初秋を彩る 菊の和菓子

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亀屋則克 花野道

亀屋則克 花野道

五節句のうち、9月9日は「重陽の節句」にあたります。別名「菊の節句」ともいわれ、その頃から和菓子屋さんでは菊をモチーフにした商品が並び始めます。菊といっても表現方法はさまざま。4軒の和菓子屋さんから、期間限定販売の“菊の和菓子”をご紹介します♪

かぎ甚「着せ綿」

「重陽の節句」の定番和菓子といえば、「着せ綿」です。菊の花に綿をかぶせ、翌朝に夜露を含んだ綿で体を清めると若返るといわれ、平安時代より節句の風習として親しまれてきました。かの紫式部も、藤原道長の正妻から着せ綿を贈られたというエピソードを『紫式部日記』に記しています。

着せ綿 380円

着せ綿 380円

建仁寺の西門近くに店を構えるかぎ甚「着せ綿」は毎年の定番で、今年(2024)は9月1日(日)より販売をスタート。こし餡をこなし生地で包んで菊の花を象り、綿はきんとんで表現しています。
 
栗が入荷する時季になると、こし餡に栗餡がプラスされ、二重のハーモニーに。もともとは、こし餡だけで作っていたものを、ご当代のお父様が三代目として活躍されていた折に、お客様からのリクエストに応える形で栗餡を入れるようになったそうです。

栗は愛媛県伊予市の名産「中山栗」を指定の農家さんから直接仕入れていらっしゃいます。収穫時期が早いものは水分量が少ないため、「着せ綿」に入れる栗餡は生栗を粗めに漉して、食感の楽しみをプラス。水分を多く含む栗が出回るようになると、栗と砂糖だけで作る「栗のこ」を作るのだと教えていただきました。その時季の美味しさを巧みに採り入れた和菓子に心が惹かれます。
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    外観

栗の入荷のタイミングは、お店の公式Instagramでチェックを。「着せ綿」は例年9月20日頃には終了するそうですので、電話での事前予約がおすすめです。
 
■かぎ甚
【営業時間】9:00〜17:00(火曜日は9:00〜16:00)
【定休日】水曜日、その他臨時休業あり
【電話】075-561-4180
【アクセス】京阪本線「祇園四条駅」から徒歩約5分 Google map
【公式ホームページ】https://kagijin.jp/

塩芳軒「菊日和」

菊日和 486円

菊日和 486円

ぽってりと丸いフォルムがかわいい「菊日和」は、西陣にある塩芳軒の上生菓子。菊らしくないと思われるかもしれませんが、江戸時代の絵師 尾形光琳が〇に点のみで菊を描いた、いわゆる「光琳菊」に由来します。「光琳菊」は洗練されたデザインとして、絵画の枠を超えて工芸や和菓子にも採り入れられてきました。
 
羽二重餅で白餡を包んであるのですが、驚くのはその柔らかさ。ふわっふわの食感に感動してしまいます。今年の販売は9月9日(月)から11月下旬頃までの予定です。
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塩芳軒は普段は販売のみですが、定期的に和菓子で暦を楽しめる喫茶を催されています。店内奥の坪庭を望む座敷で、作り立ての生菓子を味わえる贅沢なひととき。9月は7日(土)と21日(土)の予定です。詳しくはお店の公式ホームページやSNSで告知されますので、和菓子好きの方はチェックしてくださいね♪
 
■塩芳軒
【営業時間】9:00~17:30
【定休日】日曜日・祝日、月1回水曜日(不定休)
【電話】075-441-0803
【アクセス】市バス「堀川中立売」バス停から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】https://www.kyogashi.com/

