毘沙門堂
京都には数多くの桜名所があり、なかには京都ならではの“風流な名前の桜”があるのをご存知でしょうか。素敵なエピソードや歴史のある桜に思いを馳せながら眺めると、また違ったお花見が楽しめそうです。どうぞご覧ください♪
【東寺】不二桜(ふじざくら)
(撮影日:2020年4月3日)
春の東寺で一際目を引くのが、五重塔を背にして咲く一本の大きな紅しだれ桜。「不二桜」と呼ばれる桜で、弘法大師の「不二の教え」にちなみ名付けられました。樹齢120年を超え、長い間ずっとこの場所にあるように思えますが、元々は岩手県盛岡市で育ちで、秋田県・三重県を経て、東寺へ移植されたのは平成18年(2006)のこと。今は京都の春の定番となった風景、今年も優美に咲き誇る姿が楽しみです。
■東寺[教王護国寺]
☆例年の見頃:4月上旬
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【哲学の道】関雪桜(かんせつざくら)
(撮影日:2020年4月7日)
銀閣寺から若王子橋まで疏水沿いに続く哲学の道は、数多くの桜が植わり、桜並木の総称として「関雪桜」と呼ばれています。日本画家・橋本関雪が画家として大成した際に、不遇の時代を支えてくれた京都の人々への恩返しとして、妻・よねの発案で大正10年(1921)に約300本もの桜の苗木を寄贈、翌年に植樹されたそう。銀閣寺近くには関雪の旧邸・白沙村荘 橋本関雪記念館もあるので、あわせて訪れてみて。
■哲学の道
☆例年の見頃:4月上旬
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【毘沙門堂】毘沙門しだれ・般若桜(はんにゃざくら)・一目千両(ひとめせんりょう)
(撮影日:2018年3月29日)
毘沙門堂の宸殿前に咲き誇るのは、枝張り約30メートル、幹周約2.3メートルの壮観なしだれ桜。樹齢は約150年で、現在5代目。3世紀にわたって植え継がれ、地元有志の「般若会」の方々によって手入れされていたことから「般若桜」と名付けられました。優美な姿で愛されてきたことから「毘沙門しだれ」や「一目千両」など様々な愛称で呼ばれています。今年の春も“一目千両”の眺めが待ち遠しいですね。
■毘沙門堂
☆例年の見頃 4月上旬〜中旬
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【寂光院】みぎわの桜
(撮影日:2019年4月22日)
平清盛の娘・建礼門院が余生を過ごしたと伝わる尼寺で、『平家物語』ゆかりの地としても知られる寂光院。本堂前にある桜は「みぎわの桜」。『平家物語』の最後に、後白河法皇が建礼門院のもとへ訪ねてくる場面が描かれ、法皇が青葉が混じった遅咲きの桜を目にし「池水に 汀(みぎわ)の桜散り敷きて 波の花こそ盛なりけれ」と和歌を詠んだことに由来します。「みぎわの桜」は境内の他の桜に比べて見頃が遅く、花弁が池畔に舞い散る姿は往事を偲ぶにふさわしい風景です。
■寂光院
☆例年の見頃 4月中旬
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【上賀茂神社】斎王桜(さいおうざくら)、みあれ桜
斎王桜(撮影日:2018年4月2日)
上賀茂神社の境内には幾本もの見事なしだれ桜があり、それぞれに名前が付けられています。一ノ鳥居から二ノ鳥居までの参道で一際目を引くのが「斎王桜」。斎王とは、かつて伊勢神宮や上賀茂神社に奉仕した未婚の内親王・女王のこと。その斎王が愛でたと伝わる桜で、薄紅色の花が艶やかに咲き誇ります。現在では、“斎王”に代わる“斎王代”が毎年選ばれ、葵祭などの行事に奉仕されています。
みあれ桜(撮影日:2020年4月6日)
細殿の近くに咲く紅しだれ桜は「みあれ桜」。葵祭に先立つ5月12日の夜に行われる重要な秘技「御阿礼(みあれ)神事」で、御神霊をお迎えするために神職列がこの桜の下を通ることにちなんで名付けられたそうです。他にも、「御所桜」や「風流桜」、「馬出しの桜」など、由緒ある桜が咲き継いでいきます。
■上賀茂神社
☆例年の見頃 4月上旬〜中旬
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【大原野神社】千眼桜(せんがんざくら)
(撮影日:2020年4月9日)
桜並木の参道が美しい大原野神社。鯉沢池のほとりにある一重のしだれ桜は、「千眼桜」と呼ばれています。ぼんぼりのような大きな花房が“眼”のように見えることからそう呼ばれ、見頃を迎えると3日ほどで散ってしまうため、「幻の桜」とも。例年の見頃は4月10日前後ですので、「京都 桜の名所開花情報」をチェックして訪れてみてくださいね。
■大原野神社
☆例年の見頃 4月上旬〜中旬
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