京都に行ったら懐石料理やおばんざいを、と思われる方も多いでしょう。しかし、実は京都は中華料理のおいしい町でもあるのです。本格的な高級中華、京料理の影響を受けた京風中華など様々あるなかで、近年注目が集まっているのが町中華です。一見、日本全国どこにでもある普通の町の中華屋さんのようですが、京都には京都独特の味の流儀があります。食べなれた料理だからこそわかる違い。京の町の風景とともに、町の人々に愛されてきた中華を味わってみませんか?
京都で独自に進化した中華文化
京都 町中華ギャラリー
京都の町中華でおさえておきたい3つのキーワード
あんかけ
京都人はとにかくあんかけが大好き。薄味の甘いおだしにとろみをつけた、たっぷりのあんで具材を包みこんだ料理は、口あたりやさしく見た目にも艶やかで、いかにも京都的。中華料理はあんかけを使ったものが多いので京都人の口に合うとも言えますが、他の地域ではあんかけにしないようなメニューまであんかけにアレンジしてしまったりもします。(写真:六波羅飯店)
玉子(たまご)
出し巻きやたまごサンドなど、たまご料理を偏愛するのもまた京都独特の食文化。町中華でも天津飯は抜群の人気を誇り、いちばん好きなメニューにあげる人も多いのです。びっくりするほどたくさんの卵を使って、やわらかくぼってりと仕上げるのが京都流。具はごくひかえめに、あくまで主役はたまごです。(写真:中国料理 龍鳳)
からし
仏教・神道文化の根強い京都では、匂いの強い香辛料を避ける傾向が。代わってスパイスとなったのが、からしや唐辛子。一般的には辛味を増すために添える程度ですが、京都では味のメインに。からしを効かせたあんかけで食べるラーメンや唐辛子だれの鶏は京都でしか味わえません。見た目より辛味はきつくなく、酢や砂糖を合わせてまろやかに仕上げるのがポイント。(写真:中国料理 龍鳳)
京都の町中華を語る上で外せない、代表メニューを食べ比べ!
天津飯 『地元の味が凝縮された天津飯』
意外に思われるかもしれませんが、実は天津飯を最も熱愛しているのは京都人かもしれません。はじめに確認しておくと、東日本では、天津飯といえばたまごの上に真っ赤なケチャップベースのあんとグリーンピースのトッピングというカラフルなものが定番。これに対し、西日本では醤油や塩ベースのあんかけがたまごを覆い、しかも京都は薄味のためひときわ地味な見た目です。でも、そこに込められた深い旨味、さらにはあんかけとたまごという京都人好みの要素を詰めこんだ天津飯は、まさに京都町中華を代表するメニューと言えるでしょう。