小麦香る麺に、じっくりと抽出されたスープ、見た目にも美しい具材たち。和食のイメージの強い京都ですが、実はラーメンが愛されている地でもあります。個性豊かなラーメン文化が花開く京都では、店主のこだわりが詰まった多彩な一杯に出会えます。行列店がひしめく一乗寺エリア、近年注目を集める淡麗系ラーメン、そして異業種が手がける個性派の一杯まで。京都の新たな魅力を味わい尽くす、ラーメンの旅へ出かけませんか。


「京都ラーメン」は実はコッテリ!?
京都のコッテリを体験するならここへ!一乗寺エリア
京都の中でも一乗寺エリアは、有名店がしのぎを削るラーメン激戦区。叡山電鉄「一乗寺駅」から徒歩圏内に、およそ20軒ものラーメン店が軒を連ねる光景は圧巻です。地元の人はもちろん、全国からやってくるラーメン好きにも愛されるスポット。近隣に大学が多い「学生の街」ということもあり、ボリュームたっぷりのこってり系京都ラーメンが人気です。京都でラーメンを食べるならまずは一乗寺へ。
【天天有 一乗寺本店】
〜 激戦区・一乗寺で、磨かれ続ける鶏白湯。 〜
京都ラーメンの代表的な系統のひとつ、鶏白湯系の先駆けとして知られる「天天有」。屋台から始まり、まだ激戦区と言われる前の一乗寺にいち早く店を構え、約半世紀にわたり多くの人に親しまれてきました。納得の味を追い求めて生まれたスープは、鶏ガラをベースに少量の豚骨を配合し、とろりとしていてまろやかな甘みのある味わい。たっぷりのネギに、薄切りチャーシュー、甘みのあるメンマと合わせて、濃厚ながらも軽やかに箸が進みます。「新鮮な味を届けたい」という想いから、1日に何度も出汁を取り直すという店主・漆畑さんの丁寧な仕事ぶりが長く愛される理由。老舗と呼ばれる今でも、訪れる人を満足させるための試行錯誤を惜しみません。

【びし屋】〜豚骨から引き出すやさしい旨味〜
大きな寸胴鍋で選り抜いた豚骨を半日以上も煮込んで作るスープは、力強くもまろやかで優しい味わい。毎日製麺される国産小麦100%麺が相性抜群です。ほうれん草と大判チャーシューのトッピングで家系の雰囲気も感じさせつつ、きくらげを添えるなど個性の光る一杯。季節限定ラーメンにも注目したいところ。

【麺屋 龍玄】〜醤油が香る京都ブラックを継承〜
京都ラーメンの老舗「新福菜館」で修行した店主が独立して開いたお店。「京都ブラック」と呼ばれる漆黒のスープは、見た目のインパクトに反して食べやすく、最後の一口まで満足感が続きます。香り高い醤油は麺やチャーシューとの相性も絶妙。京都で受け継がれてきた中華そばの魅力を今に伝えています。

【珍遊 一乗寺本店】〜戦後から続く伝統的な京都ラーメン〜
戦後間もない昭和25年から、今に至るまで屋台の味を受け継ぐ京都ラーメンの名店。鶏ガラ、モミジを使った鶏白湯スープに老舗の醤油と背脂を加え、自家製チャーシュー自家製メンマ、九条ねぎをトッピング。こってりとした見た目ながら、飽きのこないさっぱりとした後味で、地元の人に愛されるソウルフードです。
コッテリだけじゃありません。近年の注目は美しく透き通る「淡麗」ラーメン。
こってり系が主流の京都ラーメンですが、今増えつつあるのが淡麗系ラーメン。透き通った清湯スープが特徴で、京都にも名店が続々と登場しています。こだわりの素材から旨味を丁寧に抽出した上品なスープながら、食べると口に広がるのは驚くほど奥行きのある味わい。丼の底に沈む麺の姿が美しく、見た目でも楽しませてくれます。地場産の食材を使用するなど、京都らしさを追求するお店も多数。新しい京都ラーメンの形に注目です。
【麺屋 練之助】
〜 ビブグルマン獲得の実力派が、京都産素材で仕上げる一杯 〜
オープンから1年でミシュランのビブグルマンを獲得した、予約の絶えない実力派。煮干しや昆布、節類の旨味がブレンドされた魚介出汁と、化学調味料・保存料不使用の特製出汁醤油が生み出す濃い色の透き通ったスープ。そこに京都産小麦100%の麺が香ります。油は舞茸を抽出した太白ごま油、器は京都の清水焼と店主のこだわりが隅々まで行き届いたラーメン。卓上には3種の七味が用意されており、途中でふるとコク深いスープが引き立ちます。初めての方へのおすすめは「ちゃーしゅー麺」。サイドメニューも充実していて、美山牛乳で作る和三盆プリンが人気です。住宅街を進んだ先にある空間は、ラーメン店のイメージを一新させてくれるはず。

