夏の京都旅行は「暑さ」との闘い。三方を山に囲まれた盆地である上に、市街地に高層ビルがなく日陰が少ないため、昼の直射日光は危険です。そんな暑い夏に提案したいのが、「夜の京都」を愉しむ旅。江戸時代の知恵から生まれた納涼床でのディナーや、夏の時期に行われるお寺などでの夜間行事、さらには今ブームの夜アイスまで。「京都で夜活」がこれからの暑い京都を愉しむ新しい旅のスタイルと言えるかもしれません。
【17:00】憧れの鴨川納涼床へ! 今宵はどこでなに食べる?
江戸時代、鴨川に茶店や料理屋が床机を出して夕涼みを楽しんだことから始まったと言われる納涼床。現在では約90軒が鴨川の西側を流れる禊川に床席を出しています。床というと和食をイメージしがちですが、中華からタイ、イタリアン、バー、居酒屋…とジャンルは多彩。夕方と言ってもまだ暑いですが、川風がそよぐ床での食事は気分的にも体感的にも涼やか。椅子席のお店も多いので、年代問わず利用できます。
東華菜館【四条河原町/中華料理】
1926年築、威風堂々とした5階建ての北京料理店。その重厚な構えから敷居が高いと思われがちですが、アラカルトもコースも意外と手の届く範囲内の価格。ヴォーリズ氏設計による意匠を凝らした洋風建築や、日本に現存する最古の運転手付きのエレベーターなどの貴重な建造物に触れられ、訪れるだけでも価値はあります。広々とした風通しの良い納涼床は席料不要で、店内と同じメニューをオーダー可能。コースではカニ入りフカヒレスープやエビの唐辛子炒めなどがいただけます。
※見学のみの来店は不可です。
暑い夜に食べたい「納涼床ご飯」
【18:30】盆の宵に精霊を迎える六道まいり
京都では、お盆の前にご先祖様をお迎えする風習が残されています。かつて鳥辺野と呼ばれ埋葬地だったあたりには、冥界との境目とされる「六道の辻」があり、この場所に建つ六道珍皇寺は「六道まいり」の寺として有名です。ここで迎えた先祖の霊は、8月の五山送り火で冥土に送られ、夏の一連の回向行事が締めくくられます。暑さがやわらいだ宵の頃に、京都ならではの風習に触れてみませんか。
六道珍皇寺「六道まいり」
【期間:8月7日~10日】文武両道の公卿(くぎょう)だった小野篁(おののたかむら)が、閻魔様に仕えるため冥界に通う入り口とした井戸が残る寺。毎年8月7日~10日に行われる精霊迎え「六道まいり」は多くの参詣者でにぎわいます。参道の出店で高野槙を求め、水塔婆(みずとうば)に故人の戒名を記し、「迎え鐘」を撞いて魂を迎えるのがしきたり。鐘楼内に隠れた鐘を、小さな穴から出ている縄を引いて撞く特殊な形状で、低く響きわたる音色が特徴。この鐘の音で京都の人は、お盆の到来とご先祖様の里帰りを感じるのだそうです。
暑い夏夜を愉しむ行事
【20:00】宵を締めくくる禁断の夜アイス
関西で最近話題の「夜アイス」。ブームの背景には、夜ごはんの後にお酒を飲まない若者が2軒目使いに〝甘いもん〟を求めるなど諸説ありますが、やはり暑い夜の食後はひんやりデザートが欲しくなりますよね。どのお店も、「アイスクリーム以上、パフェ未満」のミドルサイズなのがポイント。暑い夜、ひんやりと涼を感じられるお店をご紹介します。
夜行アイス【梅小路公園】
大阪・寝屋川発の夜アイス先駆的存在。こだわりの牛乳で作ったピュアなソフトクリームに多彩なフルーツを合わせてカップスタイルで提供しています。底には店内で焼き上げたクロッフル、上には濃厚ソフトクリーム、トッピングにはマンゴーやバナナなどをたっぷりと。18時半から24時までの営業で、近隣ホテルの宿泊客だけでなく、お風呂上がりの地元客もよく来るというから、夜アイスは地域の食文化として浸透しつつあるのかも?
暑い日に食べたい夜アイス
夏の宵を愉しむ京都MAP
※写真はイメージです。
※掲載内容は2023年7月31日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。