京都では毎月どこかで、蚤の市(フリーマーケット)や手づくり市が行われています。縁日ゆかりの昔懐かしい趣の市もあれば、近年始まったアートなテイストの蚤の市も。そこには古いものや、ものづくりを愛す京都の人々に育まれてきた市ならではの、ワクワクする出会いが待ち受けています。京都の市へ、出かけてみませんか。
市の達人に教わる! 京都の市の楽しみ方
京都の市は大きく分けると2系統。「蚤の市系」と「手づくり市系」があります。
京都で定期的に立つ市を大きく分けると、骨董や古道具を扱う「蚤の市系」と、つくり手自身がつくった品々が並ぶ「手作り市系」があります。まず、縁日が発祥の東寺「弘法市」、北野天満宮「天神市」といった蚤の市では、宝探しのようなワクワク感が魅力。一見ガラクタの山から、自分にピタッと『当てはまる』ものが掘り出せた時の喜びは格別で、時には驚くほどリーズナブルな値段で手に入るのも嬉しいですね。そして上賀茂神社の「上賀茂手づくり市」や百萬遍知恩寺の「百万遍さんの手づくり市」など各地で開かれる手づくり市では、クラフト作家さんとの出会いも楽しみです。自分のお店を開く夢をもって手づくり市で経験を積んでいる若い方も多く、話しているとものづくりへの熱量が伝わってきて嬉しくなります。
市めぐりを楽しむための心得
市の達人・ナカムラユキさんに、市めぐりを楽しむための心得や豆知識を教えてもらいました。
ナカムラさん一推し! 初心者にもやさしい「平安蚤の市」
平安蚤の市
<開催場所> 岡崎公園
<開催日> 毎月不定期開催
平安遷都1100年を記念して1895(明治28)年に創建された平安神宮。朱色の鮮やかな大鳥居から伸びる参道と周りの岡崎公園で、2019年4月から毎月開かれているのが「平安蚤の市」。緑豊かな公園に、洋の東西を問わずアンティークや古道具が集う約150のブースが立つ。まるでパリの蚤の市のようなおしゃれな雰囲気が漂うなか、味わい深いかごからレトロなおもちゃ、古雑誌までいろんなアイテムが並び、海外旅行気分も味わえる。
美しいアンティークの器がセンス良く並べられたブースが各所に。こちらではコーヒーポットと中国茶器ととっくりが違和感なく古色を帯びた板に端正に陳列。
かごの中には昭和レトロな表紙が良い味を醸し出す「暮しの手帖」などの古い雑誌や和綴じ本。読むのはもちろんオブジェとして活躍しそうな古本も人気。
アンティーク家具のブース。おしゃれなテントの下には籐・竹製のかごに椅子、チェストなどの調度品がゆったり並ぶ。こうした家具の店もこの市では多い。
もっとあります。一度は行ってみたい京都の市
古いものに出会える京都の市
弘法市
<開催場所> 東寺
<開催日> 毎月21日
平安時代に弘法大師・空海が密教の根本道場として整えた東寺(教王護国寺)。その境内で開かれ「弘法さん」と親しまれる市は、空海入滅の21日の縁日に参拝者のために開かれた茶屋が始まりで、江戸時代には日用品や薬、団子などが売られるようになったという。今ではプロの古物商をはじめ約1000店が出店。陶磁器、書画などの骨董品からアンティーク着物や裂(きれ)地、おもちゃ、アクセサリー、食品、植木まで多彩な品々が並ぶ。12月21日は「終(しま)い弘法」と呼ばれ、正月準備の品々を求める人で大賑わいとなる。
豊国さんのおもしろ市
<開催場所> 豊国神社
<開催日> 毎月8日・18日・28日
京都国立博物館に隣接する、豊臣秀吉を祀る神社で月3回開かれるこぢんまりとした市。8日は古布・骨董とそれらを使った手作り品の市、18日はリサイクル品も含むフリーマーケット、28日は手作り品と素材に限る市を開催。絢爛豪華な国宝•唐門の周囲に立ち並ぶ店を巡りながらゆったりとした雰囲気も楽しみたい。
大将軍一の市
<開催場所> 大将軍八神社
<開催日> 3~6月・9~12月の第1日曜
大将軍商店街の一角に佇み、方位を司る神様が祀られている大将軍八神社。その境内で開かれる、日用品・古着・雑貨・お菓子などが並ぶフリーマーケット。宝物の公開やミニ音楽祭などのイベントも多く、いつ行っても新しい楽しみがある。地域と密着したアットホームな雰囲気にも心が和む。
東寺ガラクタ市
<開催場所> 東寺
<開催日> 毎月第1日曜
弘法市と同じく、東寺(教王護国寺)の境内で行われる市。約150軒が立ち並び、シートの上にずらりと並べられた“ガラクタ”の様子は圧巻。出品は日本のものが中心でこけしや古い着物、昭和レトロな雑貨や懐かしい日用品、アンティーク家具と多彩で古い物好きにはたまらない。弘法市よりゆったり巡れるのも魅力。
手づくりに出会える京都の市
上賀茂手づくり市
<開催場所> 上賀茂神社
<開催日> 毎月第4日曜
奈良時代、677年に社殿が造営された、京都で最も古い神社とされる世界遺産・上賀茂神社の境内で、2006年3月から毎月開かれている手づくり市。約200店舗が、ならの小川と豊かな緑に囲まれてゆったり並ぶ。木工家具や革細工、手染めの毛糸や布小物、アクセサリー・雑貨などに加え、パンやマフィン、漬物、クラフトコーラなどの手作り食品も豊富。暑い日は子ども達が水遊びに興じる川沿いの心地良い空気のなかで、出店者とも和やかに会話が楽しめる。会場の入り口付近では神馬「神山号」にも会える。
因幡薬師手づくり市
<開催場所> 因幡薬師(平等寺)
<開催日> 毎月8日
烏丸通のオフィス街から一筋入った、癌封じの薬師如来を祀る因幡堂。境内で狂言や歌舞伎が行われていた頃の賑わいを取り戻そうと、2001年から小さな手作り市を開始。オーガニックの布たわしや手作り石鹸、ドリップコーヒー、アクセサリーなど食品・雑貨の露店十数軒が並ぶ。お客と出店者との距離が近いのが魅力。
小町手づくり市
<開催場所> 隨心院
<開催日> 毎月第1日曜
平安時代の歌⼈・⼩野⼩町ゆかりのお寺・隨心院。「⼿づくりのチカラを発信」を合⾔葉にアクセサリーや雑貨、陶器のほか地元のスイーツ、宇治のお茶、吉野の⽊⼯品など主に関⻄各地から店が集う。⼿づくり品のほか地元の野菜が登場したり、時折、境内広場では観覧無料のライブも。1月・8月は休止の場合あり。
京都の蚤の市&手づくり市マップ
※写真はイメージです。
※掲載内容は2023年11月21日時点の情報です。