香りでめぐる京都

香りでめぐる京都香りでめぐる京都

京都をイメージする香りといえば、「お香」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。古くから貴族や武家を中心に愛され、華道や茶道と並ぶ日本三大芸道のひとつ「香道」として確立した歴史があります。今回は、近年、ルームフレグランスやコスメでも人気を集めるお香を中心に、京都の香りにまつわる歴史と文化に迫ります。


京都と香りの歴史

平安時代、女性貴族は長い髪や衣服にお香を焚きしめて自分の香りにしていました。当時の貴族は一人ひとりが自分の香りのレシピを持っていたそうで、紫式部の『源氏物語』の中にも暗闇の中で匂う残り香から光源氏がしのんできたことがわかる一節があります。
鎌倉時代に入るとお香の原料となる香木そのものを尊ぶようになり、室町時代に東山文化が花咲くなかで茶の湯や立花と同様に、香りがひとつの文化として確立。江戸時代には、町人にも香文化が広まり、数種の香りを聞き分ける「組香(くみこう)」や香を鑑賞するための道具、作法も整うようになりました。


暮らしにお香をとりいれてみよう

「空間に香り」

一口に「お香」といっても、香りの種類はもちろん、形や使い方も様々です。線香のように直接火を点けるタイプには、安定性があり面積が広がるうちに香りが徐々に強まる「円錐型」や燃焼時間が長く広いお部屋での利用に最適な「渦巻型」、仏事ごとのイメージがある「焼香」も普段の生活に取り入れる人もいます。また持ち歩きに便利な「匂い袋」や体に直接塗る「塗香(ずこう)」など、火を使わずに室温で香るタイプのものも。炭火をうずめた香炉で香木や練香の香りを楽しむような、間接的に熱を加えるタイプのお香もあります。

「香りを持ち歩く」

京都のおみやげにも選ばれている「匂い袋」の中には、白檀(びゃくだん)や丁字(ちょうじ)などの天然香料を刻んで調合した「匂い香」が入っています。火を使わず、室温で香るように考えて調合されているので、最も手軽に楽しめるのも特徴です。また体に塗るタイプの「塗香」も、すれ違った時に香る匂いに雅やかな雰囲気が伝わります。

「香りを贈る」

封筒を開いた瞬間にほのかな香りを感じられる文香(ふみこう)。もともとは、手紙そのものに香りを焚きしめていた平安時代の習慣を現代によみがえらせたもので、お香を和紙で包んだタイプや縮緬(ちりめん)や麻袋にお香を忍ばせた小袋のタイプ、手軽なシールタイプなど種類も様々。季節の花や歳時記にちなんだ文香を選べば、季節の移り変わりも届けることができます。



京の香りにふれてみよう

京都でできる「香りの体験」を3つご紹介します。ご自身の旅のスタイルにあった体験をぜひお試しください。

香老舗 薫玉堂

安土桃山時代の文禄3年(1594)に創業した日本最古の御香調進所。創業者の負野理右衛門は、幼い頃から関心を抱いた香木の鑑定や研究に専念して、現在の基礎を築いたといわれています。以来、430年近くにわたり、本願寺をはじめ、全国各宗派の本山や寺院にお香を納めるほか、近年は、京都の時間や季節、情景などをテーマにした、暮らしに寄り添う香りのアイテムを取り揃えています。


体験のすゝめ

イメージに合ったお香を選ぶ

まずは、自分が好きな香りを探してみるところから始めてみましょう。お香の香りを少しずつ試すことができる薫玉堂の「試香」は、京都の名所・名物をイメージさせる6種類の香りを、「藍」「朱」のパッケージの色に分けて揃えています。様々なフレーバーのなかから、お気に入りの香りを見つけてみましょう。

香木で香りを選ぶ

好きな香りのルーツが気になったら、ぜひ香木に注目を。香木には、幽玄な香りに包まれた「沈香(じんこう)」、沈香の中でも最上級のものを指す「伽羅(きゃら)」、甘くふくよかな香りの「白檀(びゃくだん)」があります。香木のことを知れば、よりお香の魅力にハマるはずです。

「聞香」「空薫」に挑戦!

