久々の京都旅で訪れたい、京都のレトロ喫茶店

  • グルメ・スイーツ

フランソア喫茶室

フランソア喫茶室

新旧様々な喫茶店がある京の町。最近では喫茶店をテーマとした「京都本」もブームとなっていて、改めてその良さが見直されているように感じます。数あるお店の中から、今回は昭和初期・1930年代にルーツをもつ老舗喫茶店4軒をピックアップ。戦中戦後の混乱期を乗り越え、タスキをつなぎながら現代にノスタルジックな空間と薫り高い珈琲を提供してくださるお店ばかりです。

久々の京都旅には、珈琲とスイーツの香り漂うレトロ喫茶店へ、ぜひ訪れてみてくださいね♪
※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、京都旅行の際は、政府およびお住まいの都道府県と京都府の要請をご確認ください。京都にお越しの際は、マスクの着用・手指のアルコール消毒など、感染拡大防止の徹底にご協力をお願いいたします。日々、状況は変化しておりますので、事前に最新情報をご確認ください。

【フランソア喫茶室】
“前衛都市・京都”の息吹を伝える、クラシカルな喫茶店

京の繁華街、四条木屋町。四条小橋の西詰を高瀬川沿いに南へ少し下がったところにあるのが、「フランソア喫茶室」です。昭和9年(1934)に開業すると、昭和16年(1941)には、当初の店舗北側にもお店を拡大。江戸時代築の木造2階建て町家を、尖塔アーチ窓が彩るモダンな外観と、豪華客船のメインホールをイメージしたイタリアンバロック調の内装に改装。当時まだまだ気軽に聴くことのできなかったクラシック音楽を流すお店として、芸術・音楽好きの文化人や学生が集う店となりました。
  • 重厚な雰囲気の店内。3年前のリニューアル時に、壁の漆喰も美しく塗りなおされました。

    重厚な雰囲気の店内。3年前のリニューアル時に、壁の漆喰も美しく塗りなおされました。

  • 設計デザインは、昭和16年当時京都大学に留学していたイタリア人アレッサンドロ・ベンチベニと画家・高木四郎など。今も設計当時のままに継承されています。

    設計デザインは、昭和16年当時京都大学に留学していたイタリア人アレッサンドロ・ベンチベニと画家・高木四郎など。今も設計当時のままに継承されています。

  • 創業の地である南側店舗は、戦後の数年間「ミレー書房」として使用されたそう。

    創業の地である南側店舗は、戦後の数年間「ミレー書房」として使用されたそう。

  • たくさんの名画が飾られています。

    たくさんの名画が飾られています。

創業者の立野正一さんは美術学校で学ぶ画学生だったそうで、店名はフランスのバルビゾン派の画家・フランソア・ミレーから。店内には今もたくさんの名画の複製が飾られています。
  • 浅野竹二の挿画によるメニュー表。9月25日に、右の旧メニューから、左の新しい印刷のメニュー表に変更となりました。色の重なり具合など、より詳細に版画のタッチを再現されています。

    浅野竹二の挿画によるメニュー表。9月25日に、右の旧メニューから、左の新しい印刷のメニュー表に変更となりました。色の重なり具合など、より詳細に版画のタッチを再現されています。

  • 9月25日からは、特製プリン(750円)も復活。1日限定20食なので、お早めにどうぞ。

    9月25日からは、特製プリン(750円)も復活。1日限定20食なので、お早めにどうぞ。

平成15年(2003)には、店舗北側部分が喫茶店として初めて国の登録有形文化財に指定。平成31年(2019)3月に、外観内装ともに往時の雰囲気を残しながら、美しくリニューアル。メニュー表の挿画も開店当時のものから京都の版画家・浅野竹二の絵に変更になるなど、少しずつ変化も取り入れながら、創業からの自由な精神を受け継がれています。
  • ケーキセット(珈琲or紅茶) 1,250円

    ケーキセット(珈琲or紅茶) 1,250円

  • ワインゼリー 1,100円。復活当初から改良を加え、アルコール風味は少しまろやかに(でもお酒感はしっかりと感じられます)。上に載るフルーツは季節によって変わります。

    ワインゼリー 1,100円。復活当初から改良を加え、アルコール風味は少しまろやかに(でもお酒感はしっかりと感じられます)。上に載るフルーツは季節によって変わります。

人気メニューは、ケーキと珈琲or紅茶の「ケーキセット」。なかでも、レアチーズケーキとのセットが一番人気なのだとか。せっかくならば珈琲は、フレッシュクリーム入りをチョイスして。「セミウインナー」タイプと呼ばれる、この店オリジナルの味わいです。

