皆さん、「モスペット」ってご存じでしょうか? モスペットとは、京都にある「ことのは園藝研究所」が開発した、苔を使ったオリジナルの“苔玉”のこと。苔玉と一口に言っても、一般的な苔玉とは大違い! 愛くるしいお顔をしていて、とてもカラフル。そして土を使わないのでお部屋を汚す心配もなく、水だけで気軽に育てることができる“新感覚のペット”のような苔玉です♡
一部でじわじわと人気を集めているこのモスペット。なんと、自分でも作ることができると知り、わたし“ち~たら”と“みさご”さんで、洛北・原谷にある工房へ伺ってきました!
モスペットの誕生秘話とは!?
モスペットを開発したのは、一級室内園芸装飾技能士の資格を持つ「ことのは園藝研究所」所長・石田周平さん。まずわたしたちが驚いたのは、こんなにチャーミングなモスペットを編み出したのが男性だったということ! モスペットの誕生には、いったいどんな背景があったのでしょうか。
石田さん「実は、一級室内園芸装飾技能士の試験を受ける際に、実技試験で使うための水苔を購入したのですが、試験後に大量に余ってしまって・・・ 捨てるわけにもいかないし、何かできないかと考えた結果がモスペットだったんです。若い方たちに植物への興味を持ってもらいたかったので、苔玉に目や口を付けて可愛くしたら、受け入れてもらえるんじゃないかなと思いまして」
なんと、残りものから生まれたアイデアだったとは! こんなに可愛い見た目ですから、きっとすぐに人気がでたのではないですか?
石田さん「はじめに、手作り市で出店してみたんです。そしたら皆さんにとても喜んでいただいて。その手作り市をきっかけに、本格的な販売に向けて改良を重ねてきました」
こんなに可愛いモスペットですし、手作り市ではきっと目立っていたでしょうね! これからこのモスペット作りが体験できるなんて、ワクワクしちゃいます!
石田さんが作り上げたモスペットたち
さっそく、「モスペット」作りにチャレンジ!
(左)アート水苔、(右)乾燥水苔
まず、モスペットの胴体となる“乾燥水苔”、そして“アート水苔”を選んでいきます。アート水苔とは、特殊な和紙の繊維でできた人工のカラー水苔のこと。これを乾燥水苔に巻き付けることで胴体をカラフルにしていきます。
乾燥水苔にはワイヤーで作られたモスペットのしっぽがついていて、ハート型や渦巻き型、ト音記号などデザインがたくさんあるので、自分の気に入ったデザインをチョイス。
モスペットに使用する植物は和草や多肉植物などがありますが、今回使うのはエアープランツ(チランジア)という根を持たない植物。葉の形もさまざまです。わたしはパイナップルの葉のように広がった形のもの、みさごさんはモヒカン(!?)のようなエアープランツを選びました。
写真左がち~たら、右がみさごさんセレクトです。
お次は、乾燥水苔にエアープランツを埋め込む穴を広げる作業です。エアープランツが成長してもスペースに余裕があるくらい、グリグリと大きく広げていきます。
ちなみに、使用しているこの棒のような道具、“管(くだ)”という織物に使う道具なのだそう!
石田さん「私の実家が西陣にあって、織屋をしていたんです。その時に使っていた道具なのですが、捨てるのも勿体ないし・・・ 穴を開けるのにちょうどいいなと思って、そのまま再利用しているんですよ」
この穴を広げるために作られたのではないかと思うほどぴったりなサイズ感&持ちやすさだったので、まさか織物の道具とは思いもよりませんでした!
