
京の和菓子の玉手箱 15
紅葉シーズンも終盤。そろそろ冬の足音が聞こえてくる季節ですね。和菓子屋さんも冬の装いとなる12月には、京都でどんなお菓子に出会えるのでしょうか。和菓子ライフデザイナー・小倉夢桜(ゆめ)さんにご案内いただきながら、一足早く古都の冬を感じてみましょう♪
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今年も早いもので残すところ、あと1ヶ月。紅葉狩りに訪れる方で賑わった京都も、12月に入れば少し穏やかな気配に。和菓子屋さんでも、秋の店頭を飾った色鮮やかで華やかな紅葉にちなんだ意匠のお菓子は役目を終え、落ち着いた色合いのお菓子が並びはじめます。和菓子の彩りが、私たちに冬の訪れを知らせてくれます。
冬支度 【京菓匠 長生堂】

冬支度 292円(12月上旬~下旬販売予定)
京都の冬の味覚を代表する、千枚漬け。この季節の食卓には欠かせないお漬物です。9月頃から漬け込みが始まり、寒さの厳しくなる11月から12月が最盛期。漬け物職人さんたちが聖護院かぶらを薄く削り、小気味よい冬の調べを奏でます。
名前の由来は、1樽に1,000枚以上を漬け込むところからきているそう。12月になると和菓子にも聖護院かぶらをモチーフにしたお菓子が登場。コロンとした愛らしいフォルムが、京の冬を感じさせます。
■京菓匠 長生堂
【営業時間】10:00~18:00
【定休日】月曜日・火曜日
【電話】075-712-0677
【アクセス】市バス「北大路植物園前」バス停から徒歩すぐ Google map
【公式ホームページ】http://chouseido.com/
冬ごもり 【御菓子司 亀屋則克】

冬ごもり 360円(12月上旬~下旬販売予定)
本格的な冬の到来を迎えるのが、二十四節気「大雪(たいせつ)」の頃。2018年は12月7日(金)にあたり、例年であれば平野部にも雪が舞い降ります。「雪月花」という言葉があるように、日本人は月・花とともに“雪”をこよなく愛してきました。和菓子の世界でも大雪を迎える頃、雪にちなんだお菓子がお店に並ぶようになります。
雪輪や雪華(せっか)文様をあしらったものなど、意匠はお店によって様々。こちらは、雪華文様の焼印を入れた、とてもシンプルなお菓子です。それだけに焼印の美しさがお菓子の出来栄えを左右します。美しく整えられたお菓子を手のひらで愛でていると、雪景色となった京都の風景が目に浮かんでくるようです。
■御菓子司 亀屋則克
【営業時間】9:00~17:00
【定休日】日曜日・祝日、第3水曜日
【電話】075-221-3969
【アクセス】地下鉄烏丸線「烏丸御池駅」から徒歩約7分 Google map
【公式ホームページ】https://www.kameyanorikatsu.com/
冬将軍 【亀屋友永】

冬将軍 324円(12月上旬~下旬販売予定)※事前にご予約ください
12月から2月にシベリアより南下してくる寒気団。その現象を「冬将軍がやってきた」と表現することがあります。“冬将軍”は、冬の神を意味する「冬帝(とうてい)」とも呼ばれ、冬の季語にもなっています。俳句をされている方には馴染みのある言葉なのではないでしょうか。
菓銘を「冬将軍」とする、こちらの和菓子。その意匠は、凍てつく寒さのなかにぬくもりを添える山茶花(さざんか)です。意匠と菓銘を対象的にすることによって、より山茶花の温かみが際立つという、妙を感じるお菓子です。
■亀屋友永
【営業時間】9:00~18:00
【定休日】日曜日、第3水曜日(8/15・16、1/1~3は休み)、他 臨時休業あり
【電話】075-231-0282
【アクセス】地下鉄烏丸線「丸太町駅」から徒歩約5分 Google map
北山 【京菓子司 千本玉壽軒】

北山 378円(12月上旬~下旬販売予定)※事前にご予約いただきますと確実です
京都市の北部に連なる北山や、比叡山の頂に雪が薄っすらと積もっている光景を見ると、いよいよ、京都に本格的な冬が到来したと感じます。
こちらは、北山の頂に雪が積もった情景を表現した“こなし製”のお菓子。北山に多く植栽されているのが、北山杉。丸太として重宝される樹木の持つぬくもりと、深山に降る雪のイメージが上手く調和し、冬の情景を表現されています。眺めているだけでも自然と心が安らぐ、シンとした京の冬を映した、美しいお菓子です。
■京菓子司 千本玉壽軒
【営業時間】8:30~18:00
【定休日】水曜日
【電話】075-461-0796
【アクセス】市バス「千本今出川」バス停から徒歩約1分 Google map
【公式ホームページ】http://sentama.co.jp/
静けき夜 【京菓子司 亀屋良長】

静けき夜 378円(12月1日~25日販売予定)※事前にご予約いただきますと確実です
クリスマスが近づくと、京都の和菓子屋さんにもクリスマスにちなんだ可愛らしい意匠のお菓子が並びます。近年では、時代の流れとともにそのような光景が当たり前のようになってきました。
-和菓子でクリスマス-
クリスマスの過ごし方に変化が起こってきているようにも感じられます。
こちらの和菓子は、薯蕷(じょうよ)製のお饅頭に、クリスマスにちなんだリースの意匠をあしらっています。リースが「輪」になっているのは、「はじめも終わりもなく、永遠に続く神の愛」という意味。緑色は“常緑樹の緑”を表し、「農作物の繁栄」を願う意味があるといいます。可愛らしい、こちらのお菓子。女性を中心にとても人気が高いそうです。
まだ、和菓子でクリスマスを過ごしたことがないという方は、ぜひ今年は、職人さんのアイデアが詰まった和菓子とともに過ごしてみてくださいね。
■京菓子司 亀屋良長 本店
【営業時間】9:00~18:00
【定休日】1月1日・2日
【電話】075-221-2005
【アクセス】市バス「四条堀川」バス停から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】http://kameya-yoshinaga.com/
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いかがでしたでしょうか。これから年末にかけては、慌ただしい日々となる時季ですが、和菓子でひといき、心を癒して、素晴らしい年を迎えていただきたいと思います。
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文・写真:小倉夢桜 —Yume—
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファー。京都五感処・京都Loversフォーラム代表。2012年よりホームページ『きょうの「和菓子の玉手箱」』を運営し、毎日京都の和菓子を紹介し続けている。現在は『月刊京都』(白川書院)で「月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』」を連載中。
【きょうの『和菓子の玉手箱』】http://kyoto-lovers-forum.com
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