トーストやサンドイッチなどの軽食メニューも充実。アルコール香るワインゼリーは2019年の復活以来、隠れた人気メニューとなっています。

■フランソア喫茶室
【営業時間】10:00~22:00(ラストオーダー フード21:00、ドリンク&ケーキ21:30)
※9/30までは10:00~20:00
【定休日】12月31日、1月1日・2日
【電話】075-351-4042
【アクセス】阪急京都線「京都河原町駅」から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】https://www.francois1934.com/

【スマート珈琲店】
近すぎず、遠すぎない。何気ない日々に寄り添ってくれる喫茶店

昭和7年(1932)、前身となる洋食店「スマートランチ」が寺町通に開店し、来年(2022年)創業90年を迎える「スマート珈琲店」。戦後に珈琲店となり、その頃より自店で焙煎した珈琲を提供する、京都でも最古参の自家焙煎店です。今も店先にはドイツ製焙煎機が据えられ、毎朝豆を煎るよい香りが漂っています。
朝に豆を煎り、夕方に豆をブレンドされています。こちらは、ブレンドの作業中。
  • 1階の喫茶スペース

    1階の喫茶スペース

  • 2階への階段

    2階への階段

店内は、1階が喫茶スペース、2階は洋食店の名残を伝えるランチスペースとなっていて、スマートランチ(1,200円)は“憧れの洋食”を詰め合わせた人気メニュー。 喫茶では、5種の豆を配合した看板メニューのオリジナルブレンドと、ホットケーキや自家製プリン、フレンチトーストのセットが人気。
  • オリジナルブレンド 550円

    オリジナルブレンド 550円

  • 自家製プリン 600円(セットは1,100円)

    自家製プリン 600円(セットは1,100円)

  • ホットケーキ 700円(セットは1,200円)

    ホットケーキ 700円(セットは1,200円)

自家製プリンは、近頃再注目されている“昔ながらのちょっと固め”のハード系。卵の味がしっかり感じられて、珈琲との相性も◎。ホットケーキも終戦直後、レシピが生まれた当時のままに変わらぬ味わいを提供。子供のころに憧れた2段重ね、バター載せのホットケーキは、シロップたっぷりでいただきたい♪

おみやげにはぜひ、臙脂(えんじ)色の缶が目印のオリジナル珈琲を。オンラインショップからも購入できます。
  • コースターもかわいい♪

    コースターもかわいい♪

  • オリジナル缶入珈琲200g (1,900円)はおみやげにぴったり。

    オリジナル缶入珈琲200g (1,900円)はおみやげにぴったり。

■スマート珈琲店
【営業時間】8:00~19:00、2階ランチタイム11:00~14:30(ラストオーダー)
【定休日】喫茶 無休、ランチ 火曜日
【電話】075-231-6547
【アクセス】地下鉄東西線「京都市役所前駅」から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】https://www.smartcoffee.jp/

【京大北門前カフェ進々堂】
京都で現役最古。パリの風を伝える、アカデミックな喫茶店

  • 不思議な怪獣風のモチーフ。異国情緒が漂います。

    不思議な怪獣風のモチーフ。異国情緒が漂います。

  • 「pain quotidien(パン コティディアン)」は「毎日のパン」という意味。聖書の一節から取られています。

    「pain quotidien(パン コティディアン)」は「毎日のパン」という意味。聖書の一節から取られています。

大正2年(1913)にパン屋を開業、その後パリに留学し、京都にフランスパンを広めたのが、進々堂創業者の続木斉(ひとし)。パリで目にした“教授と学生がパンを食べながら語らう喫茶店”を再現したいと京都帝国大学北門前に開いたのが、フランス風カフェ・パン食堂「ノートル・パン・コティディアン」。現在の「京大北門前カフェ進々堂」です。

昭和5年(1930)3月にパン部が完成。翌年、東側に喫茶部としてこのカフェが完成すると、フランス風のハイカラな店舗の出現に当時の京都の方は大変驚かれたのだとか。
1階部分はタイル張り、2階はモルタル造りの瀟洒な店舗は、創業者である続木自身が設計。南面して建つロマネスク風の外観に、半円形のアーチ窓。店内には、京都生まれの漆芸家・木工家の黒田辰秋が手掛けた長テーブルと椅子が並び、山間の古民家を訪れたような、懐かしい落ち着いた雰囲気が漂っています。
  • パンケーキセット 650円

    パンケーキセット 650円

  • パンケーキはサクサク軽い食感が楽しい。

    パンケーキはサクサク軽い食感が楽しい。

  • ラ・メール 450円(単品)。「海」という意味で、フランスパンにツナをサンドした2代目考案の味。

    ラ・メール 450円(単品)。「海」という意味で、フランスパンにツナをサンドした2代目考案の味。

  • モーニングセット(サラダ) 850円。たっぷりサラダが嬉しい♪

    モーニングセット(サラダ) 850円。たっぷりサラダが嬉しい♪

パン店だけに、シンプルなパンと珈琲の組み合わせが定番。薄く焼き上げたパンケーキは、シンプルな甘さで珈琲とベストマッチ。学生さんが多いということもありカレーパンセット(850円)や学生さん限定のカレーライスも人気です。

