
獅子吼の庭
天龍寺の塔頭、宝厳院は美しいもみじと苔に出会える名所です。毎年、春と秋に特別拝観が行われ、今の時季は瑞々しい緑が一面に広がります。特別拝観の見どころとともに、初開催となる初夏のライトアップ情報をお届けしますので、ぜひご覧ください♪
※多くの写真は2026年5月14日に撮影したため、ライトアップ機材が映りこんでいます。あらかじめご了承ください
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宝厳院は室町時代に創建され、当初は西陣のあたりに伽藍を有していました。その後、幾度かの移転を経て、現在は嵐山 渡月橋のほど近くに再興されています。
拝観の際は、かやぶき屋根が印象的な山門を目指しましょう。山門に向かって伸びるもみじのトンネルは宝厳院を象徴する景色のひとつです。
江戸時代から知られた名庭
山門の先には“仏さまが説法する”という意味を持つ「獅子吼(ししく)の庭」が広がります。かつて同地にあった妙智院の住職 策彦周良(さくげんしゅうりょう)禅師が室町時代に作庭したと伝わり、江戸時代のガイドブック『都林泉名勝図会』にも名庭として採り上げられました。
もとは全体的に枯山水だったようですが、後世の所有者が水を引き入れて回遊式に改めたことに加え、嵐山や桂川がもらたす水の恩恵を受けて苔が約80種類も自生するように。苔の保水力は木々に潤いを与え、生い茂る葉は直射日光から苔を守ります。好循環が生まれた結果、宝厳院は緑の園へと変化していったそうです。
もみじや苔の美しさだけではなく、垣根や石も注目ポイントです。まずは特徴的な垣根のご紹介を。
入口付近にある垣根は雨具の蓑に似た形状から「蓑垣(みのがき)」と呼ばれています。お庭の中央にある「豊丸垣(ほうがんがき)」は宝厳院のオリジナル。風情ある佇まいは写真撮影にもぴったり。
入口近くにある枯山水は石の宝庫です。敷き詰められた丸石は人生を思わせる「苦海」を表現し、手前には分かりやすい形をした舟石が据えられています。さらに、奥まで目を凝らすと、仏様に見立てた「三尊石」や、鯉が滝をのぼって龍になる様子を留めた「龍門瀑(りゅうもんばく)」もあり、細部までじっくりと眺めるのがおすすめです。

巨石のひとつ、碧岩
庭園にはどうやって運んだのだろうと疑問に感じるほどの巨石もあります。
お寺の方によると、岩の周辺から多くの川石が出土したため、このあたりはかつて河原で、流れ着いた巨石をそのまま庭づくりに利用したのではないかと推測されているそうです。
もうひとつ、忘れてはならない巨石が『都林泉名勝図会』にも描かれた「獅子岩」です。順路を進み、橋を渡ってから振り返ると、右を向いた獅子のように見えてきます。今は苔むしていますが、『都林泉名勝図会』でははっきりと目にあたる部分が描かれているのも面白いですね。
本堂で観音様とご縁を結ぶ

本尊と脇仏
特別拝観期間中は本堂も拝観できます(要別途拝観料)。錫杖を手にした珍しいスタイルの十一面観世音菩薩立像をご本尊に祀り、脇には三十三体の観音様がずらり。江戸時代に造られた三十三体の観音様は西国三十三所それぞれの仏様の姿を写していると考えられ、ひとたびお参りすれば西国三十三所巡りに等しい功徳が得られると伝わります。仏師の方が江戸時代に一ヶ寺ずつお参りして制作したとすれば、途方もない時間と労力がかかったはず。ご縁をいただけることに感謝せずにはいられません。
※本堂内は撮影禁止です。特別な許可を得て撮影しています

田村能里子筆『風河燦燦 三三自在』
本堂は襖絵も印象的です。平成20年(2008)の本堂再建にあわせて洋画家の田村能里子さんが奉納した作品『風河燦燦 三三自在』が3つの部屋を飾ります。
シルクロードを通じて日本に伝来した仏教や連綿と続く人々の生活をイメージして描かれているといい、脇仏の三十三観音にあわせて33人の老若男女が登場します。
作品の雰囲気を損なわないように、引き手も田村さんみずからがデザイン。全部で5種類あるのですが、表に見えているのは、シルクロードや仏教にちなんだラクダ、馬、象、牛の4種類のみ。じつは襖の裏側には美しい唐草紋様が描かれ、草花の上で羽を休めるように留まる鳥が引き手にあしらわれています。
襖の裏側や鳥の引き手は拝観できませんが、授与品の絵はがきに採用されています。じっくりご覧になりたい方はぜひお求めくださいね。
緑に囲まれたお茶席

お茶席「無畏庵」
ひと休みするなら、本堂手前にあるお茶席「無畏庵(むいあん)」へ。建具がはずされ、緑をそばに感じられるのも嬉しい配慮です。

抹茶と落雁 1,000円
お茶席では抹茶と落雁のセットをいただけます。もみじがあしらわれた落雁は京都の和菓子店「鼓月」謹製で、宝厳院だけのオリジナル。
葉擦れの音や鳥のさえずりに耳を澄ませていると、時間がゆるやかに過ぎていくようで癒されますよ。
初開催! 初夏のライトアップ
毎年秋は日中の特別拝観とともにライトアップを行うのが恒例ですが、今年(2026)はEXサービス会員向けに初夏の時季としては初となる青もみじライトアップが10日間限定で開催されます!
光を受けて輝くお庭はどこか神秘的で、昼間とはまた違う良さが感じられます。

書院からの眺め
お庭や本堂は自由に拝観できます。そして何よりおすすめしたいのが通常非公開の書院からの眺めです。額縁の青もみじとともに、リフレクションを楽しめる仕掛けがあり、幻想的な風景を写真に収められます。
賓客を迎えることを目的に大正8年(1919)に建てられた書院は、高級材の桐を使用するなど、各所に贅が尽くされています。
景色を一望できる設計もまさに賓客のため。書院は滅多に拝観できませんので、ぜひこの機会に至極の空間を堪能してくださいね。
【日程】2026年3月14日(土)~6月30日(火)
9:00〜17:00(受付終了16:45 ※本堂は16:30受付終了)
【拝観料】庭園700円、本堂500円
【場所】宝厳院 詳細情報はこちら
【公式ホームページ】https://www.hogonin.jp/
【公式Instagram】https://www.instagram.com/arashiyama_hogonin/
■宝厳院 夜間貸切特別拝観~青もみじのリフレクションを楽しむ~【事前予約制】
【設定日】2026年5月23日(土)~6月21日(日)の土日、計10日間
18:30~20:30(受付終了20:00)
【旅行代金】2,200円
※掲載内容は2026年5月25日時点の情報です。最新情報は掲載先へご確認ください。
