京の和菓子の玉手箱 20
10連休が終わり、「令和」最初の和菓子ブログ。シリーズ20回目となる今回は、5月の和菓子をピックアップします! きらめく新緑や瑞々しい初夏の花々を映した、目にも鮮やかなお菓子たち。見ているだけでも清涼な古都の風が感じられそうですよ♪ ご案内は、“和菓子ライフデザイナー”の小倉夢桜(ゆめ)さんです!
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初夏のイメージ(城南宮)
新緑の季節。京都市内では、いたるところで若葉萌える爽やかな情景を目にすることができます。木漏れ日の中、ぶらりと気の向くままに散策しているだけでも心癒される季節です。
この時季だからこそ、のんびりと新緑を訪ね歩いてみませんか。きっと、思いがけない出会いが皆さんに訪れるはず。そして、素敵な和菓子たちに出会ってくださいね。
⇒「京都青もみじ情報2019」はこちら
藤浪【二條若狭屋本店】
藤浪 378円(4月下旬~5月下旬販売予定)
古来より藤の花は、桜とならび日本の美の象徴として様々な場面に登場してきました。薫風に揺られる花の様子は優美そのもの。そして、花の素晴らしい香り・・・
枝から伸びる花穂が長く垂れ下がり、風に揺れてたなびく様子はまさに波のよう。「藤浪(ふじなみ)」は、その情景から万葉時代に生まれ歌語となったといわれています。
『万葉集』にも詠われた優美な藤の姿を、上用饅頭に表現したお菓子です。
■二條若狭屋本店
【営業時間】8:00~18:00/日祝8:00~17:00
【定休日】水曜日(1月1日~3日は休み)
【電話】075-231-0616
【アクセス】地下鉄東西線「二条城前駅」から徒歩約5分 Google map
【公式ホームページ】http://www.kyogashi.info/
唐衣【千本玉壽軒】
唐衣 400円(5月上旬~下旬販売予定)
『唐衣(からころも) 着(き)つつなれにし 妻(つま)しあれば はるばる来ぬる 旅(たび)をしぞ思ふ』(在原業平)
句頭に「か・き・つ・ば・た」を詠み込んだ「折句」と呼ばれる、有名な和歌。『伊勢物語』に登場し、在原業平が三河国八橋で杜若が咲き誇る様子を見て、この和歌を詠んだそうです。
外郎(ういろう)を折りたたみ杜若の花を表現した、この時季を代表するお菓子のひとつ。無駄を一切省いた京菓子らしい意匠が可憐です。
■千本玉壽軒
【営業時間】8:00~18:00
【定休日】水曜日
【電話】075-461-0796
【アクセス】市バス「千本今出川」バス停から徒歩約1分 Google map
【公式ホームページ】http://sentama.co.jp/
斎王代【長久堂 北山店】
斎王代 454円 ※事前にご予約ください
平安装束を身につけた500人ほどの行列が京都御所から上賀茂神社までを優雅に進む「葵祭」は、まるで王朝絵巻そのもの。その中でも一際、見物客の視線を浴びているのが斎王代(さいおうだい)です。
斎王代のみが許されている、五衣(いつつぎぬ)・裳(も)・唐衣(からぎぬ)を重ねて着る「十二単」。豪華な衣装を着て腰輿(およよ)で優雅に進む姿に、思わず見惚れてしまった方も多いのではないでしょうか。
その「十二単」を表現した外郎製のお菓子。優美な斎王代の姿が自然と目に浮かんでくるような華やかさです。
■長久堂 北山店
【営業時間】9:30~18:00
【定休日】1月1日・2日
【電話】075-712-4405
【アクセス】地下鉄烏丸線「北山駅」から徒歩約10分 Google map
【公式Facebook】https://www.facebook.com/chokyudo/
早苗【亀屋良長】
早苗 400円(2019年5月6日~12日販売予定)
5月は旧暦では「皐月(さつき)」。農家では田植えが始まる頃です。皐月の“さ”は古語で耕作を意味し、そこで稲作の月から「さつき」という名になったといわれています。
また、早苗を植える月「早苗月(さなえづき)」といわれていたのが、後に短く略されて「さつき」となったとの説も。
京都市郊外の山沿いには、今も懐かしい田園風景が広がります。真っ青な空の下、田植えを終えたばかりの苗が並ぶ水田。この時季ならではの風景を表現した、薯蕷(じょうよ)製のお菓子です。
■亀屋良長
【営業時間】9:00~18:00
【定休日】1月1日・2日
【電話】075-221-2005
【アクセス】市バス「四条堀川」バス停から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】http://kameya-yoshinaga.com/
薫風【俵屋吉富 本店】
薫風 378~432円(5月末まで販売予定)
風薫る五月。新緑のなかを吹きわたる、爽やかな初夏の風。心地よい風。青葉の香りを感じながら、ゆっくりとした時間が流れます。そのようなひと時を過ごすことができるのは、この季節ならではの贅沢です。
“きんとん”で、爽やかな風が若葉や花の上を渡る様子を表現したお菓子。五感を呼び覚ますような色彩から、初夏の風を感じてみてはいかがでしょうか。
■俵屋吉富 本店
【営業時間】8:00~17:00
【定休日】日曜日
【電話】075-432-2211
【アクセス】地下鉄烏丸線「今出川駅」から徒歩約4分 Google map
【公式ホームページ】http://www.kyogashi.co.jp/
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今回は5月の京都を代表する和菓子たちをご紹介いたしました。新緑映える初夏の京都を、和菓子とともに存分に満喫してくださいね。
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文・写真:小倉夢桜 —Yume—
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファー。京都五感処・京都Loversフォーラム代表。2012年よりホームページ『きょうの「和菓子の玉手箱」』を運営し、毎日京都の和菓子を紹介し続けている。現在は『月刊京都』(白川書院)で「月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』」を連載中。
【きょうの『和菓子の玉手箱』】http://kyoto-lovers-forum.com
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