2020年春に御影堂落慶! 「知恩院」の見どころをご案内

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京都のお寺探訪 15


清水寺八坂神社など、観光名所が集まる東山エリアに位置する知恩院。浄土宗の総本山で、正式名称は華頂山知恩教院大谷寺といいます。東山三十六峰のひとつ・華頂山の麓に大小数多くの伽藍が建つ大寺院です。2020年4月に9年におよぶ大規模修復を終えた「御影堂(みえいどう)」(国宝)や日本最大級の木造の門「三門」(国宝)など境内の見どころや、この秋に行われる紅葉ライトアップもあわせてご紹介します。


■歴史
浄土宗の開祖・法然上人と知恩院の起こりとは?

勢至堂。知恩院発祥の地とされる、境内最古のお堂です。


知恩院は、浄土宗の開祖・法然上人が過ごした地に建立されたお寺で、今も壮大な境内を有します。その歴史は、承安5年(1175)、法然上人が東山吉水に草庵を結び、専修念仏の布教を行ったことに始まるそう。建永2年(1207)の四国流罪の後、建暦元年(1211)に帰洛し、大谷山上の禅房(現在の勢至堂の場所)に入られます。翌年に法然上人がこの地で入滅されると、終焉の地である大谷に門弟たちが廟堂を建立。それが知恩院の起源と伝わります。知恩院の名前は、師の命日である25日に弟子たちが「知恩講」と呼ばれる追善法会を行ったことに由来するそうです。
その後、江戸時代になって浄土宗を信仰した徳川家康が永代菩提所と定めたことから寺領が拡大され、現在の大伽藍が築かれました。


■見どころ
【御影堂】
9年に及ぶ大規模修復を終え、4月に落慶!


知恩院のなかで今、最も注目されているのが御影堂(国宝)です。寛永16年(1639)に徳川三代将軍家光により再建されたお堂で、堂内には法然上人の御影が祀られています。間口45メートル、奥行き35メートル、高さ28メートルに及ぶ大きな木造建築です。

大修理の様子
(左上:2018年7月、右上:2019年3月、左下:2019年12月<明照額>、右下:2020年2月<幢幡>)

                                          

2011年(平成23年)に、「法然上人800年大遠忌」の記念事業として始まった、御影堂の大規模修復。過去に4回行われてきたのですが、今回はなんと100年ぶり! 半解体し、屋根瓦の全面葺き替えなど、 9年に及ぶ修復期間を終え、2020年4月、ついに落慶となりました。修理前は全体的に色が落ちていた「明照」額も、鮮やかな群青色の岩絵具で塗り直され、極彩色の美しい姿に。新調された内陣を飾る幢幡(どうばん)は、これまでより大きい長さ約6.2メートル、重さ約400キロもあるそうで、世界最大級なのだとか。

★大修理の様子は、公式ホームページにてご紹介されています。
⇒御影堂大修理だより

★2020年4月13日(月)に行われた落慶法要は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、関係者のみで行われました。現在は、公式YouTubeにてご覧いただけます。
⇒国宝御影堂落慶御遷座法要


御影堂を訪れたならチェックしたい! 「知恩院の七不思議」


御影堂に訪れたらぜひチェックしていただきたいのが、正面東側の軒裏。よ~く見てみると、“骨だけとなった一本の傘”があり、これこそ知恩院の七不思議のひとつ「忘れ傘」。“御影堂の建立の際に、名工・左甚五郎が魔除けのために置いた”という説と、“御影堂の建立の際に住みかをおいやられた白狐が新しい住みかを作ってもらった御礼として、傘を置いて知恩院を守ることを約束した”という2つの説があります。今回の修復期間中は、傘の老朽化のため、移動させることなく修復作業を行っていたそうです。

★その他の「七不思議」は公式ホームページをチェック!
⇒知恩院の七不思議


【三門】
現存する木造の門としては日本最大級!


元和7年(1621)に徳川二代将軍秀忠の命により建立された三門(国宝)。知恩院のシンボルともいえる門で、1997年2001年2010年の3度に渡り、冬の「そう京」キャンペーンのポスターに登場しました。五間三戸、二階二重門。高さ24メートル、横幅50メートル、屋根瓦は約7万枚も使用されているという、日本最大級の木造の三門です! 三門の「三」は、「空・無想・無願」の3つの解脱の境地(三解脱門)を現します。楼上内は仏堂になっていて、中央に宝冠釈迦牟尼仏像(重文)、脇壇には十六羅漢像(重文)が安置されています。

「ミッドナイト念仏 in 御忌」の風景


楼上は通常非公開ですが、イベントや特別公開にて拝観できることも。毎年4月の法然上人の忌日法要「御忌大会(ぎょきだいえ)」期間に行われる「ミッドナイト念仏 in 御忌(ぎょき)」は、楼上に上がり、木魚をたたきながら「南無阿弥陀仏」とお念仏を称える行事で、近年は若い世代を中心に人気上昇中。荘厳な雰囲気のなかで夜通し行われ、入退出も自由。来年(2021年)の開催は未定ですが、気になる方は事前にご確認の上、参加してみてくださいね。


三門をくぐったら・・・ 男坂、女坂、どっちで上る?

