
京の和菓子の玉手箱 16
あけましておめでとうございます。2019年も「京の和菓子の玉手箱」では、和菓子ライフデザイナーの小倉夢桜(ゆめ)さんに美しい京菓子の世界をご案内いただきます♪ 今回は、新年の幕開けにふさわしい7つの和菓子をピックアップ。古都の新春を和菓子から感じてくださいね。
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新年の和菓子店には福がいっぱい。数多くの縁起物にちなんだお菓子がところ狭しと並べられ、一年で最も華やかな雰囲気に。“松竹梅”をはじめ“鶴亀”、“干支”など、めでたい意匠のお菓子たちに目を奪われます。
-見ているだけで幸せな気分-
その気分を皆さんにお裾分け。新年らしい華やかな意匠のお菓子たちをご紹介させていただきます。
うり坊【長久堂】

うり坊 454円 ※事前にご予約ください
2019年の干支は「亥」。その“イノシシ”にちなんだお菓子をまずご紹介させていただきます。
成長したイノシシは勇猛果敢で少し近寄りがたいイメージがありますが、赤ちゃんの時には「うり坊」と呼ばれ親しまれています(地方によっては、「うりんこ」や「うりっこ」と呼ばれることも)。“瓜のような形”と“瓜のような模様”が背中にあることから、そう呼ばれるようになりました。
こちらは、うり坊がすくすくと成長して一人前になった様子を、細かい“目の毛通し”で表現した、練り切りきんとん製のお菓子です。一人前になってもまだまだ愛くるしい雰囲気に、思わず笑みがこぼれます。予約のみの販売になりますので、ご予約の際に「このブログを見た」とお伝えいただくとスムーズです。
■長久堂 北山店
【営業時間】9:30~18:00
【定休日】不定休
【電話】075-712-4405
【アクセス】地下鉄烏丸線「北山駅」から徒歩約10分 Google map
【公式Facebook】https://www.facebook.com/chokyudo/
初富士【二條若狭屋本店】

初富士 378円(1月4日~15日頃まで販売予定)
初夢に見ると縁起がいいモチーフとして、昔から知られている「一富士二鷹三茄子」。“初夢”は、一般的には“元日から2日の夜に見た夢”とされています(諸説あります)。皆さんは、どのような初夢を見られたでしょうか。
富士山をモチーフとした、外郎(ういろう)製のお菓子。開運の縁起もの“赤富士”が、晴れ渡った青空を背に描かれます。この和菓子のように、2019年がみなさんにとって晴れやかな素晴らしい一年となりますように!
■二條若狭屋本店
【営業時間】8:00~18:00、日祝8:00~17:00
【定休日】水曜日(1/1~3は休み)
【電話】075-231-0616
【アクセス】地下鉄東西線「二条城前駅」から徒歩約5分 Google map
【公式ホームページ】http://www.kyogashi.info/
初日の出【御菓子司 塩芳軒(しおよしけん)】

初日の出 453円(1月上旬~下旬販売予定、事前にお問合せください)
皆さんのお住まいの地域から、“初日の出”を拝むことはできましたか? 新年最初の日の出とともに“年神(としがみ)様”が現れるとされ、その年の豊作や幸せを祈るために初日の出を拝む風習があります。そのありがたい初日の出にちなんだお菓子です。
とても貴重な「備中白小豆」を赤く染め、初日の出を表現しています。このように餡玉に小豆や栗をつけた意匠のお菓子のことを「鹿の子(かのこ)」と呼び、子鹿の背中に現れる“まだら模様”に似ていることから名付けられたそう。古来より、子孫繁栄を象徴する吉祥文様として親しまれてきました。意匠の妙もさることながら、備中白小豆の独特の風味を愉しむことができる希少なお菓子です。
■御菓子司 塩芳軒
【営業時間】9:00~17:30
【定休日】日曜日・祝日、月1回水曜日(不定休)
【電話】075-441-0803
【アクセス】市バス「堀川中立売」バス停から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】http://www.kyogashi.com/
初詣【京菓子司 笹屋吉清(ささやよしきよ)】

