崇敬も篤く、境内には様々な歴史がちりばめられています。2013年には「そうだ 京都、行こう。」夏キャンペーンの舞台にもなった神社の、見どころをご紹介します!
“真夜中”の動く古典
9月15日に「石清水祭」が実施されます
御朱印帳1,500円
歴代朝廷との関係が深かった石清水八幡宮。その社格の高さを示すのが、毎年9月15日に行われる勅祭(ちょくさい)「石清水祭」です。勅祭とは、天皇の使者である勅使が派遣されて行われる、とても貴重なお祭りのこと。実は勅祭が行われるのは、全国約8万の神社の中でも僅か16社だけで、石清水祭は、葵祭(賀茂祭)、奈良・春日大社の春日祭とともに三大勅祭のひとつとされています。
さらに驚くべきは、“真夜中”という開始時間。午前2時に神事が始まり、午前3時に社殿から約500人のお供を連れた御鳳輦(ごほうれん、神輿のこと)3基が山麓へと下りていきます。松明や提灯の灯りが揺れる中、歩く様子は「動く古典」と称されるほど幽玄なもの。御朱印帳にも幻想的な行列が描かれています。
⇒「石清水祭」の詳しい情報はこちら
石清水八幡宮の参拝ルートは?
男山展望台からの景色
石清水八幡宮が位置するのは、木津川・宇治川・桂川の三川合流地点の南にある男山(おとこやま、Google map)。山全体を境内としていて、社殿は山上に鎮座しています。
参拝には2つの方法があり、ひとつは「石清水八幡宮駅」から一気に登ることができるケーブルカー(所要時間約3分)を利用する方法。もうひとつは、シンプルに徒歩です! 男山の標高は約120メートルあり、30分ほどかけて3つの鳥居をくぐって社殿に向かいます。・・・ところがかなり上り坂が続くので、今回はまずケーブルカーで山上に向かい、お参りをしてから徒歩で下るルートをご紹介します♪
ケーブルカーに乗って出発です!
絢爛豪華な、国宝・社殿は必見!
男山ケーブル「八幡宮山上駅」から徒歩3分ほど。青空に映える朱塗りの社殿は、2016年に国宝に指定されました! 創建は、貞観元年(859)。清和天皇の命により平安京の裏鬼門(南西の方角)を守護する神社として八幡大神を男山に祀り、社殿を建立したのが始まりとされています。
創建以来、何度か再建を繰り返し、現在の社殿は寛永11年(1634)に徳川3代将軍・家光が修造。内殿と外殿の前後二棟からなる「八幡(はちまん)造り」の建築様式としては、現存する社殿の中で最大最古なのだとか。
黄金の雨樋
清和天皇は源氏一門の祖。八幡大神は源氏一門の氏神とされ、また武神でもあったことから多くの武将に崇敬されました。名だたる戦国武将もお参りに訪れていて、織田信長が寄進したと伝わる「黄金の雨樋(あまどい)」も遺されています。
外観も立派なものですが、せっかくなら内部を拝観できる昇殿参拝がおすすめ。神職さんのご案内で社殿の見どころや歴史を伺うことができ、内部の彫刻がとても美しいのでご注目! 欄間(らんま)や瑞籬(みずかき、垣根のこと)には色鮮やかなブドウや鶴、カマキリ、天人など150点以上のモチーフが見つけられます。じっくり探してみてくださいね。
■昇殿参拝
【期間】2月4日~12月31日の土日祝日※平日は行っておりません
【時間】14:00~ ※お祓い・案内付、所要時間約30分。予告なく案内の中止、時間帯を変更する場合がございます
【初穂料】1,000円
山上から山麓へ。参道の注目ポイントをチェック
山内をめぐる参道にはいくつもの史跡が遺されていて、神社の歴史がより深く感じられます。その中からいくつか注目ポイントをご紹介します♪
⇒石清水八幡宮の境内案内図はこちら
■石清水八幡宮のキーパーソン「松花堂昭乗」ゆかりのスポット
松花堂跡
「松花堂(しょうかどう)跡」は、江戸時代初期に石清水八幡宮の社僧・松花堂昭乗(しょうじょう)が営んだ草庵「松花堂」と宿坊「泉坊」が建っていた場所です。昭乗は、真言密教を究めた高僧ながら、絵画や茶道に秀でた文化人としての一面もあり、近衛信尹(このえ のぶただ)・本阿弥光悦(ほんあみ こうえつ)とともに「寛永の三筆」と称されました。庵は明治の神仏分離によって松花堂庭園・美術館に移築されましたが、石碑によりその場所を知ることができます。
ちなみに、「松花堂弁当」は昭乗が使っていた器をヒントに、吉兆の創業者・湯木貞一が編み出したものと伝わります。
■パワースポット!? 石清水発祥の地
石清水社
石清水八幡宮の名前の由来となったのが「石清水社」。霊水「石清水」が湧き出ていて、日照りのときにも涸れず、厳しい冬にも凍らなかったとして、今では人気のパワースポットになっています(水をいただくことはできません)。神社の祭典の際は、当日の早朝に汲みあげた石清水を御神前にお供えされているそうです。
■兼好法師の『徒然草』にも登場した神社とは?
