その土地ならではの味や文化が詰め込まれた「旅先のお弁当」は、開ける瞬間に気分が盛り上がる、旅の醍醐味のひとつ。
京料理の技が冴える料亭のお弁当をはじめ、戸外で楽しめるピクニックセットや帰りの電車でも旅が堪能できる持ち帰りなど、心が躍る多彩な京都のお弁当を紹介します。毎日のお弁当作りに役立つ、京都発のアイテムも掲載。


華やかなお弁当文化を目で味わう
独自の文化として、世界から注目を集める日本のお弁当。江戸時代の浮世絵には蒔絵に彩られた持ち手付きの提重を花見に持参した様子などが描かれ、明治時代には日本で初めて駅弁が発売されるなど、時代とともに新しい弁当が生まれました。
目でも舌でも堪能したい料亭で味わうお弁当
料理人の技と旬の食材から生まれる季節感あふれる献立の数々。それらが漆塗りの箱やカゴにぎゅっと詰め込まれたお弁当は、まるで玉手箱のような美しさ。
せっかく京都を訪ねたならば、時には名店に足を運んでみては。
【京都𠮷兆 松花堂店】の「松花堂弁当 吉」
〜 江戸初期の文化人ゆかりのお弁当スタイル 〜
大阪で昭和5年(1930)に創業した日本料理店・𠮷兆の伝統を受け継ぐ、京都𠮷兆の松花堂店。創業者の湯木貞一が、京都・八幡に居を構えた江戸時代初期の文化人である松花堂昭乗愛用の四つ切箱と出会い、考案したのが名物の松花堂弁当です。華やかな見た目だけでなく、汁気を含んだもの、温冷どちらの料理も詰められる点でも画期的だったといいます。漆塗りの箱の中には、八寸・お造り・焚合・蒸物が美しく盛り付けられています。取材日の献立は鯛のお造りや煮凝り、海老真丈、湯葉蒸しなど秋の訪れを告げる取り合わせ。春には地元産の筍やウドも登場します。
【萬亀楼】の「竹籠弁当」
〜 有職料理の粋を瀟洒な籠に盛りこむ 〜
亨保7年(1722)に創業、御所ゆかりの有職料理の伝統を継ぐ料亭。昼の「竹籠弁当」は店に程近い出水通周辺に竹屋が多かったことにちなんで約50年前に考案されたそう。有職料理に使われる「耳杯(じはい)」に出汁を張って供される先附の胡麻豆腐、見事な庖丁仕事が施された造りに続き、約20品が盛り込まれた竹籠が登場します。春なら鯛の桜寿司や筍の木の芽和え、鰆の味噌幽庵焼きなど季節感豊かな献立にうっとり。さらに玉子豆腐の椀物、おこわに漬物、水物と続きます。一つひとつ丁寧につくりこまれた品々を庭に面した個室で味わえば、優雅な気分になること請け合いです。
【京料理 木乃婦】の「洛中弁当 御所」
〜 京の商いを支えてきた仕出しがルーツ 〜
御所御用達であった京料理店「木藤」で修業した初代が、のれん分けにより昭和10年(1935)に開業。はじめは仕出し専門店としてスタートし、後に席を設けた料亭となりました。現当主で3代目の髙橋拓児さんは、“ワインに合う懐石”といった枠に囚われない革新的な和食を手掛ける料理人として知られます。店の原点ともいえる「洛中弁当 御所」は、季節の味が美しく盛り込まれた松花堂弁当で、吸い物と先附付き。写真は甘鯛の若狭焼きや鴨ロース、栗ご飯などを取り合わせた秋バージョンで、春には鯛と赤貝のお造りや筍ご飯などが登場します。京都の呉服商が集まる室町界隈が近いため、今も昔もお昼どきには顧客と商談がてら訪れるビジネスマンも多いそう。
うららかな春を満喫! 京都でピクニック
美術館のそばや植物園など京都人の愛する素敵なロケーションで、地元の人に交じってピクニックはいかが? 気軽においしいものをつまみつつ、季節によってはお花見も楽しめます。急な寒さ対策に、上着やブランケットもお忘れなく。
※バスケット等付属品はレンタル品です。詳細は各店舗の公式サイト等でご確認ください。
京都の“あの味”を持ち帰る
仕出しの名店の折詰弁当から漬物寿司、老舗洋食店の観劇弁当まで、バラエティーに富んだ京都のお弁当6点をセレクト。予約すれば京都駅周辺でピックアップできるものも多いので、旅の余韻に浸りつつ帰りの電車でゆったり味わうのも良さそうです。

