築100年! ヴォーリズ設計の東華菜館へ

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印象的な外観から四条大橋のランドマーク的な存在として愛される北京料理の名店、東華菜館。今年(2026)は建築されてから100年という節目になり、ますます注目が集まります。建物の見どころを中心にたっぷりと魅力をお届けしますので、ぜひご覧ください。

ヴォーリズ唯一のレストラン建築

はじまりは大正13年(1924)。西洋料理店「矢尾政」2代目の浅井安次郎さんが当時の流行にのって新しいビアレストランの開業を計画し、アメリカ人建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズに設計を依頼しました。ヴォーリズといえば、京都や滋賀に多数の作品が遺りますが、レストラン建築は唯一ここだけ。
 
大正15年(1926)に完成するものの、しばらくすると戦争の影響により洋食への風当たりが強くなっていきます。その後、浅井さんの友人であった中国山東省出身の于 永善(う えいぜん)さんに建物が引き継がれ、戦後に東華菜館として再出発を果たしました。
  • 入口上部の「テラコッタ」

    入口上部の「テラコッタ」

  • 海の生き物が賑やかに

    海の生き物が賑やかに

  • 東側の壁面には貝をあしらった可愛らしいバルコニーも!

    東側の壁面には貝をあしらった可愛らしいバルコニーも!

建物は華やかな装飾が特徴のスパニッシュ・バロック様式を基調にしています。特に壁面を飾る素焼きの「テラコッタ」が見事。「矢尾政」が牡蠣料理を名物にしていたことにちなみ、海の生き物を中心にデコレーションされています。
  • 玄関扉

    玄関扉

アンティーク調の玄関扉の上にはタコの姿も! 入店前からお客様をワクワクさせる、ヴォーリズの遊び心が感じられます。

今も現役! 国内最古のエレベーター

  • 階数表示板もレトロでかわいい

    階数表示板もレトロでかわいい

入店すると、まず目につくのがレトロなエレベーターです。大正13年(1924)、アメリカの老舗エレベーター会社 OTISによって造られ、輸入されました。いまや国内最古のエレベーターとなり、月1回の定期メンテナンスと年2回の修理を行いながら、現役で活躍しています。
  • 2方向の扉が開閉します

    2方向の扉が開閉します

  • OTIS社の銘板

    OTIS社の銘板

昇降がスタッフさんによる手動操作というのも驚きです。指定階のおおよその高さまで移動させると、あとは自動で床面が合わさる仕組みになっているそうです。このエレベーターに乗りたいというファンが多いのにも納得です。

個性豊かなフロア

  • 塔内部はエレベーターの機械室

    塔内部はエレベーターの機械室

  • 屋上からの眺望

    屋上からの眺望

続いては、個性豊かなフロアを上から順番にご紹介しましょう。東華菜館は5階建ての鉄筋コンクリート造り。屋上には約50席のビアガーデンがあり、抜群の眺望にお酒も進みそうです。予約の状況にあわせて開催日は要確認を。
5階はテラス席を併設したフロア。心地の良い風を感じながら、東山の美しい稜線を望めます。

華やかな部屋がお好みの方は4階の大宴会場がおすすめ。ランタンの印象から中華風に感じますが、壁や柱にはイスラム風の幾何学模様や唐草紋様が散りばめられ、窓は洋風のデザインです。

さらに天井には生命力の強いナツメヤシを図案化した唐草紋様が施され、エキゾチックな雰囲気が漂います。まさにスパニッシュ・バロック様式らしい、もりだくさんの装飾が見どころです。
  • タツノオトシゴのデザイン

    タツノオトシゴのデザイン

3階の中宴会場は落ち着いた佇まいが魅力です。床の寄せ木張りや壁の腰板の高さなどからヴォーリズが格式の高い部屋として内装を考えていた可能性もあり、この部屋の柱にだけ縁起が良いといわれるタツノオトシゴがデザインされています。

2階には個室が複数あり、一番人気は南座を正面に望む部屋。連なる葉をモチーフにした「多葉アーチ」が印象的で、特別なお食事の時間に彩りを添えます。
 
※個室の利用は事前にコース料理の予約をされた方が対象です(2名から18名まで)
  • ミニサイズの擬宝珠がかわいい!

