京都最古の禅寺・建仁寺には、半夏生が咲く両足院や甘茶で知られる霊源院など、たくさんの塔頭寺院があります。北門を入ってすぐの場所にある西来院(せいらいいん)もそのひとつ。長らく非公開でしたが、2024年3月23日(土)より特別拝観を開始しました。見どころをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください♪
高僧にちなんだ蘭のお寺
お寺の基礎を築いたのは、鎌倉時代の禅僧・蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)。現在の中国四川省にあたる地域で生まれ、日本に禅を広めるという志を抱いて33歳で海を渡りました。鎌倉や京都で名声を高め、建仁寺では第十一世住持を務めています。
2028年に蘭渓道隆750年遠忌を迎えるにあたって境内の整備が進められ、名前にちなんで「蘭の寺」として公開されるにことになりました。
あのブルーボトルコーヒーが境内に!
お寺をご紹介するうえで一番の注目ポイントは、京都でも人気の「ブルーボトルコーヒー」の出店。なんと、山門を入って右手に移動式のブルーボトル コーヒートラックが停まっています。
建仁寺を開いた栄西禅師は日本にお茶の喫茶文化を広めた功績があり、ご住職の発案によって、現代人の喫茶文化の一役を担うコーヒーを採り入れる運びになったそうです。
お茶の寺ならではのメニューもあります。宇治茶専門店「祇園辻利」の銘柄「十徳(じゅっとく)」を使った抹茶ラテは、ここだけの味わい。
テイクアウトしたドリンクは、蓮の花に見立てた石組が特徴の「九華青蓮」というお庭を眺めながら堂内でいただけます。おやつには、京都のあんこ屋さん「都松庵」とコラボレーションした、ブルーボトルコーヒー限定の羊羹をどうぞ。
お寺で本格的なコーヒーをいただけるなんて嬉しい限り。今後、話題を呼ぶのは間違いなさそうです。
※ブルーボトルコーヒートラックの出店は2024年7月31日(水)まで。夏季休業を経て、9月頃に再び登場予定です。
至極のアート空間
真新しいのはコーヒーだけではありません。今回の整備により、現代アーティストによる作品が多数奉納されました。本堂で一番に目を引くのが天井に描かれた2匹の龍です。
中国人アーティストの陳漫(チェンマン)氏が描いた「白龍図」という作品で、ヨコ約13メートル、タテ約6メートルというビックスケールです。堂内には陳漫氏による「唐獅子図屏風」も展示され、龍と獅子の迫力ある空間をご覧いただけます。
天井以外にも龍がいます。キーヤンの愛称で知られるアーティスト、木村英輝氏が奉納した金屏風「登竜門」には、鯉が滝を登って龍になったという故事が描かれています。華やかな阿吽の龍を、ぜひご覧ください。
3つのお庭が誕生!
お庭も新しく作り替えられました。先にご紹介した前庭「九華青蓮」以外に本堂前庭園と中庭があり、すべて、昭和の小堀遠州と称された中根金作さんの流れを汲む中根庭園研究所による作庭です。
担当した中根行宏さんは構想を練るにあたり、ご住職と一緒に蘭渓道隆が生まれた中国四川省へ取材に赴いたそう。四川省には世界遺産の「峨眉山(がびさん)」があり、本堂前庭園では、蘭渓道隆も見たであろう深山幽谷の景色を枯山水で表現しているといいます。「峨眉乗雲」と名付けられたお庭は「峨眉山」を模すだけで終わりません。なんと中国仏教協会の奉納により「峨眉山」から運んだ巨石3つを据えているというから驚きです。
縁側には坐禅用の座布団が並べられていますので、心を落ち着けてお庭と向き合うのもおすすめ。
中庭は竹の風情が素敵です。彫刻家の樂雅臣氏が奉納された石器「円宗」には、蘭の花が浮かべられていました。じつは、3ヵ所のお庭には「蘭の寺」の名前にふさわしく、計1,200株ほどの蘭が植えられています。植栽にはプラントハンターとして活躍する西畠清順さんが携わり、順調にいけば4月下旬頃から開花を迎えるそうです。
また、境内にはモミジもたくさん植えられているため、蘭と新緑がどのような景色を織りなすか、今後の楽しみも尽きません。
■西来院
【拝観期間】2024年3月23日(土)~12月31日(火)
【拝観時間】10:00〜17:00(法務により変更の可能性があります。事前にお寺のSNSをご確認ください)
【拝観時間】10:00〜17:00(法務により変更の可能性があります。事前にお寺のSNSをご確認ください)
【拝観料】500円
【アクセス】市バス「東山安井」バス停から徒歩5分 Google map
【公式ホームページ】https://seiraiin.com/
【公式Instagram】https://www.instagram.com/seiraiin/
※掲載内容は2024年4月10日時点の情報です。最新情報は掲載先へご確認ください。