
廬山寺 鬼踊り
当日レポート ~2019年2月2日実施~
2月3日は節分。京都でもたくさんのお寺や神社で、除災招福を祈願して節分会が行われます。なかでも特別長い歴史を有するのが廬山寺の追儺式(ついなしき)鬼法楽です。
今年(2019年)も約3,000人の参拝者が訪れたそうですが、そのお目当ては鬼踊り。赤、青、黒の3体の鬼が独特の所作で踊る姿をひと目見ようと、大変賑わいました。
「そうだ 京都、行こう。」オリジナルイベントでは、本番に先駆け、前日の2月2日に行われた「鬼踊り」の練習会を特別に見学! 暗闇のなか行われた幻想的な踊りを、参加者限定で堪能した当日の様子をレポートします!
⇒「そう京」イベントに参加するには、カードへのご入会が必要です。詳しくはこちら

まずは、管長の町田泰宣(たいせん)さんから、節分と鬼踊りについてお話しいただきました。
節分とは春夏秋冬の節目のこと。なかでも冬の節分(2月3日)は、旧暦における大晦日にあたることから、特に大切な日とされてきました。この節分の日に一年の厄を祓うのが節分会であり、現在でも全国の社寺でさまざまな祭事が行われています。
とくに京都の節分会では鬼の登場が多いのですが、そのほとんどは近年になってから始められたものだと町田さんは語ります。一方で、廬山寺の鬼は鎌倉時代まで歴史を遡るほど古く、その当時使われていた鬼の古面「降魔面」も現存しているというから驚きです。

本番用の鬼の着ぐるみ
会場には本番用の鬼の着ぐるみが出番を待つように鎮座していました。「鬼らしい、いい顔をしているでしょう」と町田さんも絶賛する鬼の面は、確かに迫力があり、かつ風格を感じる面構え。会員の皆さまが、ついつい見入ってしまうのも分かります。
これだけの力作、いったいどこで作られたのか気になりますよね。じつは、「東映太秦映画村」で有名な東映の撮影所とのこと! 映画のセットや道具製作で培われた東映の技術で生み出された鬼の着ぐるみ。さらに、鬼の顔は降魔面にもとづいて作られたそう。なるほど、納得の完成度です。
本来、お寺の関係者しか知ることのできない、祭りの舞台裏ともいえる興味深い話が聴けるのもイベントの醍醐味。そして、お話のあとは、いよいよ鬼踊りの練習が始まります!

大師堂に乗り込む鬼
練習が行われたのは、本番と同じく大師堂のなか。2月3日はお堂の外からしか見学できませんが、この日は間近で見学できる堂内の特等席にご案内いただきました。薄暗い本堂に、ドンッ、ドンッと太鼓の音が響き渡るなか現れたのは、赤、青、黒の3体の鬼。
赤鬼は欲深いことを表す貪欲(どんよく)、青鬼は怒りや憎しみを表す瞋恚(しんい)、黒鬼は無知を表す愚痴(ぐち)と、人々の心を悩ます根源と考えられている3種類の煩悩を表現しているそう。赤、青、黒の順番で、しこを踏むように、のっし、のっしと大師堂に踏み込んできます。

堂内を練り歩く鬼たち
太鼓の音と床を踏みしめるタイミングが合い、まるで鬼達の足音が響いているよう。
追儺式鬼法楽のストーリーは、節分に護摩法要をしている僧侶のもとへ、邪魔をしにやってきた3体の鬼を、法力で鎮め退散させるというもの。そして、邪魔をするように僧侶の周りを回り、退治されるまでの独特な動きを指して「鬼踊り」と呼んでいます。
熟練の人でも終わった後は倒れてしまうほど体力を使う難しい動き。鬼を演じているのは檀信徒の皆さまで、17歳頃から参加し黒鬼から青鬼、最後は赤鬼と順番に務め、技を磨いていくのだといいます。
今年の赤鬼は48歳の大ベテランで、その動きは力強く経験の差を感じさせるものでした。歴史ある行事を絶やすことなくつづけてこられた檀信徒の皆さまの研鑽に、感動を覚えます。

法力でふらつく鬼たち
最後は、法力によって苦しむ鬼が境内に逃げ出す場面。おどろおどろしい動きから一変し、まるで酔っ払ったかのような動きはユーモアがあり、笑みがこぼれます。
最後の黒鬼が堂内を去ると、会員の皆さまから大きな拍手が湧き起こりました! なかには「凄い迫力!」「暗闇で陰影が濃く、より鬼らしい表情だった」「まるで本物のようで幻想的だった!」と、熱を込めて感想を伝えてくださる方も。
実は、町田さんも「鬼踊りは夜に見るのが一番いい」と太鼓判を押すほど。ご参加いただいた皆さまにも、その感動が伝わったようでなによりです。歴史ある踊りを目の前で披露していただいた感動は、何ものにも代え難い思い出となりましたね♪

特別公開された寺宝
鬼踊り以外にも、節分期間にしか公開されない寺宝を、拝観させていただくことに。
鬼を退治したと伝わる法具や、京都府で最古と評される鬼の面「降魔面」など興味深い文化財を、町田さんからひとつひとつ丁寧に解説いただきます。さらに、かの有名な戦国武将、明智光秀の念持仏も特別に公開。最後まで盛りだくさんの内容となりました。

廬山寺特製の蓬莱豆
ご参加いただいた皆さまには、鬼が退散したあとに行われる豆まきの豆「蓬莱(ほうらい)豆」が授与されました。
大豆の外側を砂糖でコーティングした紅白の特製豆で、紅白のふた粒を食べれば6年寿命が伸びるといわれる縁起物です。「これを食べて、また廬山寺を訪ねてください」と町田さんの温かい言葉に見送られながらイベントは終了です。
お祭りの舞台裏に潜入するという「そう京」イベントだからこそ実現した特別な一夜は、ご満足いただけたでしょうか。これからも、あっと驚く企画を開催していきますので、興味を持っていただけた方は、ぜひこちらをご覧ください♪
特別な機会を作ってくださった町田さん、廬山寺の皆さま、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!
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