初詣 290円(1月上旬~下旬販売予定)
正月三が日に初詣に行かれた方も多いでしょうか。お参りの際、神社のご本殿にある鈴をガラガラと鳴らします。その鈴のことを、正式には「本坪鈴(ほんつぼすず)」と呼びます。
鈴を鳴らすことで身体や心についた罪や穢れを祓い、願いをかけるために神様を呼ぶとされています。この鈴をモチーフとした、こなし製のお菓子。きっと、幸せを呼ぶ音色が鳴ることでしょう。
■京菓子司 笹屋吉清
【営業時間】9:00~18:00
【定休日】水曜日、第4木曜日
【電話】075-781-0904
【アクセス】市バス「府立大学前」バス停から徒歩約1分 Google map
【公式ホームページ】http://sasaya.org/
神の梅【老松】

神の梅 389円(12月下旬~3月頃販売予定、事前にお問合せください)
迎春の代表的な縁起物として親しまれている、松竹梅。その中から梅にちなんだ意匠のお菓子を紹介します。
京都で暮らす人々にとっては、元旦の朝に祝膳の初茶として欠かすことのできない「大福梅(おおふくうめ)」。事始め(12月13日)から終い天神(12月25日)の頃まで、北野天満宮で授与される縁起物です。北野天満宮は言わずと知れた梅の名所。ご祭神である菅原道真が梅をこよなく愛したと伝わり、なかでも特別に好んだと言われる紅梅を、神々しく表現したこなし製のお菓子です。
■老松 北野店
【営業時間】9:00~18:00
【定休日】不定休
【電話】075-463-3050
【アクセス】市バス「上七軒」・「北野天満宮前」バス停から、それぞれ徒歩約5分 Google map
【公式ホームページ】http://oimatu.co.jp/
★「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード特典協力先です。特典内容はこちら。
亀甲寿(きっこうじゅ)【紫野源水(むらさきのげんすい)】

亀甲寿 430円(1月上旬~下旬販売予定、事前にお問合せください)
六角形の“亀の甲羅”をモチーフとした文様を、「亀甲(きっこう)文様」といいます。長寿や吉兆の象徴である「鶴亀」に繋がる縁起のいい文様で、“吉祥文様”の代表格として古くより愛されてきました。
亀甲を模り、「壽」の文字をあしらった、新春を代表する意匠をまとった和菓子。こしあんを黄味あんで包んだお菓子は、見ているだけでも福々しい装いです。ほろりとほどける上品な甘さを召し上がって、口福を引き寄せてくださいね。
■紫野源水
【営業時間】9:30~18:00
【定休日】日曜日・祝日
【電話】075-451-8857
【アクセス】地下鉄烏丸線「北大路駅」から徒歩約8分 Google map
明けの光【千本玉壽軒】

明けの光 400円(1月上旬~下旬販売予定)
毎年、1月の中旬に皇居・宮殿で開かれる「歌会始(うたかいはじめ)の儀」。「歌会」とは、ひとつの共通のお題で歌を詠み、披講する会のことで、天皇陛下が年の始めの歌会として執り行われる歌御会(うたごかい)が「歌会始」です。京都の和菓子店では、毎年、このお題に合わせてお菓子を作るのが、明治以降の慣例となっています。
そのお菓子が「勅題菓(ちょくだいか)」で、祝い菓子であるとともに、新年ならではのお菓子です。毎年変わる様々なお題に合わせて「意匠」と「菓銘」を考えなくてはならないため、職人さんの豊富な教養と感性が問われます。そのため、勅題菓を見てお店の良し悪しを決めるお客さんもいるほど・・・ お店にとって、重要なお菓子のひとつです。
「平成31年歌会始」のお題は、「光」。こちらの和菓子は、海・太陽・朝焼けをひとつのお菓子の中で表現されています。年が明け、夜が明けたその先には、明るい未来が- お菓子から勇気をもらって、新しい一年を過ごしてみてはいかがでしょうか。
■千本玉壽軒
【営業時間】8:00~18:00
【定休日】水曜日
【電話】075-461-0796
【アクセス】市バス「千本今出川」バス停から徒歩約1分 Google map
【公式ホームページ】http://sentama.co.jp/
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今回は新年にふさわしいお菓子をご紹介させていただきました。2019年が皆さんにとって佳き一年となりますように。
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文・写真:小倉夢桜 —Yume—
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファー。京都五感処・京都Loversフォーラム代表。2012年よりホームページ『きょうの「和菓子の玉手箱」』を運営し、毎日京都の和菓子を紹介し続けている。現在は『月刊京都』(白川書院)で「月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』」を連載中。
【きょうの『和菓子の玉手箱』】http://kyoto-lovers-forum.com
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