今度は、乾燥水苔にぐるぐるっとアート水苔を巻きつけていきます。巻きにムラがでないように気をつけながら・・・ 「緩むといけないので、少し強めに引っ張りながら巻くのがポイントです」と石田さんから細やかなアドバイスも。
一通り巻き終えたら、エアープランツが穴から外れてしまわないようにアート水苔で固定していきます。竹串を駆使しながらエアープランツの一番外側の葉をアート水苔で押さえつけるように巻いていくのですが、この作業が意外と難しい! 石田さんにサポートをしていただきながら、なんとか巻き付け作業が完了です。
だんだん、モスペットに近づいてきました
「ここからの作業が、皆さんとても悩まれるんですよ(笑)」と言いながら石田さんが取り出したのは、ワイヤーで形作られたたくさんの“口”パーツ。大きさや色などさまざまな種類があるなかから、自分のモスペットにつけるものを選んでいきます。
パーツを選んで口の位置を決めたら、竹串で2ヵ所穴を開けて口パーツを胴体に差し込みます。ですが、なんだか位置が気に入らない・・・
「一度差し込んだところが気に入らなかったら、開けた穴の部分を指でなじませると、何度でも修正できますよ」と、優柔不断なわたしに朗報! 口の「ω」の形が最大限に可愛く生かせる場所を探すため、何度も何度も修正してしまいました(笑)
さて、お次は“目”です。目も位置を決めたら、竹串で穴を開けて差し込むのですが、ほんの少し位置が変わるだけでも、顔の印象がグンと変わります。口とのバランスを考えながら、ああでもないこうでもないと悩んでいると・・・ 「目と口の距離が近いと、子供っぽい可愛い顔つきになりますよ」と石田さん。
石田さんのアドバイスに助けられ、出来上がったモスペットがこちらです! ち~たら作(左)は赤ちゃんっぽい顔つき、みさごさん作(右)はイケメン風(?)なモスペットになりました。これでようやく完成! かと思いきや・・・
モスペットを可愛くおめかしさせます♪
「最後は、これでモスペットを可愛くしてあげてください!」と石田さんが机に置いたのは、何やらキラキラと輝く大きなタワー。よく見ると、リボンやお花、メガネなど小さなアクセサリーがたくさんついているではありませんか! まるで宝箱のようなタワーを目の前にし、わたしもみさごさんも「きゃ~!! 全部可愛い~!!」とテンションMAX!
石田さん「このアクセサリーも私が作っています。女性はどんなものを可愛いと思うのか、研究を重ねましたよ~」
石田さんのたゆまぬ研究の成果によって、乙女ふたりの心は完全にわしづかみにされました。
「このリボン素敵~!」「これなんかも似合うんちゃうかな?」とワイワイしながらアクセサリーを選んでいきます。
みさごモスペット「お着替えまだかなー」
ついに、MYモスペットが完成♡
モスペット「わたしたち、お洒落さん♪」
ジャジャ~~ン!!!
悩みに悩んで、ようやくおめかし完了です! アクセサリーをつけてあげると、なんだかモスペット達も嬉しそうに見えますね。自分で作ったから、完成したときの喜びもひとしお。まるで、自分の子供のように愛おしくてたまりません♪
肝心な育て方。そのポイントは?
さて、一見育てるのが難しそうに見えるエアープランツ。全く植物を育てた経験の無いわたしでもちゃんとできるのか、不安です・・・
石田さん「育て方は非常にシンプルなので、ご安心を! 週に1~2回、モスペットを逆さに持って、葉全体に霧吹きで水をかけてあげるだけです。湿気に弱い植物なので、そのあと軽く振って水気を落としてあげてください。太陽だけでなく人工照明でも育つので、明るいお部屋に置いてあげるといいですよ」
な、なんて簡単なのでしょう! これなら、わたしのようにズボラな人や忙しい人でも、ちゃんとお世話ができそうです。
「上手に育ててあげると、こんな花も咲かせるんですよ!」と石田さんから図鑑を見せていただくと、そこには色鮮やかな美しい花姿のエアープランツが! これはぜひとも自分の手で咲かせたい! 大事に、大事に、育てるからね~。
モスペット「わたしたちもこんな風に咲きたいね~!」
モスペットには、ワンちゃんやネコちゃんタイプも。
もしも「アート水苔の色を変えたい」「植物が成長しすぎたからサイズアップしたい」「枯れてしまった・・・」などメンテナンスが必要になった場合には、ことのは園藝研究所に送れば対応していただけるそう。こんな心強いサポートがあると、安心して育てられますよね。
体験だけでなく、販売も。お手入れがいらない、造花を載せたモスペットマダムも人気です。
お部屋に彩りと癒やしを添えてくれるモスペットたち。自分だけのモスペットを作って、皆さまも、ぜひ育ててみませんか?
■ことのは園藝研究所(原谷研究所)
【営業時間】事前予約制、モスペットワークショップは1週間前までにエントリーフォームにて要予約
【所要時間】60分程度
【料金】1,480円~
【アクセス】市バス「原谷口」バス停から徒歩約7分 Google map
※最寄り駅までの送迎も可能
【公式ホームページ】http://mosspet.jp/