「そうだ 京都、行こう。」はここから始まった 「清水寺」の今をご紹介!

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1993年 盛秋キャンペーン

 

「そう京」キャンペーン25周年 1

1993年秋より始まった「そうだ 京都、行こう。」キャンペーン。記念すべき第1回の舞台は「清水寺」でした。夕陽に照らされた本堂が美しく、『パリやロスにちょっと詳しいより・・・』というキャッチコピーとともに覚えている方も多いのではないでしょうか。

あれから25年。現在(2018年時点)の清水寺は「平成の大改修」と呼ばれる大がかりな工事中です。「そう京」の25年を振り返る一歩として、初回の舞台を訪ねてきました。

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◆25周年記念特集はこちらから⇒みなさまと共に歩んだ25年


「そう京」キャンペーンのなかで「清水寺」とは?

2004年 盛秋

2004年 盛秋キャンペーン

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まずは、「そう京」キャンペーンにおける清水寺を振り返ってみましょう。清水寺は、これまで秋2回・夏2回の計4回登場しています。2004年の盛秋ポスターは、今では定番の紅葉ライトアップに包まれた、幻想的な清水の舞台。“これぞ清水寺”というような圧巻の風景ですね♪

2001年 夏

2001年 夏キャンペーン

2010年 夏

2010年 夏キャンペーン


2001年・2010年の夏ポスターも清水の舞台がメインとなっています。この4枚から「そう京」キャンペーンにとって“清水の舞台”がとても大事な場所だということがわかりますね♪ まさに「京都といえばこの風景」のひとつではないでしょうか。


現在の清水の舞台 ~12年に渡る「平成の大改修」~

現在の本堂(撮影日:2018年9月21日)


清水の舞台がある本堂(国宝)は、現在、檜皮(ひわだ)屋根の葺き替え工事中で、全体が素(す)屋根に覆われています。葺き替え工事は明治以降3度目となる大改修で、なんと50年ぶりなのだそう。

これは2008年から清水寺の様々な建物の改修工事を行っている「平成の大改修」によるもので、馬駐(うまとどめ)、子安塔(こやすのとう)、阿弥陀堂、奥院など重要文化財7棟の改修が順番に終了。現在は、フィナーレとなる本堂と釈迦堂(重文)に着手されていて、2020年に終了予定となっています。

2013年に修復を終えた子安塔


素屋根の中はどうなっているの?


屋根の葺き替え工事が始まったのが、2017年2月。約1年半が経った今、どんな作業が行われているのでしょう。工事現場は通常は立ち入り禁止なのですが、清水寺執事補の大西英玄(えいげん)さんに特別にご案内いただきました。

素屋根の中に入ってみて、まず驚いたのが屋根の大きさ。正面約36メートル、側面約30メートルもある本堂の屋根ですから、そのスケールに圧倒されて当然です。が、目の前にして初めて、いかに大きな屋根か実感できました。

大西さん 「改修工事は、最初に半年がかりで素屋根を作り、次に檜皮をめくるのに半年かかりました。それから、葺き替え作業です」

・・・ということは、実際に葺き替えが始まったのは開始から約1年後!?


工事終了予定の2020年に間に合うのかな・・・? と一瞬思ったのですが、場所によっては綺麗に葺き替えが終了している部分もあり、改修工事は順調に進んでいるそう。今年(2018年)8月に本堂の蔀(しとみ、格子などを取りつけた板戸のこと)が取り外され、工房にて漆の塗り直しも並行して行われているのだとか。

大西さん 「改修工事は様々な職人さんのご協力のもとで成り立っています。漆喰(しっくい)、瓦など、それぞれ専門の方に修理していただいているので、たくさんの方が出入りしているんですよ」

