京都を代表する喫茶店の一つ、イノダコーヒ。建物の老朽化により2年半休業していたイノダコーヒ三条店が今秋リニューアルオープンしました。旧店舗の“古き良きもの”はそのままに、新しく生まれ変わった三条店をご紹介します。

昭和15年（1940）、創業者の猪田七郎氏によってコーヒーの卸売から始まったイノダコーヒ。7年後に喫茶を始めると、戦後の物資難であっても本物のコーヒーが飲めると、京都の旦那衆から口コミが広がり人気店に。現在は京都市内を中心に9店舗を展開し、「京都の朝はイノダコーヒの香りから」と称されるまでになりました。

本店からほど近い場所にある三条店は、昭和45年（1970）、6番目にできた支店。当初は創業者みずから店内の焙煎室で毎日焙煎し、挽きたてのコーヒーを提供することに特化したカウンターだけのお店でした。丁寧に淹れるコーヒーが評判を呼び、今も多くのコーヒー好きが三条店に集います。

2022年3月、建物の老朽化に伴う改装工事のため休業に入り、2024年10月29日にリニューアルオープンしました。

店の奥には、三条店のシンボルである楕円形の“オーバルカウンター”が健在。新しくできた厨房からの動線を設けるため、以前のカウンターは少し伸長されましたが、風格はそのまま。イスも創業当時から使用していたものです。

カウンター席に座ると、コーヒーを淹れる様子を目の前で見られるのも以前と同じ。創業当時から変わらず、熟練の職人がネルドリップで淹れています。

おすすめは、三条店限定の特別ブレンド「三条ブレンド 時～とき～」。インドネシアの上質なマンデリンをベースに、グアテマラとブラジル豆をブレンドした深煎りで、コク深い味わいです。

リニューアルに伴い、2階にテーブル席が新設されました。1階とは雰囲気が異なり、半円のアーチ窓が素敵な洋館のような佇まい。優雅な喫茶時間が過ごせそうです。
階段を上がった壁面には、創業者が収集していたオブジェや、以前販売していたオリジナル商品を展示する飾り棚があります。大きく目立つ「INODA COFFEE」の真鍮プレートは、旧店舗のエントランスの床にあったもの。場所を変えて大切に受け継がれています。

三条店限定の新しいメニューも登場しました。
まずは、朝限定の「三条モーニングセット」。北海道産のスタッフドベーコン、ふわふわのスクランブルエッグ、濃厚チーズ、サラダ、ミニトースト2枚が付く贅沢な一皿です。

ドリンクは選べますので、せっかくならイノダコーヒの定番「アラビアの真珠」はいかがでしょう。バランスのいいヨーロピアンタイプの深煎りブレンドで、創業時より砂糖とミルクを入れてサーブされるのがイノダ流です。

他に、北海道産ハーブ豚を使ったジューシーなロングソーセージにチーズをのせた「三条ホットドッグ」や、濃厚なバターとあんこをサンドした「あんバタートースト」などの食事メニューが揃います。

限定のデザートやケーキも充実。生地にコーヒーの粉末と「アラビアの真珠」のシロップをたっぷり練り込んだ「コーヒーショート」は、ほろ苦さと甘みのバランスが絶妙で、コーヒーとの相性も抜群です。

おみやげにぴったりなグッズやコーヒー豆も豊富に揃います。イノダコーヒオリジナルのポット柄をあしらったカップやグラスなどのグッズは可愛くて大人気。また、店内で味わいきれなかったコーヒー豆やドリップコーヒーを購入する人も多く、イノダの味をご自宅で気軽に楽しむことができます。

新しいメニューや空間を満喫したり、オーバルカウンターに腰かけて定番のコーヒーを堪能したり、さまざまな楽しみ方ができる三条店。幅広い世代にますます愛されるお店になりそうです。

■イノダコーヒ三条店
【営業時間】10：00～19：00（ラストオーダー18：30）
【定休日】無休
【電話】075-223-0171
【アクセス】地下鉄烏丸線・東西線「烏丸御池駅」から徒歩約5分　Google map
【公式ホームページ】https://www.inoda-coffee.co.jp/shop/sanjo/
【公式Instagram】https://www.instagram.com/inodacoffee_kyoto_official/