江戸琳派を確立した酒井抱一（1761－1828）は、姫路酒井家の一員として江戸の大名屋敷で育ちました。20代の頃には肉筆浮世絵美人画を描き、狂歌に親しむなど気ままな青年時代を過ごしますが、37歳で出家して大名家の身分を離れます。50歳を目前にした文化6年（1809）師走、身請けした吉原の遊女とともに移り住んだのが下谷根岸の庵で—た。終の棲家となるこの庵は8年後の文化14年（1817）以降「雨華庵」（うげあん）と称され、抱一が多数の晩年作を描いた場所であり、その没後は抱一を慕う門下の絵師たちの拠りどころとなりました。本展は「雨華庵」ゆかりの絵師たちを多角的に蒐集した“うげやんコレクション”の協力を得て開催される江戸琳派の競演です。同コレクションの稀少な江戸琳派作品に細見コレクションから「雨華庵」に纏わる作品を加え展覧します。抱一に憧れ、慕った絵師たちー100年以上に及ぶ江戸琳派の軌跡とその魅力をご堪能ください。