大原野へ、出発。
大原野は「京の伝統野菜」のひとつに指定される「京たけのこ」の産地。竹林は山あいにあるため、JR京都線「桂川駅」から貸切のジャンボタクシーで向かいます。
15分ほどで到着したのはNPO法人「京都発・竹・流域環境ネット」(以下、竹ネット)が管理する竹林です。住宅街からさほど離れていない場所に自然豊かな環境がいまも残っていることに驚きます。空高く伸びる竹はなんとも気持ち良さそう。

NPO法人「京都発・竹・流域環境ネット」
理事長 吉田博次さん
たけのこ掘りを通して環境問題を考える
じつは、この美しい景観は人の手入れなくしては成り立たないと理事長の吉田博次さんが教えてくれました。
竹は定期的に間伐をしないと土壌が緩み、災害の危険につながります。しかし、「京たけのこ」の名産地である大原野であっても放置竹林の問題は年々広がっているそうです。

竹を焼き、竹炭に再利用するそうです
そこで、竹ネットでは放置竹林の対策、竹材の再活用に取り組むとともに、さまざまな活動を通して広く一般にも竹の魅力を伝えています。たけのこ掘りが環境問題を考える一歩になるとは、心が引き締まる想いです。
たけのこ掘りスタート
地元農家の方や竹ネットに所属するスタッフさんの指導のもと、いよいよたけのこ掘りがスタート! 軍手をはめ、「ホリ」と呼ばれる専用の鍬を持って、各々がターゲットを探します。
まずは、地中からすでに頭を出しているたけのこにチャレンジ。周りの土を取り除き、根がどちらに伸びているかを見定めるのが肝心なのですが、扱い慣れない道具に大苦戦。鍬の先端が狙い定めた場所になかなか刺さりません!
時間をかけて土をある程度かき分けたら、最後はたけのこの根の部分に鍬を入れて、テコの原理で押し出します。グググっと、たけのこが持ち上がり…
やっとの思いで、ひとつめをゲット!
20分以上かかったように思いますが、「私にも掘れた!」と、喜びもひとしおです。
掘り終わったら、肥料をまいて土をならすことも忘れずに。収穫して終わりではなく、次のたけのこのために肥沃な土壌づくりを心がけます。
「京たけのこ」のなかでも特に珍重されるのが、地中から芽を出す前に収穫される「白子たけのこ」です。柔らかな身は刺身で食べることもでき、美味しさは格別だといいます。
地中にあるものをどうやって掘り当てるのかというと、湿った地面のひび割れがポイントだと吉田さんに教えていただきました。芽から水が噴き出し、「ここだよ」とたけのこが知らせてくれているようです。
吉田さんに手助けいただきながら、地中からたけのこを掘りだしました。名人ともなると5分ほどで収穫してしまうというから驚きです。
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白子たけのこ
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30センチ以上あろうかというビッグサイズ
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皆さん、達成感でいっぱいです
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たくさん収穫できました
いかがでしょう! 最初に掘ったものと比べると皮がだいぶ白いですよね。たけのこは日光を浴びると皮が茶色くなり、えぐみが増えるそうです。どんな美味しさなのか、早く食べたくてたまりません♪
ちなみに、参加者のなかには、大物をゲットした方も! 30センチ以上あろうかというビッグサイズに、掘り終えたときには歓声が上がりました。
約1時間の収穫体験を終え、善峯寺の参道沿いにある竹ネットの工房へ。
なんと、参加者を待っていたのは農家の方が今朝収穫したばかりという「白子たけのこ」のお刺身。お話に聞いていたとおりの柔らかさで、本場で食す旬の味覚に頬が緩みます。
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最終的にはこんなに細くなりました
たけのこを皮ごと炭火でホイル焼きにした「山賊焼」もいただきました。ホイルを剥がして皮をめくると、どんどん良い香りが立ちのぼり、食欲をそそられます。皮のほとんどをめくり、本当に美味しい部分だけをいただくと、とうもろこしのような甘みが口いっぱいに広がりました。贅沢な食べ方は産地ならではの体験です。
最後に、参加者が力をあわせて掘ったたけのこを山分け。それぞれが5本以上を収穫し、さらに農家の方や竹ネットのスタッフさんの力添えもあり、不作の年とは思えないほどの量が並びました♪
1.5キロほどあったでしょうか。袋いっぱいにつまった「京たけのこ」のお土産に心が躍ります。「今日のうちに湯がいてください。但し、あくぬきは必要ありません」と吉田さん。「あく抜きが必要ないなんて初めて!」「どんな料理を作ろう」など、帰りの送迎タクシーのなかでも食の話題は尽きず、あっという間にイベントが終了しました。
京都西山“大原野”の「京たけのこ」掘り体験ツアー の体験を終えて
家に帰り、晩御飯はたけのこご飯とたけのこの土佐煮に。自分で掘ったたけのこは、何倍も美味しく感じられます。これを機会に、たけのこ掘りにハマってしまうかも…!
京都サステナツーリズム
「京都サステナツーリズム」では地域社会と旅行者の皆さまに寄り添い、未来につながる旅のありかたを発信しております。
※掲載内容は2025年6月13日時点の情報です。