夏の京都に涼を呼ぶ、7月の和菓子 5選

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京の和菓子の玉手箱 22


厳しい暑さで知られる京都の夏。それだけに、京都に暮らす人々は、日々の生活のなかに上手に“涼”を取り入れる工夫をしています。和菓子の世界も、夏になると見た目にも涼やかなお菓子が勢揃い。ひんやり涼しさを感じる5つのお菓子を、“和菓子ライフデザイナー”の小倉夢桜(ゆめ)さんにご案内いただきます♪

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祇園祭で賑わう文月(7月)の京都。この1ヵ月間は、京都市中心部のいたるところで祇園囃子を耳にすることができます。


祇園祭 山鉾巡行の様子


暑い京都に欠かせないのは、やはり五感で涼を感じることができる和菓子ではないでしょうか。今回は、数多ある京都の夏の代表的な和菓子の中から、5つをご紹介させていただきます。


鉾餅(ほこもち)【鍵甚良房(かぎじんよしふさ)】


鉾餅 260円 (7月初旬販売予定)


京都の夏といえば、やはり祇園祭。例年、山鉾建て(やまほこたて)が始まる7月10日頃から、京都の和菓子屋では、趣向を凝らした祇園祭にちなんだ和菓子が販売されます。お菓子で祇園祭を感じることができるのも、この時季の楽しみのひとつです。

こちらは、鉾の“網隠し”を模ったお菓子。焼き皮で、紅色の味噌餡を包んでいます。手のひらにのせて、お菓子に心を寄せて見つめていると、「コンチキチン♪」と鉾の上で賑やかに奏でられる祇園囃子が聞こえてくるようです。今年は和菓子からも祇園祭を感じてみてはいかがでしょうか。

■鍵甚良房
【営業時間】8:00~18:00
【定休日】水曜日
【電話】075-561-4180
【アクセス】市バス「四条京阪前」バス停から徒歩約5分、京阪本線「祇園四条駅」から徒歩約5分 Google map
【公式Facebook】https://www.facebook.com/鍵甚良房-829429737253961/
【公式Twitter】https://twitter.com/kagijin_kyoto
【公式インスタグラム】https://www.instagram.com/kagijin


葛焼(くずやき)【緑菴(りょくあん)】


葛焼 475円 (7月上旬~下旬販売予定)


今年(2019年)の「土用の丑の日」は、7月27日(土)。多くの方が、夏を乗り切る為に鰻(うなぎ)を食べて過ごされることでしょう。

私は、鰻の代わりに“葛(くず)”で夏を乗り切ります。葛は、昔から滋養強壮効果が高い食べ物とされてきました。古くから、京都で夏の茶菓子として好まれてきた「葛焼」は、京都の夏を代表するお菓子のひとつ。吉野葛に小豆あんを練り込み、枠に流して蒸しあげて、かたくり粉をつけ、程よく焼いたお菓子です。見た目は地味ですが、夏の京都には欠かせません。

■緑菴
【営業時間】9:00~19:00
【定休日】第2・第4水曜日
【電話】075-751-7126
【アクセス】市バス「浄土寺」バス停から徒歩約5分 Google map
【公式ホームページ】http://www.ryokuan-kyoto.com/


水ぼたん【亀屋重久】


水ぼたん 335円(7月中販売予定、事前にお問合せください)


伝統的なお菓子の「葛饅頭」。こちらは、牡丹(ぼたん)に見立てたピンク色の餡を葛で包んでいます。

気品に満ち溢れた美しい女性のことを「立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と表現するように、牡丹の優雅さは古来より愛され続けてきました。本来は、晩春より初夏にかけて咲く花ですが、季節を越えて意匠化されています。“水ぼたん”と名付けることでより涼しげに感じることができる、先人の夏を乗り切るための知恵のひとつです。

葛だけを使用しているため、冷蔵庫に長い時間入れると濁ったり、固くなったりしてしまいます。食べる直前に少しだけ冷蔵庫で冷やしてお召し上がりくださいね。

■亀屋重久
【営業時間】10:00~19:00
【定休日】木曜日
【電話】075-461-7365
【アクセス】JR山陰本線(嵯峨野線)「花園駅」から徒歩約10分、市バス「妙心寺北門前」バス停から徒歩すぐ Google map
【公式ホームページ】http://www.kameya-shigehisa.com/


打ち水【御菓子司 聚洸(じゅこう)】


打ち水 380円(7月~8月下旬販売予定、事前にお問合せください)


夏になると京都では、門掃き(かどはき)をした後に“打ち水”を行います。京都に暮らす人々の、この季節ならではの見慣れた光景。その様子を表現したのが、こちらのお菓子です。

白あんの入った真っ白な淡雪羹(あわゆきかん)の上に、打ち水の水を表現する透明な吉野羹。その吉野羹の中に入っている三粒の小豆は、三つの踏石を表しています。暑いシーズンにだけいただける、特別なお菓子です。

■御菓子司 聚洸
【営業時間】10:00~17:00(予約販売のみ)
【定休日】水曜日、日曜日、祝日
【電話】075-431-2800
【アクセス】地下鉄烏丸線「鞍馬口駅」から徒歩約15分、市バス「天神公園前」バス停から徒歩約4分 Google map


京の朝【長久堂 北山店】


京の朝 454円 (事前にご予約ください)


庶民的な親しみがある、朝顔。朝顔は、元々は初秋の季語ですが、現在では夏の花のイメージとして扱われることが多くなってきました。弁柄(べんがら)で塗られた京町家の前に並ぶ、鉢植えの朝顔。昔ながらの風情ある光景です。

これから咲きはじめようとする朝顔のつぼみを表現した外郎(ういろう)製のお菓子。朝陽を浴びて時間の経過とともに少しずつほころぶ蕾。素晴らしい一日の始まりをお菓子から感じてください。

■長久堂 北山店
【営業時間】9:30~18:00
【定休日】1月1日・2日
【電話】075-712-4405
【アクセス】地下鉄烏丸線「北山駅」から徒歩約10分 Google map
【公式Facebook】https://www.facebook.com/chokyudo/

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今回は、5種類の夏の代表的な和菓子をご紹介させていただきました。
暑い京都の夏を和菓子で少しでも涼やかに過ごされてみてはいかがでしょうか。

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文・写真:小倉夢桜 —Yume—
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファー。京都五感処・京都Loversフォーラム代表。2012年よりホームページ『きょうの「和菓子の玉手箱」』を運営し、毎日京都の和菓子を紹介し続けている。現在は『月刊京都』(白川書院)で「月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』」を連載中。
【きょうの『和菓子の玉手箱』】http://kyoto-lovers-forum.com
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Written by. みさご

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