■京大北門前カフェ進々堂
【営業時間】10:00~18:00(ラストオーダー17:45)
【定休日】火曜日
【電話】075-701-4121
【アクセス】市バス「百万遍」バス停から徒歩約3分、京阪鴨東線「出町柳駅」から徒歩約10分 Google map

【珈琲の店 雲仙】
初代の想いと珈琲の技を受け継ぐ、週末のみの喫茶店

  • 営業日には「本日あります」のプレートが店先にかかります。

    営業日には「本日あります」のプレートが店先にかかります。

  • 店内に置かれた、年代物の雲仙ガイドブック。

    店内に置かれた、年代物の雲仙ガイドブック。

昭和10年(1935)、佐賀県出身の初代が始めた、自家焙煎珈琲の店「雲仙」。「京都で雲仙?」と不思議に思うお店の名前は、開店前年、九州の雲仙が日本で最初の国立公園に指定されたことから。元は人力車屋だったという建物を自宅兼お店に改装し、当時まだ珍しかった小さなガス式焙煎機、「THANK YOU FOR YOUR KINDNESS」と書かれたレジスターともにお店の歴史が始まりました。

ガス式焙煎機とレジスターは、約90年経った今も現役。初代の培った自家焙煎の技術は、2代目の娘さんへ。そして、その息子さんである3代目の高木利典さんへと受け継がれ、平日は会社員をされながら、土・日曜日と祝日にお店の歴史を紡がれています(臨時休業あり)。
  • どっしりとしたソファーは革を張り替え、リペアしながら使われています。

    どっしりとしたソファーは革を張り替え、リペアしながら使われています。

  • 奥の部屋は戦時中には床を掘って防空壕として利用されたとか。今は天窓からの明かりが降り注ぎます。

    奥の部屋は戦時中には床を掘って防空壕として利用されたとか。今は天窓からの明かりが降り注ぎます。

  • 映画「南極物語」のロケが行われ、壁には当時の写真が飾られています。

    映画「南極物語」のロケが行われ、壁には当時の写真が飾られています。

店構えから「こぢんまりとしたお店かな?」と思いますが、中に入ると奥行きが広く、ゆったりとした印象。内装は、ほぼ創業当時のまま。アンティーク好きという3代目マスターが「なるべく変えないように」と維持され、お店の大きさに合わせて作られた椅子やテーブル、ライトや造り棚など、修理しながら大切に使い続けられています。
  • コーヒ 400円

    コーヒ 400円

  • ホットケーキ 600円。注文後に混ぜ合わせ、銅板の上でセルクルに流しいれ、じっくり丁寧に焼き上げられています。

    ホットケーキ 600円。注文後に混ぜ合わせ、銅板の上でセルクルに流しいれ、じっくり丁寧に焼き上げられています。

  • クリームソーダ 600円。春・夏には季節限定のクリームソーダも登場。

    クリームソーダ 600円。春・夏には季節限定のクリームソーダも登場。

  • 「この容器を使いたくて作ったメニュー」という、エッグベーカーセット 700円。今年できたばかりのメニューだそう。

    「この容器を使いたくて作ったメニュー」という、エッグベーカーセット 700円。今年できたばかりのメニューだそう。

自家焙煎の珈琲は、しっかりと苦みとコクがありながら、さっぱりとした飲み心地。2019年に登場した看板メニューのホットケーキは、北海道産の小麦粉と国内産の原料のみを使用。レジスターに書かれた「THANK YOU FOR YOUR KINDNESS」の焼き印がポイントです♪ クリームソーダなど喫茶店好きにはたまらないメニューや、軽食も用意されています。
マスターの趣味というジャパニーズ・ポップスのレコードやCDがずらり。ゆるやかな音楽が気持ちを和ませてくれます。

テイクアウト用の「丁稚珈琲」(1個600円)。ラベルには、奥の部屋の床を彩るモザイクタイルがデザインされています。

テイクアウト用の「丁稚珈琲」(1個600円)。ラベルには、奥の部屋の床を彩るモザイクタイルがデザインされています。

■珈琲の店 雲仙
【営業時間】7:00~15:00(ラストオーダー14:45)
【定休日】月曜日~金曜日
※土曜日・日曜日、祝日のみ営業。土曜日は臨時休業の場合あり。公式Facebook・Twitterをご確認ください。
【電話】075-351-5479
【アクセス】地下鉄烏丸線「四条駅」から徒歩約7分、市バス「四条西洞院」バス停から徒歩約3分 Google map
【公式Facebook】https://www.facebook.com/unzenkyoto/
【公式Twitter】https://twitter.com/6XsPu5Ja7WMokOg
※掲載内容は2021年9月27日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。

Written by. みさご

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