より本格的にお香に親しむなら、香木そのものの香りを聞く「聞香(もんこう)」や香木の香りで部屋を彩る「空薫(そらだき)」にチャレンジしてみては。薫玉堂では、聞香や空薫で使う香炉などの用具も販売しています。

まだある!おすすめSHOP

鳩居堂

寛文3年(1663)に創業したお香と文房具の専門店。宮中で代々伝わってきた「秘伝の調香法」を伝授されたことで知られ、その調香法は一子相伝の秘密。お香作りにもその技術が存分に生かされています。

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香彩堂

烏丸仏光寺に店を構えるお香のメーカー。白檀をベースに天然香料を調合した贅沢な作りのお香は、煙りを抑えた、やわらかな香り立ちが特徴。ルームフレグランスやスプレー、コスメといったアイテムも展開しています。

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香老舗 松栄堂 薫習館

創業300余年の香老舗 松栄堂が京都本店横に開設した「香りの小さな博物館」。Koh-labo「香りのさんぽ」では、全身で香りを体感できる「かおりBOX」やお香の原料の香りを体験できる「香りの柱」、沈香が育まれる熱帯多雨林をイメージした「熱帯多雨林の壁」などがあり、お香の歴史や特徴、魅力を学ぶことができます。京都本店の2階にある香房では、昔ながらの製法でお線香づくりを行う様子を見学することも可能です。(無料。1週間前までに要予約)


体験のすゝめ

かおりBOX

天井から吊された3つの白い大きな箱。頭から入ってみると、なんとも雅やかな香りが漂います。箱の中はそれぞれ異なった香りで満たされていて、繊細な香りの違いを通じて、お香の魅力を体感することができます。

香りの柱

お香の原材料となる様々な香りを体感できるコーナー。白いラッパに鼻を近づけて、手元にあるポンプを押してみるとラッパから香りが漂ってきます。

熱帯多雨林の壁

材そのものに芳香を有する木を香木といい、そのなかでも特に珍重されたのが沈香(ぢんこう)です。沈香が育まれるマレーシアの熱帯多雨林を壁いっぱいにプリントした壁面展示では、実物の沈香を間近でみることができます。


山田松香木店

室町時代に成立した香道は、沈香などの香木の香りを鑑賞する日本の伝統的な芸道のひとつ。そんな香道には、一定の作法に沿って香りを愉しむ「聞香」というものがあります。香りを「嗅ぐ」のではなく、心を整えて香りを「聞く」ことは、まるで神経を研ぎ澄ませて香木の息づかいを耳にしているかのよう。そんな本格的な聞香体験を楽しめるのが、江戸時代の明和9年(1772)創業の山田松香木店です。※開催曜日は公式HPの体験カレンダーを確認。予約は1週間前まで。


体験のすゝめ

香木を選ぶ

香木の香りは、香りの性質により、伽羅(きゃら)、羅国(らこく)、真南蛮(まなばん)、真那賀(まなか)、寸門陀羅(すもんだら)、佐曽羅(さそら)と呼ばれる六国(りっこく)に分類されます。聞香体験では、伽羅と残り5つの香木から好みの香木を選んで、香りの違いを確かめることができます。

香炉を整える

聞香を愉しむための準備を行います。まず、火箸で灰を中心に向けてかき上げて灰山を作ります。次に灰山を灰押(はいおさえ)という道具を使って円錐型になるように整えます。

香木を炷(た)く

灰山の頂点から炭に当たるまで垂直に火箸を挿し入れて穴をあけます。これを火窓といいます。この火窓を通じて、熱を香木に伝えます。最後に銀葉(ぎんよう)と呼ばれる透明な板に香匙(こうさじ)を使って香木を移したら、たちまち奥ゆかしい香りが上ってきます。

香りを聞く

左手に香炉をのせ、茶道の作法のように反時計回りに香炉を半周させて正面を外します。香炉を覆うように右手をかぶせたら、親指と人差し指の間から香りを聞きましょう。息を吐くときは、香炉に息がかからないよう顔を脇にそらせます。




香りをまとうNEWアイテム

お香以外にも京都ならではの香りを閉じ込めたアイテムもチェックしてみてください。奥ゆかしい香りは、おみやげにもきっと喜ばれるはず!

京都くろちく

京都伝統の意匠や代々伝わる知恵を巧みに取り入れた、和雑貨などのプロデュースを手掛ける京都くろちく。メイドインジャパンにこだわったハンドクリームは、日本酒やお茶など京都らしい香りを楽しめるのも魅力的です。

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ギャラリー遊形

京都有数の歴史を誇る俵屋旅館で愛用されている石けんは、数十種類の天然香料を含む200種類余りの香りを独自にブレンド。きめ細かい泡とともにその香りはバスルームに広がり、残り香を愉しむことができます。

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亀田利三郎薬舗

「夏は暑く、冬は寒い」京都の季節に対する知恵と老舗医薬品メーカーの技術が生んだ天然漢方スパハーブ。薬の原料として使う生薬で作った浴用剤は、リラックス効果を高めてくれる上質な香りもポイントです。

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京ころん

すっかり習慣化した手指消毒。手荒れに悩む人におすすめなのが、全成分植物由来のボタニカル ハンド&マスクスプレー。京都産の檜や柚子を職人が丁寧に抽出しているだけあって、豊かな自然の香りに心癒やされます。

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※写真はイメージです。
※掲載内容は2023年1月26日時点の情報です。