昭和を代表する作庭家として知られる重森三玲さんは、生涯で約200もの作品を手掛けました。なかには静かに守り伝えられてきた秘蔵のお庭があり、通常非公開の光清寺もそのひとつといえるでしょう。お孫さんで、作庭家・庭園研究家の重森 千靑（ちさを）先生を講師に迎え、知られざるお庭を会員様の貸切で鑑賞させていただきます。

光清寺の枯山水「心和の庭」は晩年の作。本堂前の約100坪の空間に、お寺の山号「心和山」にちなみ、“心”の字を築山四島で形作っているのが特徴です。起立する石や心字形といった見た目のインパクトに視線を捕らわれますが、丁寧に観察すると古式に倣った手法を採り入れているのが分かるといいます。他の名庭を参考にしながら、重森先生に鑑賞法を教えていただきましょう。

もうひとつ、「心和の庭」の魅力を語る上で欠かせないのがトータルデザイン。じつは竹垣や砂紋にいたるまで、すべてが設計されています。普段はお坊さまによって直線を中心とした砂紋が引かれていますが、今回の拝観ではなんと作庭当初の表現豊かな砂紋を復元！重森先生みずから砂紋を引いていただきます。

隅々にまで美を宿らせた重森三玲さん。名作庭家たる所以を存分に感じられる貴重な機会です。