【MENYA INOICHI #3】〜庭園を抱く古民家で味わう"出汁そば"〜
ミシュラン・ビブグルマンに9年連続選出された「麺屋 猪一」の3号店が宇治にオープン。白醤油と黒醤油から選べる魚介出汁100%のスープは、昆布と鰹節、混合節から丁寧に引き、やさしく香ります。旅の途中に立ち寄りたくなるような、古民家をリノベーションした趣ある空間で、特別な時間を過ごせます。

【麺処かわ乃】〜鴨出汁の旨味がしみわたる〜
二条城の近くにある、鴨と水だけで引いた特製鴨出汁が主役の鴨ラーメン専門店。滋味深い鴨の旨味と、醤油のまろやかな風味を鴨脂のやさしい甘みが包み込みます。全粒粉を使用した香り高い麺は歯切れも抜群。低温調理した鴨ロースのチャーシューなど、ここにしかないおいしさを味わえます。

【らぁ麺や ふぢとら】〜丁寧な無化調スープに自家製麺が香る〜
ベースは鹿児島の黒さつま鶏と豚から甘味と旨味をしっかりと引き出した無化調スープ。醤油ラーメンと塩ラーメンの2種類を選べます。国産小麦の自家製麺は、鮮烈な小麦の香りが魅力。自家製わんたんを乗せたメニューも人気です。淡麗系の人気店「らぁ麺とうひち」で修業を積んだ店主の技を堪能して。
こんなところでもラーメン!?「異業種ラーメン」にも挑戦!
最近では、異業種がラーメンを手がけるケースも増えています。ホテルのカフェや創作料理店、老舗の和菓子屋にお寺など、意外な母体が手がけるラーメンが話題に。異なる分野から生まれる自由な発想を受け止める懐の広さも、ラーメンの魅力のひとつかもしれません。異業種ラーメンが生まれた背景にも目を向けると、旅の面白さもぐっと深まるというもの。ラーメン旅の途中で出会う、思いがけない味わいを楽しんでみませんか。
【宝蔵院 寺そば】
〜 お寺の和室で味わう、四季を映すヴィーガンラーメン 〜
黄檗山宝蔵院が、土日限定・1日30食限定で提供するヴィーガンラーメン。昆布、椎茸、大根など11種類の食材から引いた出汁はしっかりとした旨味が感じられます。トッピングのワカメ、コーン、糸唐辛子、きくらげ、メンマは仏教に縁深い五色をイメージしていて見た目も華やか。台湾の珍しいスパイス「マーガオ」の爽やかな香りが食欲をそそります。味は季節ごとに変わり、春は薄口醤油、夏は塩、秋は濃口醤油、冬は豆乳みそ味のカルボナーラ風。実はこのラーメン、仏教聖典の原版である国指定重要文化財「鉄眼版一切経版木」の保全プロジェクトを広めるため生まれたもの。おいしいラーメンをいただいたあとは、宝蔵院の歴史にも触れてみるのもおすすめです。

【西尾八ッ橋 ぎをん為治郎】〜八ツ橋の本家が手がける京風ラーメン〜
京都を代表する銘菓・八ツ橋を作り続けてきた、西尾八ッ橋が手がける麺や定食、スイーツのお店。秘伝の出汁を使い、京野菜をトッピングした京風ラーメンを味わえます。また祇園店では、店舗限定の定食メニューも。店頭では定番の生八ッ橋や純米シフォンケーキなど、おみやげを購入できます。

【Oike Café × HACHINOBO】〜ホテルカフェで元祖泡系ラーメンを〜
パークホテル京都御池1Fのカフェでいただけるのは、濃厚豚骨スープにきめ細やかな泡をのせた「カプチーノラーメン」。円町で人気を博した「八の坊」の味を受け継ぐ、京都の元祖泡系ラーメンです。落ち着いたくつろぎの空間で、カフェメニューも盛りだくさん。いつものラーメン店とは一味違う雰囲気を楽しめます。

【くっきんぐ えくすぺりめんと 番】〜創作料理店の朝ラーメン〜
中華料理20年、精進料理7年の経歴を持つ店主が火曜・木曜・土曜のモーニング限定で提供する「朝ラーメン」。だしソムリエの経験を活かし、スープは魚介と昆布のあっさり出汁がベース。手打ち麺や、ローズヒップに3日間漬け込みオーブンで焼き上げたチャーシューなど、独創的な一杯。
京都ラーメン食べ尽くし旅マップ
※写真・イラストはイメージです。
※掲載内容は2025年12月17日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。



