高良神社
鎌倉時代末期に兼好法師が著した随筆『徒然草』に登場する「高良(こうら)神社」。その中では、“仁和寺のある法師が高良神社を石清水八幡宮の社殿と勘違いして、そのまま帰ってしまった”というお話が記されていて、往時の隆盛を物語ります。境内にある樹齢約700年のタブの木は「厄除けの木」として地元の方々からも大切にされています。
■山麓に佇むこの建物、実は大事な建物なのです
頓宮殿
「頓宮殿(とんぐうでん)」は、年に一度の「石清水祭」で、本殿から神様が遷られる重要な社殿です。鳥羽伏見の戦い(1868年)で一度焼失し、現在の社殿は大正4年(1915)に造営されました。平成の大修造(2010年~2011年)によって、桧皮葺であった屋根は銅板葺に葺き替えられています。
■ほかにもこんなスポットが
源頼朝ゆかりの松
その他、二ノ鳥居の前にある“源頼朝ゆかりの松”や、くじ運の御利益があるとされる「大扉稲荷社」、通称「勝負石」と呼ばれる勝運の石「一ツ石」など、山内には面白いスポットが点在しています。
このルートのラストは「一ノ鳥居」。大きな鳥居をくぐって境内の外に出ると、目の前には八幡名物“走井餅(はしりいもち)”がいただける、やわた走井餅本舗が。疲れた体を甘味が癒やしてくれそうです♪
かわいらしい神様の使い、「ハト」に注目♡
八幡宮の神様のお使いとされているのが「ハト」。境内のさまざまな場所でハトを見つけることができるんですよ♪ 一ノ鳥居の扁額をよ~く見てみると“八”の字がハトに! また、社殿では欄間彫刻や正面の蛙股に、向かい合う“阿吽のハト”の姿が。授与品もハトをモチーフにしたものが揃っていて、ゆるみくじや手ぬぐい、ストラップなど、乙女心をくすぐるデザインです。
ちなみに・・・ 御朱印にもハトを発見! 授与所にて「ハトの御朱印をください」とお願いすればいただけるそうなので、御朱印好きの方は要チェックです。しっかりお参りしてからいただきましょう♪
石灯籠にもハトがいました!
発明家・エジソンとつながりが! 男山の“竹”のヒミツ。
さて、最後にご紹介するのは、かの有名な発明家・エジソンです。実は石清水八幡宮と深いつながりがあり、エジソンが発明した白熱電球には、男山周辺に生えていた真竹が使われていたそうなのです! 境内には記念碑もあって、2月には生誕祭が行われています。授与所では、学業成就・合格祈願の竹製絵馬もいただけますよ。エジソンのようにきらりと光るひらめきが欲しい方はぜひ♪
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真夜中のお祭り「石清水祭」や、国宝の社殿、ハトなど・・・ 石清水八幡宮の見どころ、いかがでしたか。京都市内の観光はもちろん、少し足を伸ばして、京都府南部・石清水八幡宮までぜひ訪れてみてくださいね。
★京都駅からの主なアクセス方法★
近鉄京都線に乗車し、「丹波橋駅」で京阪本線に乗り換え、「八幡市駅」下車。男山ケーブルに乗り換え、「男山山上駅」下車。徒歩約3分で社殿到着。
【参拝時間】6:00~18:00、授与所9:0~16:00 ※時季により変動あり
【参拝料】境内無料、昇殿参拝1,000円
【電話】075-981-3001
【アクセス】京阪男山ケーブル「男山山上駅」からすぐ Google map
【公式ホームページ】http://www.iwashimizu.or.jp/
※掲載内容は2018年8月時点の情報です。最新情報は公式ホームページでご確認ください。