    ミニサイズの擬宝珠がかわいい!

最後にご紹介するのが鴨川のせせらぎを感じられる納涼床です。約120席あり、“席料なし”というのも嬉しいポイント。今年(2026)は10月15日(木)まで営業されていますので、どうぞお見逃しなく。

ヴォーリズが手掛けた調度品

  • 衝立(1階)

    衝立(1階)

  • 飾り棚(2階)

    飾り棚(2階)

  • 長椅子(2階)

    長椅子(2階)

建築以外にも、ヴォーリズが手掛けた調度品が見どころです。特に2階には飾り棚や長椅子、花台など、貴重な品々がいまも大切に使われています。
  • 照明(3階)

    照明(3階)

  • コートスタンド(2階)。上部に八芒星があしらわれています

    コートスタンド(2階)。上部に八芒星があしらわれています

一方で、ヴォーリズのデザインにあわせて新調したものもあります。八芒星をかたどった照明は建築当初の復刻デザイン。2階で使われているコートスタンドは、ヴォーリズの流れを汲む一粒社 ヴォーリズ建築事務所に依頼して新たに制作されたそうです。
 
創業者のお孫さんにあたる三代目の于 修忠(う しゅうちゅう)さんにお話をお聞きしたところ、日々の補修はもちろんのこと、外壁の色の復刻など、少しでも建築当初の姿に近づけるよう、さまざまな取り組みを行っているといいます。「受け継いできた100年の歴史を後世に伝えていくこと。いつ来ても変わらず思い出の東華菜館であり続けること」、于さんの言葉に名建築として長く愛される理由を感じました。

名物料理に舌鼓♪

春巻き 2,200円

春巻き 2,200円

北京料理は強火で手早く炒める山東料理がルーツ。山東料理ならではの家庭的な味わいから、宮廷文化を受け継いだ北京ダックなど、一品料理だけでもなんと50種類以上あります。
 
なかでも名物といえば、パリッとした薄焼き卵で豚肉やたけのこを包んだ春巻きです。見た目以上にボリュームがあり、満足感たっぷり。

チンジャオロース 3,000円、水餃子 1,100円

チンジャオロース 3,000円、水餃子 1,100円

チンジャオロースは一般的な豚肉ではなく、黒毛和牛を使ったジューシーな味わい。セロリのシャキシャキ感が食欲をそそる人気メニューです。水餃子や炒飯など、定番もはずせません。
 
個室でコース料理を優雅に楽しむもよし、一品料理をたくさん頼んで大勢でシェアするもよし、ぜひさまざまなシーンでご利用を。名建築のなかでいただくお食事は、きっと忘れられない旅の思い出になるはずです。
 
■東華菜館
【営業時間】平日11:30~15:00(ラストオーダー14:30)、17:00~21:30(ラストオーダー21:00)
土日祝 11:30~21:30(ラストオーダー21:00)
【定休日】週1回、不定休 ※公式ホームページをご確認ください
【アクセス】阪急京都線「京都河原町駅」、京阪本線「祇園四条駅」から徒歩すぐ Google map
【公式ホームページ】https://www.tohkasaikan.com/

今年も開催! 京都モダン建築祭

専用のパスポートの購入で通常非公開の名建築を見学できる「京都モダン建築祭」が今年(2026)で5回目の開催を迎えます。見学以外にイベントも多数開催され、建築ファンにとって夢のような9日間です。

東華菜館ではお食事の際にパスポートを提示すると、杏仁豆腐のサービスが受けられます。建物内は日頃よりお食事をされた方しか見学できません。ぜひ、この機会に美味しい北京料理と名建築をお楽しみください。
 
■京都モダン建築祭
【日程】2026年10月31日(土)~11月8日(日)
<パスポート公開期間>
前期10月31日(土)・11月1日(日)10:00~19:00
後期11月7日(土)・8日(日)10:00~17:00
※前期・後期ともに一部夜間公開あり
※施設により公開期間が異なります。詳細は公式ホームページをご確認ください
【料金】通期パス5,000円、前期・後期パス各3,000円
【公式ホームページ】https://kyoto.kenchikusai.jp/
 
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※掲載内容は2026年9月30日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください

Written by. 「そう京」編集部

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