亀屋則克「花野道」

  • 花野道 1,200円

    花野道 1,200円

  • 昔ながらの「座売り」

    昔ながらの「座売り」

銘菓「浜土産(はまづと)」で知られる亀屋則克。暖簾をくぐると目の前に座敷があり、お客様が腰かけて和菓子を注文する「座売り」という昔ながらのスタイルを守られています。初めてだと少し緊張してしまうかもしれませんが、それを乗り越えて、ぜひお買い求めいただきたいと思うほど、カワイイ和菓子があります。
 
「花野道」は色とりどりの小菊を表現した琥珀菓子の詰め合わせ。菊の葉は生砂糖(きざと)でできています。もともと、干菓子の詰め合わせはあったのですが、干菓子だけでなく、琥珀菓子や落雁、有平糖など、色とりどりの和菓子を小箱に詰め込んでみたらどうかというご当代の奥様のアイデアから、「いろどり」という商品が生まれました。人気が出るにつれ、琥珀菓子だけを味わいたいという要望も増えたため、今では季節ごとに琥珀菓子の詰め合わせも販売されています。
 
今年は8月下旬より「花野道」の販売が始まり、10月になると「紅葉」に切り替わる予定です。

写真は8月29日(木)のラインアップ。上段右が「菊花」、下段左が「小菊」です

写真は8月29日(木)のラインアップ。上段右が「菊花」、下段左が「小菊」です

お店へ行った際は、生菓子もぜひご覧ください。漆塗りの箱を開けると、その日の生菓子が並び、うっとりしてしまいます。時間によっては売り切れてしまうこともありますが、今の季節はこなし製の「菊花」や、きんとん製の「小菊」がおすすめです。

外観

外観

季節の和菓子の情報はお店のオンラインショップでも確認できます。その時季に京都へ行けないという方は、オンラインショップのご利用を。
 
お店の「座売り」も一度体験すれば、いろいろと和菓子のお話に花が咲いて、楽しいひとときになりますよ。
 
■亀屋則克
【営業時間】9:00~17:00
【定休日】日曜日・祝日、第3水曜日
【電話】075-221-3969
【アクセス】地下鉄烏丸線「烏丸御池駅」から徒歩約7分 Google map
【公式ホームページ】https://www.kameyanorikatsu.com/

鍵善良房「菊寿糖 彩り」

菊の和菓子といえば、鍵善良房「菊寿糖」ははずせません。お店に元治元年(1864)の銘が入った菓子型が伝わるほど、古くから鍵善良房を代表する銘菓です。幾重にも重なる花びらの表現が美しく、阿波(徳島)産の和三盆だけで作られる、ほどけるような優しい口当たりは絶品。
  • 菊寿糖 彩り(20個入り、紙箱)1,600円

    菊寿糖 彩り(20個入り、紙箱)1,600円

  • 28個入った木箱入り(2,900円)もあります

    28個入った木箱入り(2,900円)もあります

  • 菊寿糖(20個入り、紙箱)1,500円

    菊寿糖(20個入り、紙箱)1,500円

「菊寿糖」は通年商品ですが、秋の足音が聞こえ始めると生成り色の菊が色とりどりに染まります。「菊寿糖 彩り」は、今年は9月6日(金)から販売され、例年なら11月中旬頃(限定販売につき、売り切れ次第終了)まで店頭に並ぶとのこと。
 
紅白に、黄色、紫と、見ているだけで気持ちが華やぎませんか。菓銘は、菊の葉に溜まった露を飲んだ少年が姿そのままに800年も長生きしたという中国の故事「菊慈童」に由来しています。美味しいものを食べると幸せな気分になりますから、まさに寿命が延びる“口福”の和菓子です。

四条本店 外観

四条本店 外観

■鍵善良房 四条本店
【営業時間】9:30~18:00、喫茶10:00~18:00(ラストオーダー17:30 ※混み具合によって早まる場合あり)
【定休日】月曜日(祝祭日の場合は翌日)
【電話】075-561-1818
【アクセス】市バス「祇園」バス停から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】https://www.kagizen.co.jp/
※掲載内容は2024年9月6日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。

Written by. 「そう京」編集部

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