
昭和23年(1948)4月11日に創業し、独特な青い照明が魅力の喫茶ソワレ(以下、ソワレ)が2026年に国の登録有形文化財に登録されることになりました! 京都市内の喫茶店建築として2例目の快挙になり、ますます人気に拍車がかかりそうです。登録を記念し、あらためて魅力をたっぷりとご紹介しましょう。
名物はゼリーポンチ

ゼリーポンチ 850円
いまやソワレを利用するほとんどの人が注文するといっても過言ではないのが、名物の「ゼリーポンチ」です。2代目店主の妻・元木成子さんが考案したメニューで、昨年(2025)に誕生から50年を迎えました。
口当たりのやわらかい神戸の地サイダーに、赤、青、黄、緑、紫の5色のゼリーがキラキラと浮かぶ様子は、いただく前から気分を高揚させます。

ゼリーミルク 800円
じつは「ゼリーポンチ」が生まれるきっかけになったメニューがあると、3代目の下山純子さんに教えていただきました。下山さんは幼い頃、給食に出てくる牛乳が苦手だったといいます。心配した母親の成子さんは牛乳にミントを入れ、子供が喜びそうなカラフルなゼリーを浮かべた、現在の「ゼリーミルク」にあたるドリンクを作ったそうです。その後、牛乳を炭酸に替えて考案されたのが「ゼリーポンチ」でした。母と娘の微笑ましいエピソードを聞くと、いっそう味わい深く感じられます。

期間限定メニュー「夜会のゼリーポンチ」
「ゼリーポンチ」の人気を受けて、4月11日の創業記念日や4月13日の「喫茶店の日」には、限定メニューが登場することも。次にいつ登場するか気になる方は公式Instagramで情報をチェックしてくださいね。
登録有形文化財の建物をチェック!

絵皿は階段にあるショーケースに展示されています
ここからは建物の魅力を深堀りしていきましょう!
繁華街にあるせいか、外観の印象がないという方も多いのではないでしょうか。洋画家の佐々木良三が開店祝いに贈った絵皿を見てみると、創業時の可愛らしい外観が描かれています。
絵皿と若干の違いはあるものの、フランスの田舎にある教会をイメージしたという造りは健在。柱や梁で外壁に模様を作り、その間を漆喰などで塗り固めるスタイルは「ハーフティンバー様式」と呼ばれ、中世ヨーロッパで流行しました。
光が差し込む人気の2階席

2階
続いて2階のご紹介を。店内に入ると青色の照明にうっとり。
創業者の元木和夫さんの友人であり、大学教授として色彩研究をしていた色彩専門家の上村六郎から「青い光は女性を美しく、男性を若々しく見せる効果がある」というアドバイスを受けて実現した経緯があり、当初は蛍光灯に青色のセロファンを巻き付けていたそうです。

天井近くに、煙を受けて黒ずんだ彫刻が残されています。まさにお店の歴史を見てきた証人です
青色が薄くなってきたらセロファンを交換していたものの、昔は喫煙の影響ですぐに壁が茶色くなり、そこまで青く感じられなかったと下山さんに教えていただきました。今では全面禁煙となり、白壁に青色がいっそう美しく映えています。
登録有形文化財の登録では、内装の彫刻も高く評価されています。手掛けたのは創業者の釣り仲間だった日展作家の池野禎春。フランスに留学経験があり、フランス語で「夜会」や「素敵な夜」を意味する“ソワレ”を店名に提案したのも池野禎春でした。
豊穣の象徴とされる葡萄の木彫りがあちこちにあり、ソワレの文字をあしらったメニュー立てまで備え付け。繊細な彫刻のため、補修を繰り返しながら大切に受け継いでいるそうです。

木彫りとあわせて楽しみたいのが、各席を彩る絵画です。画廊を営んでいた創業者は芸術家との親交が深く、東郷青児、佐々木良三、小磯良平といった名だたる画家の作品をオリジナルの状態で店内に飾っています。名画のそばでティータイムが過ごせるなんて贅沢ですよね。
2階の窓際席からは高瀬川を望めます。今の時季は新緑が美しく、春は一面の桜景色に。光を受けてキラキラ輝く「ゼリーポンチ」のポテンシャルを最大限に引き出す特等席でもあります。
1階席ならではの楽しみ

窓のない1階席はブルーがいっそう映えて、まるで海の中にたゆたうよう。

特に奥側の席は青が色濃く、女性をより美しく見せるとあって、しばしばお見合いにも使われたと伝わります。ソファーの赤色もモダンでかわいらしい印象です。

一番右の作品が『夜会の女』です
アート好きなら、1階にある東郷青児の『夜会の女』が飾られた席がおすすめ。もともと創業者は東郷青児のファンで、ソワレにも作品を飾っていたといいます。すると、東郷青児が河原町三条にあった京都朝日会館の巨大壁画製作に携わっていたタイミングで、創業者の友人である佐々木良三の誘いで来店。以来、意気投合した東郷青児はソワレに来るとこの席をよく利用していたそうです。
東郷青児はソワレのために多くの作品を描いています。線画は食器類にも採り入れられ、特に有田焼の老舗 香蘭社に特注した瑠璃色の珈琲カップは、レトロな雰囲気にぴったり。1階で珈琲を頼んだ時にだけお目にかかれる器ですので、どうぞお見逃しなく。
画家の作品もさることながら、階段やレジ横のショーケースに飾られたコレクションも見応えがあります。「ゼリーポンチ」を題材にしたステンドグラス作品など、ファンにはたまらない逸品も。
思い出にオリジナルグッズを
来店の記念にオリジナルグッズはいかがでしょう。ゼリーポンチ50周年を記念したバッグチャームはあまりの人気に、今年(2026)も継続して販売中。他にも、グラスやゴブレット、レターセットなど、かわいい商品が揃います。

左:東郷青児の絵入りショップカード、右:5月のショップカード
ショップカードも人気です。月替わりのショップカードと、東郷青児の作品が使用されたショップカード、常時2種類が店頭に並びます。東郷青児のデザインは全部で3種類あり、月替わりのショップカードの雰囲気にあわせて組み合わせが変えられるそうです。素敵なティータイムの思い出とともに持ち帰りたいですね。
■喫茶ソワレ
【営業時間】平日13:00~19:00(ラストオーダー18:00)、土日祝 13:00~19:30(ラストオーダー18:30)
【定休日】月曜日
【アクセス】阪急京都線「京都河原町駅」から徒歩すぐ Google map
【公式ホームページ】https://www.soiree-kyoto.com/
【公式Instagram】https://www.instagram.com/tea_room_soiree/
※掲載内容は2026年5月29日時点の情報です。最新情報は掲載先へご確認ください。