【レストラン菊⽔】の「ハイカラ弁当 衹園」
登録有形文化財に指定された風情あるビルが目印の老舗洋食レストラン。向かいに建つ南座の観劇客に提供するために始まった弁当には、ホロホロほどける柔らかな肉の食感がたまらないビーフシチューや、赤身肉の旨みたっぷりのビーフカツレツなど、創業当初から愛されてきた人気メニューが目白押し。テイクアウトはもちろん、レストラン内でのイートインも可能です。

【⽊屋町 蘭】の「お漬け物弁当」
先斗町や祇園から近く、花街の人々に愛されてきた寿司割烹の名店。3代目店主・淺岡照一さんの父である先代がコース料理の締めとして、お茶漬けの代わりとして考案されたのが自家製漬物の握り寿司です。清々しく彩り良い見た目はもちろん、胡瓜、茄子にはショウガ、たくあんには木の芽など、漬物の味や食感を最大限に生かす薬味の相性の良さにも驚かされます。

【肉専科 はふう本店】の「極上カツサンド」
京都御苑に近い閑静な住宅地に佇む、洋食店のテイクアウト。薄い衣をまとわせた国産牛のフィレ肉のカツをトーストで挟んだサンドイッチで、美しくサシの入った肉の断面を見るだけで期待が高まります。シャキシャキのレタスや玉ねぎ、トマトとともに頬張れば、驚くほどやわらかく、口いっぱいに肉の旨みが広がります。

【菱岩】の「折詰弁当 花」
江戸時代より祇園の旦那衆に愛されてきた仕出し専門店が手掛ける、少し深めの杉折を使った折詰弁当。定番人気の「花」には、鶏の松風、鴨ロース、鰻の八幡巻き、天然鯛の笹巻寿司など約20種類。中でも、口の中でふわりとほどける俵形の白いご飯と優しい味わいのだし巻き玉子は、多彩なおかずの味と色をまとめ上げる、この店で一番の主役です。
■ジェイアール京都伊勢丹で受取可能!(事前予約制)

【紫野和久傳】の「かさね 鯛ちらし」
京都府京丹後の料理旅館を発祥とする料亭から生まれた、紫野和久傳。人気の鯛ちらしに、だし巻き玉子、鯛コロッケ、蓮根餅、ひろうすなど旬の食材を用いた15種類以上の副菜を添えた二段重ねのお弁当。自慢の黒寿司に鯛の薄造りを敷き詰めた特製ちらしは、品のあるさっぱりとした後口に箸が進みます。春の訪れとともに味わいたい逸品です。JR東海MARKET ECサイトで注文可能。
■京都駅新幹線構内で受取可能!(事前予約制)

【⼆傳】の「傳心小箱」
江戸時代に魚屋として商いを始め、初代・傳七が二条城に出入りを許されたことから「二傳」と呼ばれるようになったと伝わる仕出し店。現在は料亭も営んでいます。二段からなる小箱のひとつには、春の魚介や筍の上に百合根の花びらが散る春のちらし寿司。別箱には花見串や鯛のけんちん巻き、高野豆腐の博多など趣向を凝らした料理が盛り込まれます。
■ジェイアール京都伊勢丹で受取可能!(事前予約制)
道具からはじめるお弁当生活
麗しのお弁当に心を動かされたなら、そのときめきを日常にも少し持ち帰ってみるのはいかがでしょうか。毎日のお弁当をいっそう楽しくしてくれる、京都の道具のあれこれをご紹介。調理用品に箸、風呂敷など、お気に入りを使えば、ランチタイムが楽しみになりそう。
京都 麗しの“お弁当”マップ
※写真・イラストはイメージです。
※掲載内容は2026年3月11日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。





