国宝の修復ですから、きっと京都屈指の・・・ いえ、全国屈指の職人さんが集結しているんだろうなと考えながら歩いていると・・・


檜皮を切り揃えている職人さん(棟梁さんだそう!)がいらっしゃいました。すーーっと素早く檜皮をスライドさせ刃物で切っていくのですが、これはプロだからこそなせる技。

大西さん 「簡単に見えるでしょう? でもこの作業、実は日本でも200人ほどしかできない職人ワザなんですよ」

文化財を保護していくためには、たくさんの伝統技術が必要不可欠なようです。


葺き替えに使用されている檜皮は全国から集められたもので、これだけの数を集めるのはとても苦労されたそう。工事が始まる2017年より前から準備されていて、この為に檜皮保管用の倉庫も作られたのだとか。

大西さん 「現在、清水寺では、京都の山間地域である花背や京北、舞鶴にある山にヒノキの植林をしています。ですが、まだまだ育てるのに時間がかかり、実際に檜皮が採れるようになるのは200年後くらいでしょうか」

200年・・・ 気の遠くなるような数字です。未来の修復工事のために、守り育て続けていくのもまた、努力が必要となります。


次世代へつなげる思い。ひとときだけでも手を合わせてもらえれば

ミニ清水の舞台からもしっかり景色が望めます


大がかりな本堂の改修工事。本来ならば、拝観中止にした方が工事も早く進むのでは? と思い、大西さんにお伺いしてみました。

大西さん 「確かにその方が早く進みます。ですが、せっかくお参りに足を運んでくださった方々に少しでも清水寺がどんなお寺か知っていただけるようにと思うと、拝観を中止するより、どうにか安全にご覧いただける部分を確保するよう、工事を進めてまいりました。ですので、清水の舞台も狭いスペースではございますが、ご覧いただけるようにしております」

大きな工事の最中でもたくさんの方が訪れる清水寺だからこその、ありがたいご配慮です。

大西さん 「“観光”として多くの方々がいらっしゃってくださいますが、ここは“お寺”。入り口としてまず“観光地としての清水寺”を知っていただき、お参りしながらその奥にある歴史や信仰があるということを感じていただければと思います。お寺にいるあいだ、ひとときだけでも仏様に手を合わせ、お心を寄せてみてくだされば嬉しいですね」

昨年秋の清水寺インスタグラムより


観光といえば・・・ 近年、清水寺の公式インスタグラムが話題となっていて、お寺の行事や日常風景を投稿されています。どれも美しく、目を引くお写真ばかり。投稿された記事を見て清水寺を訪れる方も多いそうです。

大西さん 「清水寺に“まず訪れていただく”というのが入り口なら、インスタグラムは入り口への“手ほどき”のようなもの。ご覧いただき、興味を持っていただけることに感謝しています。お寺では、古くからある歴史や信仰を次世代へとつなげていかなければなりません。そこには、“足し算”として新しい媒体やイベントなど、多様な方法でお寺の情報を発信していくのも大事ではないかなと思います。その手法が歴史に加わっていけるよう、改良を続けながら、長く続けていくことも重要ですね」

時代はもちろん、訪れる方もどんどん変わっていくなか、建物やその歴史など、古くからあるものを守り、伝えていくことは大変難しいこと。お寺の多様性も、歴史を伝えていく手段としてとても大事なことなのだなと感じました。

*****
素屋根で覆われた改修中の本堂を拝観していると、50年ぶりとなるこの風景も、後に清水寺の長い歴史のなかの一部になっていくのだなと感慨深いものがありました。早ければ2020年に工事は終了しますので、それまでに一度、訪れてみてはいかがでしょうか。「そう京」キャンペーンポスターのアングルで写真を撮って、今と過去を見比べてみるのも面白いかもしれませんよ♪

ご案内いただきました大西さん、ありがとうございました!

清水寺・大西英玄さん


清水寺
【拝観時間】6:00~18:00(季節により変動あり)
【拝観料】400円
【電話】075-551-1234
【アクセス】市バス「清水道」・「五条坂」バス停から徒歩約10分 Google map
【公式ホームページ】https://www.kiyomizudera.or.jp/
【公式インスタグラム】https://www.instagram.com/feel_kiyomizudera/?hl=ja

 

Written by. オパン

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