左:急斜面の男坂、右:なだらかな斜面の女坂

        

三門をくぐると、真正面には急斜面の「男坂」、向かって右側にはなだらかな斜面の「女坂」という2つの階段があります。男坂は1段の高さ約24センチですが距離は短く、女坂は一段の高さ約8センチの長い坂となり、その差は歴然・・・ 体力に自信のある方は、男坂にぜひチャレンジを!


【大鐘楼】
「除夜の鐘」は京都の冬の風物詩


知恩院のもうひとつのシンボルともいえるのが大鐘楼(重文)。寛永13年(1636)には大鐘が鋳造され、延宝6年(1678)に鐘楼が建造されたと伝わります。大鐘は高さ約3.3メートル、口径約2.8メートル、重さは約70トン。京都市の方広寺・奈良県の東大寺と並び日本三大梵鐘のひとつに数えられます。大鐘が鳴らされるのは「法然上人の御忌大会」と「除夜の鐘」だけで、特に大晦日の除夜の鐘は、京都の冬の風物詩として有名。「えーいひとーつ」「そーれ」のかけ声でお坊様がダイナミックに鐘を打ち鳴らす光景は圧巻です。


★公式YouTubeにて除夜の鐘の様子をご覧いただけます。
⇒除夜の鐘


【阿弥陀堂】
本尊・阿弥陀如来坐像を安置。木魚念仏体験も開催中♪


阿弥陀堂は、知恩院の本堂にあたり、堂内には、高さ約2.7メートルの大きなご本尊・阿弥陀如来坐像が安置されています。元は勢至堂前に建立されていましたが、宝永7年(1710)に現在の場所に移築、明治43年(1910)に再建された、境内で唯一、明治年間に造られた建物です。

阿弥陀如来坐像


阿弥陀堂では、お坊様と一緒にお念仏を称えることができる「木魚念仏体験」を毎日開催中。お堂内に椅子と木魚がご用意され、木魚を叩きながら「南無阿弥陀仏」を繰り返し称え、お念仏のあとは、お坊様のありがたいお話も拝聴できます。申込み不要で9時30分から15時30分の間で随時開催(1回10分ほど)されているので、お参りの際はぜひご参加を。


■御朱印
通常の御朱印3種と、期間限定の特別御朱印

御朱印 各300円

        

知恩院の御朱印は阿弥陀堂横の朱印所にて授与いただけます。通常の御朱印は3種類。左は勢至堂の御朱印で、中央に「勢至菩薩」と書かれています。中央の御朱印には、「草も木も枯れたる 野辺にただひとり 松のみ残る弥陀の本願」という御詠歌が。これは徳川家康の帰依を受けた浄土宗中興の祖・観智国師源誉存応上人が詠まれた歌とのこと。右の御朱印は、中央に「法然上人」の御名が書かれています。右上に押されている印には上人が朝廷からいただいた“圓光大師”の文字。

御朱印帳 1,200円、期間限定御朱印 300円(書き置きのみ、なくなり次第終了)

           

現在、「国宝御影堂落慶法要参拝記念」の特別御朱印も授与されています。中央に「法爾大師」と書かれた今だけの御朱印なので、訪れた際は、拝観の証としていただいてみてくださいね。落ち着いた緑色の表紙に金色の三門がデザインされたシックなオリジナル御朱印帳(通年授与)もありますので、あわせてチェックしてみてください。


■紅葉ライトアップ
今年も開催! 落慶後初となる御影堂ライトアップも♪

友禅苑


これからの時季に気になるのが、夜間特別拝観やライトアップではないでしょうか。知恩院では毎年、春秋にライトアップを行われていて、2020年秋も開催されることとなりました! 「御影堂」や「三門」、宮崎友禅ゆかりの庭園「友禅苑」、そして「女坂」が暖かい光に包まれます。期間中、御影堂では、「聞いてみよう!お坊さんのはなし」として、お坊様の法話+木魚を叩きながら「南無阿弥陀仏」とお称えする“プチお寺体験”も実施。落慶を迎えたばかりの御影堂を夜間に拝観できるのはまたとない機会です。毎日開催されますので、ぜひ参加してみてくださいね。

■知恩院 秋のライトアップ2020(夜間特別拝観)
【日程】2020年11月7日(土)~29日(日)
    9:00~21:30(受付終了21:00)
【拝観料】500円
★聞いてみよう!お坊さんのはなし ※期間中、毎日開催
【時間】17:50~/18:40~/19:30~/20:20~ 計4回
(各回お話15~20分、木魚作法説明後、木魚念仏体験約5分)
※状況により時間変更の場合あり。
※堂内空間確保のため、人数制限が行われる場合があります。
 

■知恩院
【拝観時間】9:00~16:00
【拝観料】境内無料、方丈庭園400円、友禅苑300円 ※方丈庭園と友禅苑の共通券500円
【電話】075-531-2111
【アクセス】市バス「知恩院前」バス停から徒歩約5分、地下鉄東西線「東山駅」から徒歩約7分 Google map
【公式ホームページ】https://www.chion-in.or.jp/

 

Written by. オパン

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