
(知恩院 提供)
当日レポート ~2018年12月8日実施~
いよいよ今年(2018年)も残すところあとわずか。「そうだ 京都、行こう。」では、素敵な思い出をもって新年を迎えていただくべく、お坊さまのご案内でお寺の非公開エリアを巡るイベントを開催しました。
訪れたのは、大晦日にテレビ中継される「除夜の鐘」に過去何度も登場したことのある知恩院。師走に詣でるにふさわしいお寺で過ごした特別なひとときをレポートします!
⇒「そう京」イベントに参加するには、カードへのご入会が必要です。詳しくはこちら

まずは、通常非公開の古経堂で、知恩院のお坊さまである堀田執事から、浄土宗の開祖である法然上人の激動の人生や、知恩院の大伽藍ができあがるまでの歴史についてお聴きしました。
かみ砕いた言葉と分かりやすい解説で、難しく感じる仏教のお話もすんなりと頭に入っていきます。法話が終わる頃には、浄土宗のことをしっかりと学ぶことができました。

なかでも興味深かったのが、知恩院の名前です。皆さまは、お寺の名前が「山号」、「院号」、「寺号」の3つからなることをご存じでしょうか。知恩院は、山号が「華頂山(かちょうざん)」、院号が「知恩教院(ちおんきょういん)」、寺号が「大谷寺(おおたにでら)」となり、「華頂山知恩教院大谷寺」が正式名称です。
普通は寺号が通称となり広まるそうですが、知恩院は院号が有名になったそう。「山号が有名になったお寺には、比叡山や高野山などがありますね」と堀田執事。普段なら気にもとめないお寺のマメ知識を知ることができるのも、お坊さまからお話を聴く魅力のひとつです。

法話のあとは、日頃から信徒の方を案内される山本さんの先導で諸堂拝観へ。まずは、法然上人のお像をおまつりする法然上人御堂でしっかりとお参りし、お焼香をあげてから、阿弥陀堂へ向かいました。
阿弥陀堂は明治43年(1910)に再建された比較的新しいお堂で、現在は結婚式会場としても使用されているそうです。きっと、伝統と格式に満ちた思い出深い結婚式になるのでしょうね。

阿弥陀堂
阿弥陀堂の注目ポイントは“扁額”。「あの文字、なんと書いてあるか分かりますか?」と山本さんが指さす方へ視線を向けると、確かに暗号のような複雑な図形が見えます。
「あれは、大谷寺と読みます。言われるとなんとなくそう読めますよね(笑)」と、山本さん。そう、知恩院の寺号「大谷寺」はここに掲げられていたのです。「華頂山」は三門に、「知恩教院」は勢至堂と、他の扁額もきちんと掲げられているそう。皆さんもお参りの時に、ぜひ探してみてください。

御影堂
阿弥陀堂の向かいには工事用のフェンスに覆われた巨大な建物がありました。こちらは、「御影堂(みえいどう)」と呼ばれる、国宝のお堂。
平成23年(2011)の法然上人800年大遠忌に際し、平成24年(2012)から約8年間かけて半解体を伴う大修理が行われています。再来年(2020年)の5月には再びお参りできる予定なのだそう。美しく蘇った御影堂を見に、もう一度訪ねたいですね。

経蔵
次に訪れたのは、今回の特別拝観箇所のひとつ、経蔵(きょうぞう)。門扉はもちろん窓までも堅く閉ざされた通常非公開のお堂ですが、会員様のために扉を開けていただくことに。
中央には輪蔵(りんぞう)と呼ばれる、お経を納める八面体の大きな書棚が設置されています。書棚は回転式で、一回転すれば経典を読破したのと同じ功徳があるそう。現在は文化財保護のため動かしていないそうですが、「今でもきちんと回転しますよ」と山本さん。いつの日か、動いているところを見てみたいものです!

輪蔵(知恩院 提供)
輪蔵の台座部分には金剛力士や帝釈天といった8体の木像が安置されていて、とても賑やか。どの像も輪蔵を回す方向に腕を伸ばし、回転を手助けするように配置されています。ところが、「ひとりだけ反対方向を向いている方がいます」と山本さん。
探してみると、確かに逆方向に手を突っ張っている方を発見! 増長天と呼ばれる仏様で、なぜ反対を向いているのか残念ながら理由はよく分からないそうです。なんとも不思議な仏様に会員様も興味津々のご様子でした。

最後の特別拝観は、年末の除夜の鐘で有名な知恩院の大鐘楼。普段は入ることのできない柵の内側に入り、直径約2.8メートルもの巨大な鐘を間近でご覧いただきました。
何度も鐘撞きの経験がある山本さんからは、知恩院ならではの独特の撞き方や、年末のテレビ放映の裏話も、こっそり教えていただくことに。
山本さんいわく、撞き方にも上手、下手があり、12月27日に行われる試し撞きの成果で本番に担当するお坊さまを決めるとのこと。会員様にとって初めて知るであろう、面白くて驚かされる話に笑い声が絶えません。
⇒知恩院の「除夜の鐘」についてはコチラをご覧ください

※通常は鐘に触ることはできません。
さらに、特別に鐘にも触れさせていただくことに。これには、会員の皆さまも大興奮です。「鐘(かね)を持っている写真を撮れば金持ちになれる」というユニークな願掛けも教えていただき、急遽、記念撮影会も開催です!
他にも、鐘のなかに入って覗いてみたり、両手で鐘の厚みを確認してみたりと思い思いに楽しんでいらっしゃいました。他では味わえない体験ができるのも特別拝観イベントの醍醐味です。

男坂
ビュースポットである男坂から、国宝の三門を一望できる眺めを楽しんでイベントは幕を閉じました。「お坊さまのお話をゆっくり聴けて良かった」「一人じゃ体験できないことばかり。スゴイ!」と皆さまもご満足いただけたよう。またとないひとときを過ごし、心を豊かに新たな年を迎えられそうです。
ためになる法話を聴かせていただいた堀田執事、最後まで楽しくご案内いただいた山本さん、ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました!
皆さまにとって新年が素晴らしいものになりますように。そして、「そう京」イベントで再びお会いできるのを楽しみしています♪
⇒2019年に開催予定のイベント一覧はコチラから!